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2009年10月31日 (土)

サリーとタレック ~第1話 サリー誕生~

【プロローグ】

サリーとタレック、何のことでしょう?

サリーは愛媛県立とべ動物園にいる、メスのヒョウ。
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【サリー】ちょっと小柄の、とても美しいヒョウです

タレックは、ケニアのナイロビ動物孤児院にいるオスのヒョウ。
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【タレック】カメラを意識して、ポーズを取っている?

遠くはなれた日本とケニアにいる、2頭のヒョウ。
実は、深い縁があるのです。
そして、私を素敵な縁に導いてくれました。

そんなサリーとタレックのお話をご紹介します。
とても長いお話なので、何回かに分けて掲載します。


【第1話】サリー誕生

サリーは2004年2月に、愛媛県立とべ動物園で生まれました。
父親はチャーリー、母親はチェリー。

母親チェリーはサリーを産んだあと、大事に抱えるだけでミルクを
あげる気配が見られなかったため、人工哺育で飼育員が育てる
ことに決定。ヒョウ担当のMさんがその人工哺育を担当することに
なりました。

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【生まれた直後のサリー】まだ目が開いていません

サリーは2004年2月8日生まれ。生後直後は体重が500g
あまりで、手のひらに乗るくらいの大きさでした。

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【サリーにミルクをあげるMさん】サリーの小さいこと!!

人工哺育とは、「人の手で哺乳しながら育てること」です。
「こんなに可愛いヒョウの子を育てるなんて、いいなー!」と
思われる方もいらっしゃるでしょう。

でも、実は大変なことなんです。

Mさんは、日中は飼育担当者としてのお仕事をしながら、3時間
おきにサリーに授乳。

そして夜は自宅に連れて帰り、やはり3時間おきにサリーに授乳。

子供を育てたことがある方なら、おわかりになると思いますが、
「3時間おきに授乳」というのは、すごく大変なことです。
それも、日中は通常のお仕事をしながらですから…。

040228_1_3
【Mさんの自宅でくつろぐサリー】夜は自宅に連れて帰って哺乳です

人工哺育を担当されたMさんのお話を伺うと、

  哺乳瓶の消毒、ミルクの準備、授乳、後片付けをすると、
  合計で授乳には1時間以上かかるんです。
  だから、3時間おきにミルクをあげようとすると、
  夜は2時間おきに起きなければならなかったんです。

さらにMさんは、こんなことも話してくれました。

  寝不足で出勤、という毎日も厳しかったですけれど、
  なによりも「サリーに何かあってはいけない」という
  プレッシャーの方が厳しかったですね。

  でも、それは同時に励みにもなった。
  ヒョウの子供を育てるという、めったに出来ない体験を
  させてもらっていること自体が、幸せなことですから。
  もう、無我夢中でサリーを育てました。

 
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【体重計測】体重1700g。あっという間に大きくなります。

人間の赤ちゃんならば、育児のノウハウもたくさん蓄積され、
育て方の情報を入手することができます。

しかし、ヒョウの赤ちゃんの場合は、そのようなノウハウが
ほとんどありません。ネコ科の動物ですが、ヒョウは元来野生
動物で、ネコよりはるかに大きく、さらにチカラも違う動物です。

 どのくらいのミルクをあげれば良い?
 理想的な体重の増加は?
 離乳させるタイミングは?
 離乳させるときに、何を代わりにあげれば良いのか?

暗中模索をしながら、Mさんの人工哺育は続きました。
もちろん、とべ動物園も英知を結集させ、周囲のスタッフも
Mさんを支援し続け、サリーはすくすくと大きくなりました。

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【Mさん、疲れ果てて…】なんとも微笑ましい光景です。

そんなMさんの悪戦苦闘の経験が、その数年後にケニアの
サバンナで生まれた1頭のヒョウにつながるとは…

サリーもMさんも、全く思ってもいなかったことは言うまでも
ありません。

【つづく…】

※今回のブログに使用したサリーが小さい頃の写真は、愛媛県立とべ動物園から
 ご提供いただき、事前に許可を得て掲載したものです。

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