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2009年10月

2009年10月31日 (土)

サリーとタレック ~第1話 サリー誕生~

【プロローグ】

サリーとタレック、何のことでしょう?

サリーは愛媛県立とべ動物園にいる、メスのヒョウ。
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【サリー】ちょっと小柄の、とても美しいヒョウです

タレックは、ケニアのナイロビ動物孤児院にいるオスのヒョウ。
D30_9071
【タレック】カメラを意識して、ポーズを取っている?

遠くはなれた日本とケニアにいる、2頭のヒョウ。
実は、深い縁があるのです。
そして、私を素敵な縁に導いてくれました。

そんなサリーとタレックのお話をご紹介します。
とても長いお話なので、何回かに分けて掲載します。


【第1話】サリー誕生

サリーは2004年2月に、愛媛県立とべ動物園で生まれました。
父親はチャーリー、母親はチェリー。

母親チェリーはサリーを産んだあと、大事に抱えるだけでミルクを
あげる気配が見られなかったため、人工哺育で飼育員が育てる
ことに決定。ヒョウ担当のMさんがその人工哺育を担当することに
なりました。

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【生まれた直後のサリー】まだ目が開いていません

サリーは2004年2月8日生まれ。生後直後は体重が500g
あまりで、手のひらに乗るくらいの大きさでした。

040209_1_4
【サリーにミルクをあげるMさん】サリーの小さいこと!!

人工哺育とは、「人の手で哺乳しながら育てること」です。
「こんなに可愛いヒョウの子を育てるなんて、いいなー!」と
思われる方もいらっしゃるでしょう。

でも、実は大変なことなんです。

Mさんは、日中は飼育担当者としてのお仕事をしながら、3時間
おきにサリーに授乳。

そして夜は自宅に連れて帰り、やはり3時間おきにサリーに授乳。

子供を育てたことがある方なら、おわかりになると思いますが、
「3時間おきに授乳」というのは、すごく大変なことです。
それも、日中は通常のお仕事をしながらですから…。

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【Mさんの自宅でくつろぐサリー】夜は自宅に連れて帰って哺乳です

人工哺育を担当されたMさんのお話を伺うと、

  哺乳瓶の消毒、ミルクの準備、授乳、後片付けをすると、
  合計で授乳には1時間以上かかるんです。
  だから、3時間おきにミルクをあげようとすると、
  夜は2時間おきに起きなければならなかったんです。

さらにMさんは、こんなことも話してくれました。

  寝不足で出勤、という毎日も厳しかったですけれど、
  なによりも「サリーに何かあってはいけない」という
  プレッシャーの方が厳しかったですね。

  でも、それは同時に励みにもなった。
  ヒョウの子供を育てるという、めったに出来ない体験を
  させてもらっていること自体が、幸せなことですから。
  もう、無我夢中でサリーを育てました。

 
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【体重計測】体重1700g。あっという間に大きくなります。

人間の赤ちゃんならば、育児のノウハウもたくさん蓄積され、
育て方の情報を入手することができます。

しかし、ヒョウの赤ちゃんの場合は、そのようなノウハウが
ほとんどありません。ネコ科の動物ですが、ヒョウは元来野生
動物で、ネコよりはるかに大きく、さらにチカラも違う動物です。

 どのくらいのミルクをあげれば良い?
 理想的な体重の増加は?
 離乳させるタイミングは?
 離乳させるときに、何を代わりにあげれば良いのか?

暗中模索をしながら、Mさんの人工哺育は続きました。
もちろん、とべ動物園も英知を結集させ、周囲のスタッフも
Mさんを支援し続け、サリーはすくすくと大きくなりました。

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【Mさん、疲れ果てて…】なんとも微笑ましい光景です。

そんなMさんの悪戦苦闘の経験が、その数年後にケニアの
サバンナで生まれた1頭のヒョウにつながるとは…

サリーもMさんも、全く思ってもいなかったことは言うまでも
ありません。

【つづく…】

※今回のブログに使用したサリーが小さい頃の写真は、愛媛県立とべ動物園から
 ご提供いただき、事前に許可を得て掲載したものです。

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2009年10月29日 (木)

サバンナの風に聴く(3) 私が鳥を撮るところ ~ナクル湖国立公園~

先日、掲載した「ハシビロくん」の記事に、

「私はあまり、鳥を撮らないのですが…」

…と書いたのですが、「そういえば、逆に鳥ばっかり撮ることも
あるなぁ」と思い出しました。

ケニアに行ったときに、ひたすら鳥を撮る場所…
それは、ナクル湖国立公園です。

ナクル湖国立公園は、首都ナイロビから日帰り圏内にあり、
その名のとおり「ナクル湖」を中心とした小さな動物保護区。

小さいうえに、ナクル市街と隣接しているため、公園内から
ナクル市の建物が見えたりすることもありますが、森と湖に
囲まれた美しい国立公園です。

Ke07110003_09
【ナクル湖国立公園】~公園内の丘の上から撮影

さて、上の写真をよく見ると、湖畔沿いに何やら白いモノが
ただよっているように見えるのが、わかりますか?

さて、これは何でしょう。

ちょっと近付いて見てみると…?

Ke07110007_30
【ナクル湖畔】~水面に浮かんで見えるものは?

散った桜の花びらが、水面に浮かんでいるみたいですが…
まだちょっと、わからないですよね。

あ、誰ですか!? 「これは赤潮でしょう」と言っているのは!
(いや、実は私が初めて見たときは「赤潮?」と思ったのです)

では、湖畔で撮った写真をお見せしましょう。

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【「桜の花びら」に見えたモノの正体は…】

そう、これはフラミンゴです。

ナクル湖国立公園は、フラミンゴの大群がいることで世界的に
有名な湖です。その数は多いときで100万羽以上いると言われ、
まさに「湖面が見えないほど」の群れになります。

もちろんナクル湖国立公園には、フラミンゴだけでなく、いろいろな
動物や鳥たちがいます。

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【モモイロペリカン】大群を成しています。大きな鳥だけにその大群は圧巻

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【ヒメヤマセミ】湖の中の魚を狙ってホバリング中

ナクル湖国立公園は湖と森に囲まれているため、鳥の種類が
非常に多く、その種類は300とも!!
バードウォッチャーには、たまらない場所だと思います。

…と言いながら、この2枚しか掲載しないところで、いかに私が
「鳥の撮影に苦手意識があるか」がバレてしまうところですが(笑)

ナクル湖国立公園は、「動物専門」の私にとっても魅力的な所。

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【アフリカン バッファロー】大きなバッファローですが、なんとも平和な光景です

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【ロスチャイルド キリン】1頭だけ、木の下で静かにたたずんでいました

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【ブラック&ホワイト コロブス】毛並みがとても美しいサルです

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【シロサイ】ここにはクロサイもいるそうですが、まだ出会ったことがありません…

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【ヒョウ】私が大好きな動物…ここでも出会うことができました!!

…と、動物図鑑みたいに、たくさん動物写真を羅列してしまいましたが。

この他にもウォーターバック、インパラ、ガゼルなどの草食動物や、
ライオンもいて(ナクルでライオンにはまだ会ったことが無いですが)、
小さい動物保護区ながら、十分に楽しむことができます。

でも、ナクル湖ではアレコレと動物を探すよりも、こんな平和な光景を
ぼーっと眺めている時間が、私は好きです。

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【グラント シマウマ】背景の鳥はもちろんフラミンゴ!

さて、話をフラミンゴに戻しまして…

ナクル湖国立公園では、湖畔に限りクルマから降りることができ、
思う存分にフラミンゴを堪能することができます。

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訪れるたびに、あまりのフラミンゴの数の多さに、「いったいこの
光景をどう表現すれば良いんだろう…」と、呆然とするのです。

どうフレーミングしても、ファインダーはフラミンゴでいっぱい(苦笑)
寄せて撮るべきか、引いて撮るべきか…レンズをいろいろ換えて、
撮ってみるのですが、なかなか納得いく写真が撮れないのです。

そのうち撮るのをあきらめて、ボーっとフラミンゴを眺めてみたり。

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【青い空とピンクのフラミンゴと…】

湖畔にたたずんでいると、すごく静かです。
聞こえてくるのは、フラミンゴたちが「グヮグヮ、グヮグヮ」と小さく
つぶやくように鳴く声だけ…それが余計に静けさを感じさせます。

目の前に、こんなにフラミンゴがいるのに、とても静かな世界…
何だか不思議な光景で、そこでメカニカルなシャッター音をたてて
写真を撮るのが、はばかられるような気さえします。

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【滑空するフラミンゴたち】飛ぶ姿もまた、優雅なフラミンゴです

湖畔で写真を撮ることができる場所は、ナクル湖の西岸にあるので、
早朝ならば「朝陽にシルエットで浮かび上がるフラミンゴ」を狙える!
…と思って、周囲をよく観察してみると、なんと朝陽が上がる側には
大きな丘があり、朝陽はその丘の後ろ側から登ってくることが判明。

Ke08080010_04
【太陽は対岸の丘の後ろから昇ってくる…】

「オレンジ色の湖面にシルエットのフラミンゴ」という写真は無理!?
でも、何か撮れるかもしれない…と思って、挑戦してみました。

ナクルは標高が高い所にあるため、もともと気温は低いのですが、
その日は特に冷え込みが厳しい朝でした。
「もしかしたら、湖面に靄(もや)がかかるかも!」と期待しながら、
まだ夜が明けきらないうちに湖畔へ行って、待機していると…。

予想どおり、正逆光のフラミンゴを撮ることはできませんでしたが、
こんな光景と出会うことができました。

Ke07110001_09
【朝もやの中のフラミンゴ】

湖面から靄(もや)が立ち上り、とても幻想的な光景が広がって
いたのです。朝焼けを邪魔した背景の丘が、逆に朝陽を程よく
さえぎってくれたので、朝もやがとても美しく浮かび上がります。

この光景が忘れられず、その後も何度か挑戦してみましたが、
フラミンゴが少なかったり、朝もやがキレイに立たなかったりと、
この時以降は、こうした光景に出会えていません。

マサイマラやサンブルなどの、他の動物保護区に比べれば、
ナクル湖は小規模で、ダイナミックさは無いかもしれません。

でも「鳥の撮影は苦手」の私が、こうして何度も足を運ぶのは、
フラミンゴの大群を前に湖畔で感じる、不思議な静寂さの中に
自分の身を置きたいから…なのかもしれません。

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【静寂の中の躍動】~それを写真で表現するのは、難しいですことですが



さて、ちょっとフラミンゴの生態について、マメ知識を。

ナクル湖は「ソーダ湖」と呼ばれるアルカリ性の湖で、ここに
発生する「スピルリナ」という藻を、フラミンゴは食べています。

「スピルリナ?なんだか聞いたことがあるな」という方も、いるかも
しれません。実はこのスピルリナ、健康食品になっているんです。

スピルリナには多くのベータカロチンが含まれていて、その他にも
ビタミンBやミネラル分など、様々な栄養素が含まれているらしく、
「クロレラよりも効果的!」と宣伝している健康食品の通販サイトも
ありました…と、ここでは健康食品の宣伝ではなくて(笑)

実はこの藻に含まれている「ベータカロチン」が、フラミンゴには
無くてはならないもの(?)になっているんです!

「ベータカロチン」って、身近なところでは、ニンジンやカボチャに
多く含まれていますよね。ベータカロチンは植物に含まれている
赤色系天然色素「カロテン」の一種…色素、つまり「色の素」です。

実は、フラミンゴのピンク色は、この藻に含まれているカロテンに
由来しているんです。つまり、フラミンゴのピンク色は、スピルリナに
含まれるベータカロチンが蓄積された結果、というワケなのです。

動物園でもフラミンゴはよく見かけますが…
動物園の飼育担当の人に聞いてみたら、フラミンゴのエサには、
やはりベータカロチンを加えて、ピンク色の羽を維持しているとか。

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【キューバフラミンゴ】愛媛県立とべ動物園~まさしくベータカロチン色!

「では、もしベータカロチンを入れないエサを与え続けたら!?」

…と、あり得ない質問をしてみたら、「白いフラミンゴになりますよ」と
真面目に答えてくださいました。

さすがに、「じゃ、青い色素をエサに入れたら、羽は青くなる?」と
までは聞けませんでしたが(笑)

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2009年10月25日 (日)

総合学習

先日、近所に住むプロダクトデザイナーのNさんから、
「あの…ちょっとお願いごとがありまして」
と、神妙な顔つきで話しかけられました。ナニゴトかと思ったら…

「だいぴんさん、ウチの娘にケニアのお話をしてもらえませんか?」

どうやら、小学校の総合学習で「自分の好きな国の研究をする」という
課題が出たらしく、Nさんの娘さんは「ケニア」を選んだようなのです。


というワケで、昨日はにわか「ケニア塾」を開催したのでありました。


World_map_1600

【さて、ケニアはどこでしょう~?】

「ケニアへ旅行に行きたい」というオトナには、これまで何度も説明会を
開催してきたので、それなりの資料も揃っているのですが…

それはあくまでも「旅行」というエンターテイメント向けの説明資料。
サバンナや野生動物の魅力や、サファリの様子などをまとめたもので、
とても「総合学習」向き、いや、それ以前に小学生向きではありません。

Tourguide
【自作の旅行説明資料から】~これじゃ「総合学習」には使えない!

というワケで、昨日は朝から資料作り。

自分で撮った写真は、動物写真がメイン。動物のこと、サバンナのことは
ある程度素材が揃いますが、「ケニア経済」「ケニア文化」となると素材が
ほとんどありません。

それに、あまり広範囲な話をすると、テーマが散漫になって「研究」として
まとめにくいだろうから、話題はなるべくシャープにしないといけないし。

さらに、どうやら「発表」をするらしいので、クラスのみんなの興味を引く
内容にしてあげないと…ということは、やっぱり動物の話題がメイン?
でも、単に動物写真を紹介するだけじゃ「研究」にならないよなぁ…。

などと、いろいろと考えた結果。

「ケニアの野生動物の多様性は、ケニアの気候と関係がある」という
ストーリーを組むことに決め、最終的には「地球温暖化の影響」という
タイムリーな話題に落とし込むことにしました。

さ~て、これを小学4年生向けに、どう説明するか!?

Ke07110020_33
【サバナ気候】サンブール国立保護区(2007年の雨季に撮影)

まずは小学4年生が学校で習う社会、理科のおおまかなレベルを
研究することからはじめなければなりません。

 「サバナ気候」という表現は使えるのかな?
 「赤道」って習うのかな?
 「食物連鎖」「生態系」を、どう説明すれば良いのかな?

…などなど。それに、とにかく事実は客観的かつ正確に伝えないと
いけないから、「知っている」と思うことでも、ちゃんと調べないと。

うーん、なかなか難しい。いや、けっこう手ごわい!

子供の日々の質問に答えている先生や、お父さん・お母さんって、
すごいよなー、などと思いつつ、カリカリと調べ、資料作りを開始。

いろいろと調べ、まとめあげていくと、これまで散在していた知識が
体系的にまとまり、自分にとっても、けっこう良い勉強になりました。

そして夕方の「勉強会」開始時間ギリギリまで資料を作り、
ようやく印刷をかけはじめたころに、Nさんの娘さんのHちゃんと、
そのお友だちのMちゃんがやってきました。

R0010801_rr
【勉強会、開始~!】…再現画像ですけど

まず、「なんでケニアを研究対象に選んだの?」と聞いてみたら、

「他の人たちとはまったく違う国を、やってみたかったから!」
「他の人はアメリカとか、ヨーロッパが多いみたいだし…」

と、なかなか良い回答。しかし、その次にすかさず、

「ケニアだったら、だいぴんさんに聞けば、何でもわかるし!」

…う~む、最初からアテにされていたのですね(苦笑)

ま、でも、動機が何であれケニアに興味を持ち、ケニアについて
知ってもらえることは、私にとっては嬉しいことです。

Ecological_chain_r
【勉強会資料から】「食物連鎖」の概念は小学6年頃のテーマかも?

勉強会の途中で、

「標高が高いと太陽に近くなるのに、何で気温は下がるの?」

といったような、ヒヤリとする質問もいくつか飛び出しましたが、
和やかに勉強会は進み、無事に終了しました。

小学4年生にとっては、情報量がとても多い1時間強の勉強は
少々厳しかったようで、Mちゃんは途中で思考停止状態に…(笑)
でも、Hちゃんは最後まで質問の連発で、ちゃんと最後には、

「私たちの生活が、動物たちにも影響を与えているのね」

と、しっかり「地球温暖化の影響」まで理解してくれたので、まずは
良かったかな。あとは、どう「発表」にまとめるか、が心配ですけど、
そこはすかさず「また相談に来ま~す」とHちゃん。

その発表を見てみたいなー、と、ちょっぴり思った私でした。

せっかくなので、昨日の勉強会の中から1つマメ知識をご紹介。
勉強会のいちばん最初に説明したことから…

Kenyarep_flag

これはケニアの国旗です。
「黒」「赤」「緑」の色の間に、「白」のストライプ。
そして真ん中には「盾」と「槍」の模様。

その1つ1つには、こんな意味があります。

 【黒】
 ケニアの「人」を表しています。
 ケニアの人々の肌の色である「黒」に対する誇りを示します。

 【赤】

 イギリスからの独立戦争の際に流された「血」を表しています。
 独立が多くの人の犠牲によって勝ち取られたことを示します。

 【緑】

 大地を表しています。限りなく続くサバンナの色です。
 【白】

 平和を表しています。「白」が「黒」「赤」「緑」の間に位置している
 ことからわかるとおり、ケニアの平和はそれらの調和の中で
 成り立っていることを示します。

ケニアはアフリカ諸国の中では、1963年の独立以来、紛争や
戦争がない、数少ない平和な国の1つです(※注)

 【盾と槍】
 イギリスからの独立戦争の際、イギリス軍は銃を使いましたが、
 ケニア軍は銃を使わず、盾と槍で独立を勝ち取った誇りです。


 (国旗の解釈は在日ケニア大使館ホームページを参考にしました)

国旗には、その国が建国された時の理念や思いが込められて
いるものですが、ケニアの場合は政治的な問題は多少あれど、
その理念が生き続けている、アフリカ諸国の中では数少ない国の
ひとつなのではないか、と思います。

Masai_friends
【マサイの友人】ケニアを訪れると、会いにきてくれます。

伝統を大切に守りながら近代化の道を歩んできたから…という
政策的なこともあるでしょうけれど、ポレポレだけど前向きで、
そして何よりも底抜けに明るいケニアの人々が、その支えに
なっていることは言うまでもありません。

Masai_friends2_2
【ケニアの友人】この2人とは、もう5年以上の付き合いかな。

最近はもっぱら動物写真を撮ることが目的で訪れるケニアですが、
今回の勉強を通して、「やっぱりケニアそのものが好きなんだな」と
改めて思った自分なのでありました。



(※注)「建国以来、紛争や戦争がないケニア」について
2007年12月末の総選挙の際、その選挙結果に端を発して
ケニア国内各地で暴動が起きました。暴動は2ヶ月近くに及び、
日本国内の報道では「民族紛争勃発」「ナイロビはゴーストタウン」
などと報じられ、私も大変驚き、心配しました。

この暴動に対しては様々な見方がありますが、私個人としては、
一部の人々が選挙結果の混乱に乗じて暴徒化して周囲を扇動、
略奪行為や暴力事件を発生させ、結果的に多くの人々の命が
失われ、一部の地域では難民まで生み出してしまったもの…と
捉えています。(あくまでも私個人の考えです)

実際、この暴動騒ぎの間でも、ナイロビ市内のスラム地区では
混乱が生じ、一部の地方都市では悲惨な事件があったものの、
ナイロビ市内やケニア全体としては平穏な地域が多かったのが
実際のようです。

「ナイロビがゴーストタウン化した」という日本での新聞記事は、
記者が実際に取材したものではなく、ナイロビ在住の日本人が
「現地情報」として、事実確認もせずに無責任に発信したブログが
発端とも言われています。

私がケニアの友人たちから受けたメールや、たまたま暴動が
発生した期間に居合わせてしまった旅行者から聞いた話は、
「そのような事実はない。一部危険な地域はあるが、他は平穏」
「危険な場所に近付かなければ、問題はない」という内容でした。

つまり、暴動そのものは民族間の紛争という類のものではなく、
また、政治的な内紛というものでもなく、ケニア国内で近年大きく
なっている格差社会が生み出した、社会的な歪みが原因だと
私は思います。

もちろん、いかなる原因であれ、暴力は憎むべき行為であり、
それによって人々の生命が失われるのは、悲しいことですが、
ケニアが平和で「紛争や戦争がない国」というのは事実であり、
もともと平和を尊ぶケニアの国民性からしても、それは今後も
続くだろうと信じています。

暴動事件から2年近く経ちますが、いまだに「暴動があった」と
いう理由で、ケニアを避ける方がいるのも事実です。
その事実を打ち消すことはできませんが、少なくとも現在の
ケニアは平穏であり、人々は明るく、平和を尊んでいることを
お伝えしたく、敢えてこうした問題について意見を書きました。

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2009年10月24日 (土)

ハシビロくん

私はあまり、鳥の写真は撮らないのですが…

いや、鳥に興味がないのではありません。
ただ…鳥の識別が不得意で、その不得意が「苦手意識」になって
しまっているのが実のところです。

「それで『動物カメラマン』と言えるの?」と、お叱りを受けそうですが…

さて、そんな私でも、「撮り始めたらやめられない鳥」がいます。

ハシビロくん…いや、正式な名前は「ハシビロコウ」。

鳥に詳しい方でなくても、その独特な姿をご存知の方も多いのでは
ないでしょうか。

D31_0506
【ハシビロコウ】千葉市動物公園

まぁ!なんと大きなクチバシ!!

「ハシビロコウ」とは、「クチバシが幅広いコウノトリ」という
ことから由来する名前で、英語名称の「Shoebill」も「クツの
ようなクチバシ」を意味しています。

その大きなクチバシゆえに、アタマも大きい…何とも強烈な
インパクト、いや、独特のオーラを持った鳥ですね。

ハシビロコウは、アフリカ東部から中央部の湿地帯、および
その周辺部の草原に住む鳥。残念ながら、私が通っている
ケニアにはいませんが、隣国のウガンダにはいるようです。

大きなクチバシ、大きなアタマ、そしてちょっと怖い目つき。
強烈な風貌は顔つきだけではありません。
この大きな顔にしては小さな胴体と、素晴らしく細くて長い、
この美脚!! うーむ、アンバランス!?

Dsc_7066
「アンバランスで悪かったなー」

いや、そんなこと、ありません。
それがハシビロくんの魅力ですから…堂々とアンバランスを
自慢してください。

さて、このハシビロくん。
その強烈な風貌だけでなく、「動かない鳥」として有名です。

野生のハシビロコウは、水辺でじーっと動かずに、大好物の
ハイギョが呼吸をするために水面に上がってくるのを待ち、
上がってきたら全身で倒れこむようにしてハイギョを捕らえる
のだとか。(ハイギョ=肺を持ち空気呼吸をする魚)

その光景を是非見てみたいものです。

「動かない鳥として有名」なハシビロコウですが、撮影に行った
千葉市動物公園のハシビロくんは、よく動いていました。 D30_7158_2
「気持ちいいお天気~、お散歩しましょ」

いやハシビロくん、そんなに動き回らないほうが良いのでは?

千葉市動物公園は、一世を風靡したレッサーパンダ「風太」が
いる動物園として有名ですが、このハシビロくんも人気者です。

でも、あまりに歩き回るものだから、「あれ?ハシビロコウって
動かない鳥じゃないの?」という声を、撮影中に何度も耳に
しました。動き回ると、イメージが崩れちゃうよ、ハシビロくん。

という、私のそんな心配(?)をよそに…

D30_7188
「どう?翼もキレイでしょ?」

はい、やや青みがかったグレーの翼は、大きいだけでなく、
とてもキレイだけど…そんなにサービスしなくても良いのよ、
ハシビロくん!!

ハシビロコウは大型の鳥で、翼を広げると2m近くはある
でしょうか。身長も1m以上ありますが、その半分は脚です。

脚の長い鳥といえばフラミンゴですけれど…
フラミンゴは細い脚の上に、小さい体、そして長い首。

Ke07110004_32
【フラミンゴ】ナクル湖国立公園(ケニア)

ハシビロくんと比較しちゃうと、美しいはずのフラミンゴも見劣り
しちゃいます。

そういえば、「アタマのサイズに比べて大きなクチバシ」といえば、
ワライカワセミもそんな感じが…

D30_4837
【ワライカワセミ】横浜市立金沢動物園

うーん、やはりハシビロくんの迫力にはかないません。
そもそも、ワライカワセミは小さい鳥ですし。

D30_7235
「どうだ~!まいったかー!!」

こらこら、そんなにスゴまなくても…しかし、すごい迫力(汗)

さて、そんな迫力満点のハシビロくんですが、私が大好きなのは
この寝グセのような、ピンとはねた飾り羽根です。

D30_7217
「寝ぐせじゃないんだけどなー」

はいはい、わかってます。
だって、それが寝ぐせだったら…ハシビロくんは仰向けで寝て
いることになっちゃうものね。

このハシビロくん、野生の仲間たちは数千羽から1万羽と諸説が
ありますが、いずれにしても少ない数であることには変わりません。

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「ボクの故郷の仲間は、どうしているのかな…」

動物園で人気者のハシビロくんですが。
野生のハシビロコウも、パピルスが茂るアフリカの湿原で
いつまでもその姿を見せて欲しい…。

そしていつか、この「寝ぐせアタマ」を探し求めて、ウガンダの
湿原を訪れてみたいものです。

D31_0517

※ハシビロコウの写真はすべて千葉市動物公園で撮影したものです。

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2009年10月21日 (水)

ケニアの大干ばつ

つい先日、ケニア現地からこのようなメールが届きました。

 現在、ケニアは大干ばつに見舞われており、野生動物は
 やせ衰え、サバンナのあちこちに動物の死体がある状況。
 サファリに行っても動物は少なく、近年まれに見る悲惨な
 光景が広がっています。

 マサイマラ国立保護区のマラ川も水が干上がり、ヌーも
 命がけで川を渡る必要はありませんが、それ以前に
 水も草もない環境で、生きていくこと自体が危機的な
 状況にあります。

マラ川とは、ケニアの隣国タンザニアのセレンゲティ
国立公園と、ケニアのマサイマラ国立保護区の間にある
川で、草を求めて大移動をするヌーやシマウマが、生命を
かけて壮大な「川渡り」をすることで有名な川です。

Ke03090005_32
【マラ川を渡るヌー】マサイマラ国立保護区

とても気になる情報だったので、あちこちを調べてみました。

有名なネイチャー系雑誌「ナショナル・ジオグラフィック」の
ネットニュースに、その干ばつ関連の記事を見つけました。
記事によると…

 この10年で最悪の干ばつがケニアを襲っている。
 …ケニアでは毎年3月、4月になると雨季が訪れるが、
 今年は全国的に雨が降らなかった。

 野生動物保護当局の発表によると、ライキピア高地や
 サンブル国立保護区の周辺地域では、今年だけで少なく
 とも38頭のアフリカゾウの死体が見つかっている。
 さらに南のアンボセリ国立公園では、子ゾウ30頭が命を
 落としているという。当局は、水やエサ不足による餓死か
 免疫力低下による病死を死因として挙げている。

やはり、かなり深刻な干ばつのようです。

「38頭のアフリカゾウの死体」というと、「そんなモノか」と
思われるかもしれませんが、これは「発見されたもの」の
数であり、実際にはこの何倍もの数のゾウが死んでいる
ことには間違いありません。

Ke03090029_33
【ゾウの親子】アンボセリ国立保護区

また、当然のことながらゾウ以外にも多くの動物が命を
落としているワケで、今回の大干ばつで生命を落とした
野生動物は、かなりの数になっていることでしょう。

今回のこの大干ばつが、地球温暖化の影響なのかどうか
安易に断定することはできません。地球の気候サイクルの
中では、地球温暖化が顕在かする以前から、大干ばつが
あったのも事実だからです。

ただ、問題はこの大干ばつが引き起こしている、人間と
野生動物の間の軋轢(あつれき)にあります。
同じくナショナル・ジオグラフィック誌によると、今年の
ケニアは大干ばつや、大統領選挙のゴタゴタも影響して
農作物が十分に収穫できず、

 そのような状況もあり、牛飼いたちは水場や放牧地を
 求めて国立公園や保護区に畜牛を不法侵入させている。
 マサイマラ国立保護区を上空から見下ろすと、ウシの
 群れの通り道が奥深くまで続いている様子を確認できる。
 草が食べられて土がむき出しになっているのである。

という状況のようです。

Ke07110013_37
【牛の放牧をするマサイ族】マサイマラ国立保護区

動物保護区周辺住民と野生動物との軋轢は、今回の
大干ばつに限ったことではなく、常に存在している問題で、
私自身もそうした問題に直面した経験がありますが…。

今回の大干ばつで、さらに軋轢が深まっている様子です。

年々、野生動物の数が減っているのは事実です。
私がケニアを訪れているここ10年で見ても、それを実感
しています。それは気候のせいというよりも、人間が野生
動物たちのフィールドを侵していることの方が、直接的で
大きな原因になっていると思います。

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【野生動物の生命を育む草】マサイマラ国立保護区

人間の都合で減ってしまった野生動物を、逆に保護しよう
とすると、今度は周辺住民との軋轢を生み出してしまう…
なんとも皮肉な構図ですが、その構図の狭間で、結局は
野生動物たちが翻弄されている、というのが現実でしょう。

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【草原のトピ】マサイマラ国立保護区

かといって、人間の生活を無視して「野生動物を守るべき」
と声高に言うのもナンセンスだと思います。

なぜならば、野生の王国ケニアでさえ、野生動物たちは
人間の経済活動を無視しては生きていけないからです。

動物保護区の入園料や、世界各国やNGOからの援助が
動物保護に役立っていることは事実ですし、保護区周辺に
住む人たちも、動物保護区での仕事や、動物が目当ての
観光客が来ることによって生活ができるのもまた事実です。

大切なことは、人間と野生動物が共存すること。

それは、ケニアの人々と動物だけの問題ではなく、私たち
地球人全ての問題です。たとえライオンやキリンの近くで
生活していなくても、私たちの生活、経済活動が、地球上
すべての野生動物、自然環境に影響するのですから。

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【水を飲むアミメキリン】サンブール国立保護区

私たちは野生動物たちと同じ空気を吸っています。
私たちは野生動物たちと同じ水を飲んでいるのです。

野生動物が吸う空気が汚れたとき、私たちも汚れた空気を
吸うことになります。
野生動物が飲む水が枯れ果ててしまったとき、私たちが
飲む水もまた枯れてしまうのです。

「共存していく」ということは、そういうことなのだと思います。

ケニアの今回の大干ばつは、野生動物たちだけでなく、
周辺に住む人々にとっても辛いはず。

10月からケニアは雨季に入ります。
早くまとまった雨が降り、動物にも人にも元気が戻って
くれることを、心から祈っています。

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【草原を渡るグラント シマウマ】マサイマラ国立保護区



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2009年10月18日 (日)

コケモモ

今日は動物の話題からちょっと離れて…。

紅葉が始まっているということで、今朝早くに家を出発して、
富士五湖方面に行ってきました。

河口湖周辺の紅葉は始まったばかり、という感じでしたが、
富士スバルラインを上がっていくと、もう既に2合目付近まで
紅葉が下りてきていました。

富士五湖周辺も、間もなく紅葉が美しい季節になるでしょう。

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【五合目付近からの眺め】五合目手前の「お中道」から

河口湖インターに着いたのが朝6時半。
その頃は、ちょっと霧がかかったような状況でしたが、
富士スバルラインに入って標高を稼ぐと霧も晴れ…

先日初冠雪したばかりで、薄っすら雪化粧した富士山も
きれいに見ることができました。

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【富士山頂を仰ぐ】五合目手前の「お中道」から

五合目手前に、「お中道」という、ちょっと歩ける道が
あるので、歩いてみました。
気温は4度ほどで、それほど低くはなかったのですが、
今日は風が強く、身を切るような寒さに…

久々に「指先の感覚が無くなる」という体験をしました。

さて、お中道をえっちら、おっちら登っていったら、
こんなものを見つけました。

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これはコケモモです。
高さは数センチ。実は1センチにも満たない大きさ。
ハイマツの木の下に、ひっそりとたたずんでいました。

「コケモモ」という名前ですが、立派な「常緑樹」です。
そう、「木」なんですね。それも常緑樹とはオドロキです。

富士山五合目付近とはいえ、高山地帯であることには
変わりなく、冬は冷たい強風が吹きつける厳寒の地。

そんな過酷な環境の中で、葉をつけたまま厳しい冬を
じっと耐え、来年の初夏には白い可憐な花を咲かせ、
秋にはこうして、また実をつけていきます。

こんなにちっぽけなコケモモのどこに、そんな生命力が
あるというのだろう。しかし、コケモモにとってみれば、
種(しゅ)を残していくための必然のサイクルを、淡々と
繰りしているに過ぎない…

とても深遠な力強さを感じます。



そんなことを思いながら、しゃがみ込んでコケモモを
しばらく眺めていたら、お腹が空いてきました。

山梨といえば「ほうとう」が有名ですが、富士山周辺は
「うどん」が有名。その名も「吉田のうどん」です。
※「吉田」は地名です。富士吉田市周辺の「うどん」で、
 「吉田さんのうどん」という意味ではありません。

事前調査の結果、今回はこのうどん屋さんに決定!
(今回は、といっても、実は今回が「初うどん」でしたが…)

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【手打ちうどん 藤よし】

このお店、富士吉田市の隣の河口湖町にあるのですが、
「大きな天ぷらが別皿で出て来る」という情報をキャッチ。
立ち食い蕎麦でも「天ぷらソバ」しか食べない私としては、
その情報を見逃すワケにはいきません。

なかなかお店が見つからず、ちょっとウロウロしましたが、
開店時刻の11時ちょっと前に何とか到着。
開店と同時にお店に入って、早速「肉天うどん」を注文
すると、「はいよ~」と、スグに出てきました。

じゃーん!!

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【肉天うどん 500円也】

パリパリの桜エビの大きなかき揚げが、ドーンと出ました。
この「別皿」がポイントです。

かき揚げをバリバリと割りながら、うどんに少しずつ入れて
食べると…かき揚げのサクサクとした食感と、吉田うどん
特有のモチモチ感、そして醤油と味噌の「いいとこ取り」を
した汁との三重奏がいつまでも続きます。

うーん、美味しかった。
これからは、富士五湖エリアに来たら「ほうとう」ではなく、
「うどん」を食べることにしようっと。

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【ごちそうさま~】おなかいっぱいになりました

さて、明日は私の誕生日です。
だからどう、ということはないのですけれど、年に1度の
「生誕記念日」ですから、やはり嬉しいものです。

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2009年10月16日 (金)

サバンナの風に聴く(2) 祖先の血

「ケニアへ毎年行っています」という話をすると、
「そのキッカケは何ですか?」という質問をよく受けます。

私が初めてケニアを訪れたのは2000年の8月。
勤続10周年の特別休暇を使って、2週間のケニアツアーに
申し込んだのが「my first Kenya」でした。
ケニアを選んだ理由…
実は、たいした理由ではありません。
「子供の頃から行ってみたかった場所」だったから。

子供の頃、よく見ていた「野生の王国」という番組の影響
なのでしょうか…「野生動物をナマで見てみたいものだ」と
子供の頃から思っていたからです。
 
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【ライオンの家族】マサイマラ国立保護区
 

初めてのケニア、そして初めてのサファリは、アフリカ大陸
最高峰キリマンジャロの麓にある、アンボセリ国立保護区
からスタートしました。

アンボセリは、雨季になると一面の湖となる広大な平地で、
私が訪れた乾季は干上がった砂地状態。想像していた
大草原とは大違いでしたが、それでも野生のゾウの群れや
シマウマなどを見て、大感動をしたものです。

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【ゾウの家族】アンボセリ国立保護区
 

その後、いくつかの動物保護区を巡り、ツアーのハイライト、
マサイマラ国立保護区に行ったときに、不思議な感覚に
捉われました。

「何だか、懐かしい…」
 
そのときは、その感覚は「自分だけが感じたもの」と思い、
大して気にしていたワケでもなかったのですが…

帰国後、
ツアーのメンバーで集まったときに、そんな話を
したら、同じような思いをした人がいたのに驚きました。
 
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【グラント シマウマ】マサイマラ国立保護区

これまで、何度か自分でツアーを組み、延べ30人以上の
人たちをケニアへ連れて行きましたが、やはり同じような
思いをする人がいて、「不思議だなぁ」と思っていたら…

私が敬愛する動物写真家のひとり、小倉寛太郎さんの
写真集「サバンナの風」の巻末に、このようなことが書いて
あるのを見て、驚きました。

 思い起こしてみると、私も初めてこの地を訪れ、雄大で
 豊かな自然景観に接したとき、大きな感動を受けたが、
 その感動には確かに懐かしさが入り混じっていた。
 東アフリカは人類発祥の地、だから祖先の血が呼ぶ
 のだ、と説明する人もいる。素人の冗談半分だけでは
 ない。「(熱帯サバンナこそが)ヒトの脳が大きくなった
 場所なので、脳は今でも熱帯サバンナに似た景観を
 好ましく感じる」(エドワード・ウィルソン)(西田利貞著・
 「人間性はどこから来たか」による)とまじめに説く
 学者もいる。(~小倉寛太郎「サバンナの風」より)

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【光と風と雨と】マサイマラ国立保護区

人類の起源については現在でも諸説が唱えられ、
アフリカ起源説に異論を唱える学者もいるそうですが…。

まぁ、その真偽はさておき、写真集の巻末に
小倉さんが
書いた「祖先の血」のお話にはロマンがあり、
実際にサバンナで「懐かしい」という思いをした私には、
それなりの
説得力があるのでした。

サバンナの真ん中にたたずみ「あー、ここを私たちの祖先が
歩いていたのかぁ」と思うと、何とも言えない、壮大な時間の
スケールを感じます。

そんなスケールの中では、私の存在などは微塵にもならない。
そう思うと、自分がとてもちっぽけな存在だと実感すると共に、
「小さいコトで、くよくよしても仕方ないね」と、逆にココロは
とてつもなく大きくなるのでした。

ご先祖さまの血が、自分の心を大きくしてくれる。
だから、私はケニアへ毎年、里帰りをするのかもしれません。

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【チーター】マサイマラ国立保護区

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2009年10月14日 (水)

ヤギさんといっしょ

先日、雑誌Eの取材で立川のパン屋さんに行きました。

その取材の前に、編集担当のYさんから誌面のラフ案が
送られてきたのですが、そこには何故かヤギの写真が。

「立川のパン屋さんに、なんでヤギ!?」

ヤギ好きの私としては、その取材当日が待ち遠しくて…
パン屋さんの美味しいパンよりも、そのヤギの正体が
何であるかを知りたい!(パン屋さん、ごめんなさい)

というワケで取材当日、現地に着いて私がしたことは、
当然、その「ヤギ」探しでした。他のスタッフを置いて、
ウロウロ、キョロキョロ、「ヤギさ~ん、どこ?」って。

で、やっぱりいました、ヤギさんが!!!

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「へ?ボクのこと?」

そうです、キミを探していたんですっ!!

取材中も、このヤギさんが気になって気になって、
仕方がなかったことは、言うまでもありません。

これまでに、いろいろな動物を撮ってきていますが、
ヤギは撮っていて、とても楽しい動物の1つです。
表情が豊かというか、何ともトボけた感じというか、
眺めていると親近感すらおぼえます。

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【ヤギでーす!】長崎バイオパーク

今は園内に「こども動物園」なるものがある動物園が
増えていますが、そういう場所ではたいていヤギが
放し飼いになっていて、直接触れることができます。

動物を少しでも間近で撮影したいので、私は迷わず
そうした場所には入っていくのですが…
そうすると、たいていどこの動物園でもなぜかヤギが
私の周りに集まってきてしまい、グイグイと押されたり、
乗っかってきたり(!)するのです。

Imgp3385
【ヤギに襲撃される私】長崎バイオパーク

あまりに集まってきてしまうので、周囲の子供たちから
「飼育員のオジサン」と呼ばれてしまうこともあったり…。

私の前世はヤギだったのか!?
(でも、私はシェーブルチーズは、あまり好きではナイ)

そんなワケで、動物園にヤギがいると、そこで粘って
しまい、いつまでもヤギの写真を撮ってしまいます。

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【お昼寝中ヤギ その1】東京都立井の頭自然文化園

このヤギさん、見るからに不自然な格好なのですが、
これで気持ちよく、目を半分あけて寝ているんです。

どうやらヤギは、背中にアタマを乗っけて寝るのが
好きらしく、中にはこんなヤギも…

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【お昼寝中ヤギ その2】マザー牧場(千葉県)

このヤギさんなんか、他人(他ヤギ?)の背中に頭を
乗っけて寝ています。アタマを乗っけられたヤギは
何となく迷惑そうな顔つきです。
「コイツ、何とかして~」とでも言いたげな表情。

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【お昼寝中ヤギ その3】マザー牧場(千葉県)

うーん、背中に乗っけるというよりも、アゴをどこかに
乗せるのが好きなのかもしれません。
そういえば、動物園でヤギに囲まれちゃうときも、
しゃがんでいる私の足の上とかに、アタマをグリグリと
乗せてくるヤギもいたなぁ…。

話題は最初の「取材」に戻りますが、その取材風景は
こんな感じでした。

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まるで農業雑誌の取材?という感じですが、いえいえ、
雑誌Eというのは有名な生活情報誌です!!

実はこの「パン屋さんにいたヤギさん」の正体は、
パン屋さんのご家族が無農薬栽培の農業をされていて、
畑の「草むしり隊長」として飼われているのでした。

もっとも、畑に出たこのヤギさんは、雑草よりも作物の
ほうが美味しいことを知っているらしく、飼い主の目を
盗んでは、作物をムシャムシャ食べていましたが。

当日の撮影現場でも、他に大勢の人がいたのに、私は
ヤギさんにまとわりつかれ…ズボンやクツが泥だらけに
なったのでありました。

でも、まとわりつかれて、嬉しかったです!
やっぱり、私の前世はヤギだったのかなぁ。

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2009年10月12日 (月)

サバンナの風に聴く(1) ケニアのイメージって…

ついさっきまで、ウンウン唸りながらメールを書いていました。

何を書いていたのかというと、ケニア旅行の説明。先日、
仕事でご一緒させていただいたフォトグラファーのKさんに、
「ぜひ、ケニアのお話を聞かせてください!」と頼まれまして。

撮影の現場では、そんなお話をする時間がなかったので、
まずはメールで「ご説明」をすることになったのですが、
これがまた、なかなか難しいんです。

やり取りしながら、少しずつ説明すれば良いのですが、
「その方の夢を大切に、より大きくしていきたい」
「もっとケニアの魅力を知ってほしい」
という思いが強くなってしまい、アレもコレもと説明したくなる。
それを整理しながら書くのが大変で…唸ってしまうのでした。

さて…皆さんはケニア、サバンナというとどんな光景を想像
されるのでしょうか。

まずは広大な乾いた大草原…ですよね。

ケニアへ行く度に、必ず行くのが「マサイマラ国立保護区」。
隣国タンザニアの「セレンゲティ国立公園」とつながっていて、
ヌーが草を求めて大群で移動し、生命をかけて川を渡ること
でも有名な場所です。

このマサイマラは、まさしく「限りなく広がる大草原」です。
そして、他の保護区に比べて、圧倒的に動物の種類が多く、
そして動物との遭遇率も高い。まさに「野生の王国」です。

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【サバンナにかかる虹】マサイマラ国立保護区

私が毎回ここを訪れるのは、いろんな種類の動物を撮れる
から、というのもあるのですが、何といっても美しい夕景に
出会えるからです。

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夕陽の中を歩くキリン(マサイマラ国立保護区)

私は、この美しい夕景に出会いたくてマサイマラに来ている
と言っても過言ではありません。

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草原を見つめるダチョウ(マサイマラ国立保護区)

下の写真はアンボセリ国立保護区という、キリマンジャロの
ふもとにある国立保護区で撮影したものですが…

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ゾウの家族(アンボセリ国立保護区)

マサイマラに限らず、野生動物がいる夕景というのは、何で
こんなに美しいのでしょう…。

野生動物には、24時間とか365日とかという「時間」の概念が
あるワケではありませんが、「陽が昇る」「陽が落ちる」という
「1日」というサイクルは、私たちと同様に持っています。

そうしたサイクルを、野生動物たちは淡々と生きている…。

夕陽は「その日」の終わりであり、彼らが夕陽の中に存在
するということは、彼らが「その日を生きた」という証しです。
私は、サバンナの夕景の中に自分の身を置くとき、彼らの
生命力を感じます。だからこそ「美しい」と思えるのかも。

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赤い光の中で…(マサイマラ国立保護区)※動物はトピ

普段の生活では、私たちは夕方になると「今日の終わり」
を実感するものですが、サバンナで夕陽を見ると「明日への
つながり」を強く感じます。

それも、そうした野生動物たちが「1日」というサイクルを
淡々と紡ぎながら生きている…つまり、「今日の終わりは、
明日の始まり」ということだからなのかもしれません。

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もちろん、夕陽の光景ばかりがサバンナの美しい光景
ではないのですが、この瞬間はいつ見ても圧倒され、
どの夕陽のカットを見ても、その写真を撮影したときに
流れていた風を思い出すことができるのです。

「ケニアへ行ってみたい」という人に、ここまでを伝える
ことは難しいとわかっていますが…
でも、やっぱり伝えたい、そして実際にサバンナで感じて
欲しい、と思ってしまうのです。

あー、今回の記事も長くなっちゃった…

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2009年10月11日 (日)

こわい動物と、かわいい動物

個展すら開いたことがなく、せいぜい自作の動物写真カレンダーを
周囲の人にしか配ったことがない私は、自分の写真に「感想」を
寄せていただく機会がなかなか無いのですが…。

一緒に仕事をしているコピーライターのU氏が、こんなことを
言ってくれました。

だいさんは…
「こわい動物」をかわいく、「かわいい動物」をこわく撮りますね。

そのU氏も、カレンダーを差し上げたうちの一人。

お仕事柄、普段からいろんな写真を目にされている方だけに、
そのような方からご感想をいただけたのは、とても嬉しいことです。

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【カリフォルニアアザラシ】いしかわ動物園(石川県能美市)

「こわい動物をかわいく、かわいい動物をこわく…」

なるほどね、そういう風に撮っているのかな。
自分ではあまりそんな意識はしていないんですけれど、
言われてみると「そうかもなぁ」と思える部分もある。

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【ライオン】いしかわ動物園(石川県能美市)

そしてそのU氏は「写真には人柄が出ますからねぇ」とも。

うむ、「こわい動物をかわいく、かわいい動物をこわく」撮る
私の「人柄」とは、いったいどんな人柄なのでしょう!?

…なんてコトも思ったりもするのですが(笑)

動物園でも、ケニアのサバンナでも、動物と向き合うときは、
実はあんまり「こう撮ろう」とか「こういう表現にしよう」とか、
理屈とか理由とか、考えていないのが、正直なところです。

レンズ越しに動物を眺めて、「おっ!」と思った瞬間を切り撮る、
なんて言うとカッコイイですけれど、要するにインスピレーション
頼みに写真を撮っているということでしょうね。

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【アルダブラゾウガメ】茶臼山動物園(長野県長野市)

そんな撮り方だから、失敗作品も当然多いですし、
その日の体調や精神状態によって、写真にムラができちゃう。
さらに問題なのは、いつまで経っても技術的に上達しない(苦笑)

ま、でも、私が撮っているのは記録写真じゃないし、
かといってゲージュツ写真でもない。「自分が撮った動物写真」
というカテゴリーなんですね、自分としては。

とか、屁理屈を言ってみたりして。

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【ニホンザル】富山市ファミリーパーク(富山県富山市)

いっぽう、「伝えたい」という思いで写真を撮っているのは事実。
「何を」という主語がなかなか見つからないのが悩みですが…。
そんな時にU氏からいただいた感想は、大きな刺激というか、
ひとつの道標になったような気がします。

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【ワオキツネザル】いしかわ動物園(石川県能美市)


自然体で撮っていけば、いいんじゃないかな…。
これまで通り、自分の直感を信じてシャッターを切ることが、
そのまま「主語」につながっていくのかもしれない。
アレコレと頭で考える前に、自然体で動物と向き合うことが、
やはり大切なのでしょうね。

U氏のコトバは、そんな示唆になったような気がします。

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【ケープハイラックス】いしかわ動物園(石川県能美市)

しかし…。

「こわい動物をかわいく、かわいい動物をこわく」撮るという
私の「人柄」ってナンなんだろう?やっぱり気になるなぁ(笑)

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2009年10月 9日 (金)

赤そばの里

昨年の今ごろ、どこに行っていたのかな…
そう思って、昨年の写真を眺めていたら、信州伊那高原の
「赤そばの里」で撮影した写真がありました。

【赤そばの里】長野県上伊那郡箕輪町
(2008年10月撮影)

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日本で見るそばの花は、ふつうは白いものですが、
ここのそばの花は文字通り赤いのです。

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この畑がある、長野県箕輪町のホームページによると、
そばの原産地である中国雲南省からヒマラヤにかけては、
ピンクや赤いそばの花があるとのこと。

1987年にヒマラヤのふもと、標高3800メートルのところ
から採取された赤いそばを持ち帰り、品種改良を行って
真紅の花をつくり、「高嶺ルビー」と名づけたのだそうです。

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「赤そばの里」は、大きな畑一面に赤いそばの花が咲き、
さらに背景には緑の木立と青い空が見えるということで、
写真愛好家にとっては、絶好のロケ地でもあります。

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しかし…撮影の名所にありがちな、有名ポイントにはたくさんの
カメラマンが集まっている、という光景はここでも見られ、
中には観光に来た人に対して「邪魔になるからどいて!」と
叫んだりする人も。

そんなコトを言う権利、もちろんアリマセンけどね。
どうも、立派なカメラを持つと「特権意識」が生まれるらしい。
たくさんの人が来る観光地なのだから、それを前提に写真を
撮るというのがマナーでしょう。人がいない光景を撮りたいなら、
夜明け前からポジション取って、夜明けと同時に撮影を開始
すれば良いんです。

マナーの悪いカメラマンが増えてきたせいか、撮影に行っても、
肩身の狭い思いをすることが多くなってきました。
…と、変な方向に話がそれてしまいました。

で、ふたたび話題は赤そば。
ほとんどのカメラマンが引きの写真を撮っている中で、僕は
赤そばの可憐な花に誘われて、クローズアップで撮影。

赤そばの花はおいしい花粉があるのか、こうしたハチたちが
そばの花の花粉をしきりに集めていました。

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ハチ以外にも、いろんな虫たちが集まってきていて…
カメムシの緑色と赤い花とのコントラストもキレイです。

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さて、そばの花なのですから、当然そばの実があるワケで、
そうなると、その赤いそばの実で作ったお蕎麦もあるワケで。

はい、ここの箕輪村には、ちゃんと「赤そばの蕎麦」を食べる
ことができるお店があります。そしてそのお蕎麦は…
やはりほのかに赤いんです!

味わいは、ひと言でいえば「濃厚な味わい」です。
普通のそばの実からつくる蕎麦よりも、かなり素朴な感じ
ではありますが、香りが強くて凝縮感があるため、そば汁に
つけなくても美味しい、いや、まずはそば汁ナシで味わうことを
オススメします。

と、ここでその蕎麦の写真をお見せしたいところなのですが、
とても美味しくて(お腹もペコペコで)写真を撮るのも忘れて、
無我夢中で食べてしまい…「あ、写真!」と気付いた時には
すでに目の前のザルは空っぽになってました。

というワケで、赤そば。
9月下旬~10月初旬が見ごろです。オススメです。
(食べる方の赤蕎麦は、年中食べられるそうです)
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2009年10月 8日 (木)

台風の日にブログオープン

ここ10年で最大級の台風がやってくる…typhoon
そんな日に、ブログをオープンします。

外はだんだん風が強くなってきて、「いよいよ来たか!?」という
感じになってきました。
台風や大荒れの天気のときは、土砂災害や水害が起こることも
あるのでこんなコトを言うのは不謹慎かもしれませんが…
何故だか知らないけれど、子供の頃から「台風が来る夜」という
のは、何だかワクワクしちゃうんですよね。
だんだん激しくなる風雨の音を聞きながら、ひと晩中テレビの前に
座って、ぼーっと台風情報を眺めていたりしたものです。
(今もやってるけどbleah

いや、台風そのものが好きなのではなくて。
大荒れの天気の中で、自分は雨も風も吹き込まない静穏な空間に
いる…外と自分の空間との、そんなギャップを体感することが好き
なのかもしれません。

…なので、実は大荒れの天気の中でドライブするのも、好きです。

今夜もそんな「空間」を楽しみたいものですが。
明日も仕事だし、寝なくてはいけないのが悲しいところですね。

そんな記事から始まるブログです。

いちおう「動物カメラマン」なので、主に動物写真を交えながら、
イロイロな話題を綴っていこうと思います。
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