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2009年10月25日 (日)

総合学習

先日、近所に住むプロダクトデザイナーのNさんから、
「あの…ちょっとお願いごとがありまして」
と、神妙な顔つきで話しかけられました。ナニゴトかと思ったら…

「だいぴんさん、ウチの娘にケニアのお話をしてもらえませんか?」

どうやら、小学校の総合学習で「自分の好きな国の研究をする」という
課題が出たらしく、Nさんの娘さんは「ケニア」を選んだようなのです。


というワケで、昨日はにわか「ケニア塾」を開催したのでありました。


World_map_1600

【さて、ケニアはどこでしょう~?】

「ケニアへ旅行に行きたい」というオトナには、これまで何度も説明会を
開催してきたので、それなりの資料も揃っているのですが…

それはあくまでも「旅行」というエンターテイメント向けの説明資料。
サバンナや野生動物の魅力や、サファリの様子などをまとめたもので、
とても「総合学習」向き、いや、それ以前に小学生向きではありません。

Tourguide
【自作の旅行説明資料から】~これじゃ「総合学習」には使えない!

というワケで、昨日は朝から資料作り。

自分で撮った写真は、動物写真がメイン。動物のこと、サバンナのことは
ある程度素材が揃いますが、「ケニア経済」「ケニア文化」となると素材が
ほとんどありません。

それに、あまり広範囲な話をすると、テーマが散漫になって「研究」として
まとめにくいだろうから、話題はなるべくシャープにしないといけないし。

さらに、どうやら「発表」をするらしいので、クラスのみんなの興味を引く
内容にしてあげないと…ということは、やっぱり動物の話題がメイン?
でも、単に動物写真を紹介するだけじゃ「研究」にならないよなぁ…。

などと、いろいろと考えた結果。

「ケニアの野生動物の多様性は、ケニアの気候と関係がある」という
ストーリーを組むことに決め、最終的には「地球温暖化の影響」という
タイムリーな話題に落とし込むことにしました。

さ~て、これを小学4年生向けに、どう説明するか!?

Ke07110020_33
【サバナ気候】サンブール国立保護区(2007年の雨季に撮影)

まずは小学4年生が学校で習う社会、理科のおおまかなレベルを
研究することからはじめなければなりません。

 「サバナ気候」という表現は使えるのかな?
 「赤道」って習うのかな?
 「食物連鎖」「生態系」を、どう説明すれば良いのかな?

…などなど。それに、とにかく事実は客観的かつ正確に伝えないと
いけないから、「知っている」と思うことでも、ちゃんと調べないと。

うーん、なかなか難しい。いや、けっこう手ごわい!

子供の日々の質問に答えている先生や、お父さん・お母さんって、
すごいよなー、などと思いつつ、カリカリと調べ、資料作りを開始。

いろいろと調べ、まとめあげていくと、これまで散在していた知識が
体系的にまとまり、自分にとっても、けっこう良い勉強になりました。

そして夕方の「勉強会」開始時間ギリギリまで資料を作り、
ようやく印刷をかけはじめたころに、Nさんの娘さんのHちゃんと、
そのお友だちのMちゃんがやってきました。

R0010801_rr
【勉強会、開始~!】…再現画像ですけど

まず、「なんでケニアを研究対象に選んだの?」と聞いてみたら、

「他の人たちとはまったく違う国を、やってみたかったから!」
「他の人はアメリカとか、ヨーロッパが多いみたいだし…」

と、なかなか良い回答。しかし、その次にすかさず、

「ケニアだったら、だいぴんさんに聞けば、何でもわかるし!」

…う~む、最初からアテにされていたのですね(苦笑)

ま、でも、動機が何であれケニアに興味を持ち、ケニアについて
知ってもらえることは、私にとっては嬉しいことです。

Ecological_chain_r
【勉強会資料から】「食物連鎖」の概念は小学6年頃のテーマかも?

勉強会の途中で、

「標高が高いと太陽に近くなるのに、何で気温は下がるの?」

といったような、ヒヤリとする質問もいくつか飛び出しましたが、
和やかに勉強会は進み、無事に終了しました。

小学4年生にとっては、情報量がとても多い1時間強の勉強は
少々厳しかったようで、Mちゃんは途中で思考停止状態に…(笑)
でも、Hちゃんは最後まで質問の連発で、ちゃんと最後には、

「私たちの生活が、動物たちにも影響を与えているのね」

と、しっかり「地球温暖化の影響」まで理解してくれたので、まずは
良かったかな。あとは、どう「発表」にまとめるか、が心配ですけど、
そこはすかさず「また相談に来ま~す」とHちゃん。

その発表を見てみたいなー、と、ちょっぴり思った私でした。

せっかくなので、昨日の勉強会の中から1つマメ知識をご紹介。
勉強会のいちばん最初に説明したことから…

Kenyarep_flag

これはケニアの国旗です。
「黒」「赤」「緑」の色の間に、「白」のストライプ。
そして真ん中には「盾」と「槍」の模様。

その1つ1つには、こんな意味があります。

 【黒】
 ケニアの「人」を表しています。
 ケニアの人々の肌の色である「黒」に対する誇りを示します。

 【赤】

 イギリスからの独立戦争の際に流された「血」を表しています。
 独立が多くの人の犠牲によって勝ち取られたことを示します。

 【緑】

 大地を表しています。限りなく続くサバンナの色です。
 【白】

 平和を表しています。「白」が「黒」「赤」「緑」の間に位置している
 ことからわかるとおり、ケニアの平和はそれらの調和の中で
 成り立っていることを示します。

ケニアはアフリカ諸国の中では、1963年の独立以来、紛争や
戦争がない、数少ない平和な国の1つです(※注)

 【盾と槍】
 イギリスからの独立戦争の際、イギリス軍は銃を使いましたが、
 ケニア軍は銃を使わず、盾と槍で独立を勝ち取った誇りです。


 (国旗の解釈は在日ケニア大使館ホームページを参考にしました)

国旗には、その国が建国された時の理念や思いが込められて
いるものですが、ケニアの場合は政治的な問題は多少あれど、
その理念が生き続けている、アフリカ諸国の中では数少ない国の
ひとつなのではないか、と思います。

Masai_friends
【マサイの友人】ケニアを訪れると、会いにきてくれます。

伝統を大切に守りながら近代化の道を歩んできたから…という
政策的なこともあるでしょうけれど、ポレポレだけど前向きで、
そして何よりも底抜けに明るいケニアの人々が、その支えに
なっていることは言うまでもありません。

Masai_friends2_2
【ケニアの友人】この2人とは、もう5年以上の付き合いかな。

最近はもっぱら動物写真を撮ることが目的で訪れるケニアですが、
今回の勉強を通して、「やっぱりケニアそのものが好きなんだな」と
改めて思った自分なのでありました。



(※注)「建国以来、紛争や戦争がないケニア」について
2007年12月末の総選挙の際、その選挙結果に端を発して
ケニア国内各地で暴動が起きました。暴動は2ヶ月近くに及び、
日本国内の報道では「民族紛争勃発」「ナイロビはゴーストタウン」
などと報じられ、私も大変驚き、心配しました。

この暴動に対しては様々な見方がありますが、私個人としては、
一部の人々が選挙結果の混乱に乗じて暴徒化して周囲を扇動、
略奪行為や暴力事件を発生させ、結果的に多くの人々の命が
失われ、一部の地域では難民まで生み出してしまったもの…と
捉えています。(あくまでも私個人の考えです)

実際、この暴動騒ぎの間でも、ナイロビ市内のスラム地区では
混乱が生じ、一部の地方都市では悲惨な事件があったものの、
ナイロビ市内やケニア全体としては平穏な地域が多かったのが
実際のようです。

「ナイロビがゴーストタウン化した」という日本での新聞記事は、
記者が実際に取材したものではなく、ナイロビ在住の日本人が
「現地情報」として、事実確認もせずに無責任に発信したブログが
発端とも言われています。

私がケニアの友人たちから受けたメールや、たまたま暴動が
発生した期間に居合わせてしまった旅行者から聞いた話は、
「そのような事実はない。一部危険な地域はあるが、他は平穏」
「危険な場所に近付かなければ、問題はない」という内容でした。

つまり、暴動そのものは民族間の紛争という類のものではなく、
また、政治的な内紛というものでもなく、ケニア国内で近年大きく
なっている格差社会が生み出した、社会的な歪みが原因だと
私は思います。

もちろん、いかなる原因であれ、暴力は憎むべき行為であり、
それによって人々の生命が失われるのは、悲しいことですが、
ケニアが平和で「紛争や戦争がない国」というのは事実であり、
もともと平和を尊ぶケニアの国民性からしても、それは今後も
続くだろうと信じています。

暴動事件から2年近く経ちますが、いまだに「暴動があった」と
いう理由で、ケニアを避ける方がいるのも事実です。
その事実を打ち消すことはできませんが、少なくとも現在の
ケニアは平穏であり、人々は明るく、平和を尊んでいることを
お伝えしたく、敢えてこうした問題について意見を書きました。

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コメント

 さすが!! だいぴんさま~

 子供相手と言えども 手を抜かず・・・というよりむしろ より手をかけて 準備をするあたりは、 だいぴんさまゆえ でしょう~


 子供を大事にする人を見ると 嬉しくなってきます。 
 そして レクチャーを受けたお子さんも 幸せですね? さて 彼女の中に いったい どんな世界が思い描かれたでしょう? 

 単なる興味が アフリカへの第一歩ですからね~
(私もそうでした・・・)

 彼女のレポートが どんなふうに まとまったか?それも興味津々です。 

 感性豊かな 子供たちに もっともっとだいぴんさまのお話や写真を見せてあげたいですね? 

投稿: beauty-no1 | 2009年10月28日 (水) 00時26分

beauty-no1さま

コメントありがとうございます!

子供に夢を与える、というと、子供にとっては押し付けがましい言い方なのかもしれませんが、いろいろな世界を見るチャンスを与えてあげる、というのはオトナの責任なのではないか…と、今回は改めて思いました。

beauty-no1さんの生徒で、「将来は『国境無き医師団』に入りたい」と頑張っている子がいる、と伺ったことがありますが…

そんな大きな夢も、最初は小さなキッカケから生まれていくんですものね。

私のケニアの話から、ケニアだけでなく動物や、自然や、環境や…さまざまなことに興味を広げて、子供たちが何かしら大きな夢を描いてもらえたら、とても嬉しいです。

またこういう機会があれば、ぜひ子供たちにお話をしていきたい、と思いました。

投稿: だいぴん | 2009年10月29日 (木) 01時12分

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