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2009年10月21日 (水)

ケニアの大干ばつ

つい先日、ケニア現地からこのようなメールが届きました。

 現在、ケニアは大干ばつに見舞われており、野生動物は
 やせ衰え、サバンナのあちこちに動物の死体がある状況。
 サファリに行っても動物は少なく、近年まれに見る悲惨な
 光景が広がっています。

 マサイマラ国立保護区のマラ川も水が干上がり、ヌーも
 命がけで川を渡る必要はありませんが、それ以前に
 水も草もない環境で、生きていくこと自体が危機的な
 状況にあります。

マラ川とは、ケニアの隣国タンザニアのセレンゲティ
国立公園と、ケニアのマサイマラ国立保護区の間にある
川で、草を求めて大移動をするヌーやシマウマが、生命を
かけて壮大な「川渡り」をすることで有名な川です。

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【マラ川を渡るヌー】マサイマラ国立保護区

とても気になる情報だったので、あちこちを調べてみました。

有名なネイチャー系雑誌「ナショナル・ジオグラフィック」の
ネットニュースに、その干ばつ関連の記事を見つけました。
記事によると…

 この10年で最悪の干ばつがケニアを襲っている。
 …ケニアでは毎年3月、4月になると雨季が訪れるが、
 今年は全国的に雨が降らなかった。

 野生動物保護当局の発表によると、ライキピア高地や
 サンブル国立保護区の周辺地域では、今年だけで少なく
 とも38頭のアフリカゾウの死体が見つかっている。
 さらに南のアンボセリ国立公園では、子ゾウ30頭が命を
 落としているという。当局は、水やエサ不足による餓死か
 免疫力低下による病死を死因として挙げている。

やはり、かなり深刻な干ばつのようです。

「38頭のアフリカゾウの死体」というと、「そんなモノか」と
思われるかもしれませんが、これは「発見されたもの」の
数であり、実際にはこの何倍もの数のゾウが死んでいる
ことには間違いありません。

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【ゾウの親子】アンボセリ国立保護区

また、当然のことながらゾウ以外にも多くの動物が命を
落としているワケで、今回の大干ばつで生命を落とした
野生動物は、かなりの数になっていることでしょう。

今回のこの大干ばつが、地球温暖化の影響なのかどうか
安易に断定することはできません。地球の気候サイクルの
中では、地球温暖化が顕在かする以前から、大干ばつが
あったのも事実だからです。

ただ、問題はこの大干ばつが引き起こしている、人間と
野生動物の間の軋轢(あつれき)にあります。
同じくナショナル・ジオグラフィック誌によると、今年の
ケニアは大干ばつや、大統領選挙のゴタゴタも影響して
農作物が十分に収穫できず、

 そのような状況もあり、牛飼いたちは水場や放牧地を
 求めて国立公園や保護区に畜牛を不法侵入させている。
 マサイマラ国立保護区を上空から見下ろすと、ウシの
 群れの通り道が奥深くまで続いている様子を確認できる。
 草が食べられて土がむき出しになっているのである。

という状況のようです。

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【牛の放牧をするマサイ族】マサイマラ国立保護区

動物保護区周辺住民と野生動物との軋轢は、今回の
大干ばつに限ったことではなく、常に存在している問題で、
私自身もそうした問題に直面した経験がありますが…。

今回の大干ばつで、さらに軋轢が深まっている様子です。

年々、野生動物の数が減っているのは事実です。
私がケニアを訪れているここ10年で見ても、それを実感
しています。それは気候のせいというよりも、人間が野生
動物たちのフィールドを侵していることの方が、直接的で
大きな原因になっていると思います。

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【野生動物の生命を育む草】マサイマラ国立保護区

人間の都合で減ってしまった野生動物を、逆に保護しよう
とすると、今度は周辺住民との軋轢を生み出してしまう…
なんとも皮肉な構図ですが、その構図の狭間で、結局は
野生動物たちが翻弄されている、というのが現実でしょう。

D30_9041
【草原のトピ】マサイマラ国立保護区

かといって、人間の生活を無視して「野生動物を守るべき」
と声高に言うのもナンセンスだと思います。

なぜならば、野生の王国ケニアでさえ、野生動物たちは
人間の経済活動を無視しては生きていけないからです。

動物保護区の入園料や、世界各国やNGOからの援助が
動物保護に役立っていることは事実ですし、保護区周辺に
住む人たちも、動物保護区での仕事や、動物が目当ての
観光客が来ることによって生活ができるのもまた事実です。

大切なことは、人間と野生動物が共存すること。

それは、ケニアの人々と動物だけの問題ではなく、私たち
地球人全ての問題です。たとえライオンやキリンの近くで
生活していなくても、私たちの生活、経済活動が、地球上
すべての野生動物、自然環境に影響するのですから。

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【水を飲むアミメキリン】サンブール国立保護区

私たちは野生動物たちと同じ空気を吸っています。
私たちは野生動物たちと同じ水を飲んでいるのです。

野生動物が吸う空気が汚れたとき、私たちも汚れた空気を
吸うことになります。
野生動物が飲む水が枯れ果ててしまったとき、私たちが
飲む水もまた枯れてしまうのです。

「共存していく」ということは、そういうことなのだと思います。

ケニアの今回の大干ばつは、野生動物たちだけでなく、
周辺に住む人々にとっても辛いはず。

10月からケニアは雨季に入ります。
早くまとまった雨が降り、動物にも人にも元気が戻って
くれることを、心から祈っています。

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【草原を渡るグラント シマウマ】マサイマラ国立保護区



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コメント

ダイピンさま、 私も大干ばつのニュースに思わず家事の手が止まりました。 私が見たのは、 サンブルの餓死した動物(ヌーらしき動物)の死骸でした。 

ニュースの中で、ゾウが水や草を求めてさまよい、動物の死骸の合間をぬって歩いている姿は、ぎりぎりで命をつないでいる象徴のようで、胸が締め付けられる思いがしました。

自然の豊かさの恩恵で生きている動物達ですが、豊かさと自然の厳しさは背中合わせ。 やはり一日一日が闘いですね?

今は10月、 雨よ降れ降れ~ 灼熱の大地を潤しておくれ~~~ですね? 

投稿: beauty-no1 | 2009年10月21日 (水) 10時25分

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