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2009年11月12日 (木)

サリーとタレック ~第2話 キャンプにヒョウがいる!~

「サリーとタレック」第2話です。

前回の第1話では、愛媛県立とべ動物園でメスのヒョウ「サリー」が
誕生したことをご紹介しました。

今回は、もう1頭のヒョウ「タレック」のお話です。

タレックは現在、ケニアのナイロビにあるナイロビ動物孤児院にいる、
オスのヒョウです。

タレックは2006年9月生まれ。
今では立派なヒョウになり、動物孤児院の人気者です。
このタレックと私との出会いは、まさに「運命的」と言えるものでした。

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【タレック】今は立派なヒョウになりましたが…

【第2話 タレックがやってきた~キャンプにヒョウがいる!?】

2006年9月上旬、マサイマラ国立保護区に隣接したキャンプサイトを
ベースにして、私はいつもの通り写真を撮っていました。
ある日の夕方、サファリからキャンプサイトに帰って来ると、待っていた
キャンプの料理を担当しているコックのボニーさんから、

 「だいぴんさん、そこにレオパード(=ヒョウ)がいるよ!」

…と、声をかけられました。

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【ボニーさん】キャンプの時には、いつもお世話になっているコックさん

 「え!?レオパード? それも『そこ』にいるって!?」

それにしても肉食動物、それも大型のヒョウが「そこにいるよ」だなんて、
ボニーさんもノンビリしているよなぁ。それとも、いつものジョークかな?
…と思って、「??」という顔をしていたら、ボニーさんがさらに

 「そこのゴミ捨て場にいるから見に行っておいでよ」

と言うので、「まぁ、ジョークだろうな」と思いつつ、何か面白いものが
あるんだろうなぁ、と、キャンプサイトの端にあるゴミ捨ての大きな穴に
近づいていくと…

 「ンギャー、ンギャー」

何だか動物の声、それも明らかに動物の子供の声が聞こえてきます。

P9140125
【ゴミの穴】ここから、声が聞こえてくる…(この写真は後日撮影したもの)

 「ん? なにがいるんだ!?」

駆け寄って中をのぞいてみると…
穴の底で、小さな茶色いかたまりがヨタヨタと歩きながら、鳴き声を
あげているではありませんか。

明らかにネコ科の動物。でも模様はライオンでもチーターでもない…
これはヒョウだ!ヒョウの子供だ!!

おとなのヒョウでさえ、ヒョウは「なかなか出会えない動物」のひとつ。
ましてや、子供のヒョウは、滅多に遭遇できるものではありません。
そんなヒョウの子供が目の前にいるなんて…

「嬉しい」という以前に、まずはビックリです。
しかし、そもそも、なんでこんな穴にヒョウの子供がいるのか!?

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ヒョウの子供は、このような状態で穴に落ちていました。

そして次の瞬間に思ったことは、

 「いったい、この子をどうすれば良いんだろう?」

でした。

既に時間は夕方。周囲はだんだん暗くなってきます。
マサイマラの夜は、フリースが必要なくらいに冷え込みます。
さらに悪いことに、雨が降り出しそうな雲行きになってきました。

ヒョウの子供は、ゴミの穴の底をヨタヨタと歩きながら、大きな声で
鳴いています。これから冷えます。雨も降ってきそうです。

どうすれば良い?救い上げる?放っておく?

とりあえず、ヒョウの子にとって危険が無いかどうかだけ確認し、
その場を離れて、コックのボニーさんたちの所に戻り、ボニーさんや、
ドライバーさんたちと、その子供をどうすれば良いかを相談しました。

彼らの話では、

 「母親が狩りにいく時は、子供を隠して置いておく習性がある」
 「その子供は、隠れ場所からヨタヨタと歩き出してしまった」
 「そして、誤ってゴミ穴に落ちてしまった」

ということが推察できるとのこと。そのいっぽうで、

 人によっては、ヒョウは家畜を襲う「害獣」と見る人もいるので、
 その子供も、地元の人に見つかると殺される可能性がある。

という話も出ました。
「え?そんなことってあるの?」と思いましたが…

もちろん、ヒョウに限らず野生動物を殺すことは、たとえ地元の人で
あっても禁止されています。しかし、家畜を失うことは死活問題でも
あります。ですから、たとえ子供であってもヒョウを殺してしまう人も
いるのだそうです。

そして…「助けるかどうか?」と、みんなでさんざん迷った結果、

 とりあえず、今夜は放置して母親が迎えに来るのを待とう

という結論に至りました。

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まだ目がひらいていません。生後まだ数日と思われます…お母さんはどこに?

外は雨が降り出し、気温もグっと下がり、かなり寒い状況です。
そんな中にヒョウの子供を放置するのは、私たちにとってもつらい
ことでしたが、何よりも母親が現れるのがベストなのですから、
ここはグっと堪えて母親を待つことにしたのです。

キャンプサイトで食事をしているときも、遠くからヒョウの子供の
「ンギャー、ンギャー」と母親を呼ぶ鳴き声が聞こえてきます。
お腹を空かせているだろうと思うと、食事ものどを通りません。

テントの中で寝袋にくるまって寝ているときも、やはり鳴き声は
止むことなく聞こえてきます。

  寒いんだろうなぁ、不安だろうなぁ…
  できることなら、この寝袋の中で暖めてあげたいけど…

そんなことを考えながら、母親が早く来てくれることを祈りつつ、
眠れないままに明け方を迎え…ようやくウトウトし始めたのも
つかの間、ドライバーのジェームスが上げる大声が聞こえ、
「何事か!?」と飛び起きたのでありました。

【つづく…】

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