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2010年1月

2010年1月31日 (日)

いつも一緒だね(1) 市川市動植物園のレッサーパンダ

1月上旬の寒い曇り空の日、千葉県の市川市動植物園へ行ってきました。

この日は本当に寒く、どんより曇った空から時おり雪がチラつくほどで…

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ボクはウールを着てるから、寒くないもーん
(なかよし広場のヒツジ)

んー?「ウールを着てる」って?

そうじゃないでしょ、キミはウールそのものでしょ!
しかし、確かに暖かそうでうらやましい…

休日というのに、寒いためか園内は人も少なく、余計に寒さを感じます。

市川市動植物園は市立の動物園です。
全国には「市立」動物園が結構あるのですが、横浜市や千葉市などの
巨大な市の動物園は別として、市立の動物園の多くは規模も小さく、
動物の種類も決して多くはない動物園が多いようです。

しかし、そうした動物園は、市民の憩いの場として家族連れで賑わい、
お昼どきになると、あちこちでお弁当を広げている光景を目にします。

そんなホンノリした光景を眺めながら、のんびりと小さな動物園での
お散歩を楽しむのも、私はとても好きです。

ちなみに、こうした動物園は、動物の距離が案外と近く、動物写真を
撮るには良い環境が多かったりするのも、私が「市立」の動物園を
好きな理由でもあります。

さて、そろそろ…

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また、前置きが長いんじゃないのー?
(ムシャムシャとお食事中のエリマキキツネザル)

…やっぱり来ましたか、「前置き長い!」のイエローカード。

はいはい、ではでは話題を本題に進めていくことにしますね。

市川市動植物園は小動物がメインの動物園ですが、その規模の割に
レッサーパンダがたくさんいる動物園でもあります。

動物園を訪れたときは「なんで、こんなにたくさんいるんだろう?」と
思っていたのですが、家に戻って調べてみたら、市川市動植物園は
なんと「レッサーパンダがきっかけで設立された動物園」だったのです。

市川市動植物園のホームページによると、市川市と友好都市関係の
中国四川省楽山市から、1986年に2頭のレッサーパンダが贈られた、
というのが開園のきっかけになったとのこと。

当時はまだ、レッサーパンダを飼育している日本の動物園は少なく、
中国まで職員を派遣して飼育方法の研修を受けてきたようです。

2頭のレッサーパンダ「真真(シンシン)」「誠誠(セイセイ)」が動物大使
として市川市にやってきた時は、動物園自体はまだ未完成…
つまり、市川市動植物園はまさに「レッサーパンダから始まった」という
動物園なのですね。(開園そのものは1987年8月)

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で、レッサーパンダはまだ出て来ないのかい?
(引き続きムシャムシャとお食事中のエリマキキツネザル)

はいはい、お待たせいたしました。

では、レッサーパンダに登場していただきましょう。

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はい、ワタクシがレッサーパンダでございます。

お待たせいたしました。
今や動物園の国民的(?)人気者、レッサーパンダです。

「後ろ脚で立つ」ことで有名になった千葉市動物公園の「風太」で
すっかりと知名度を上げたレッサーパンダですが、それまでは
「パンダ」と言えば白と黒の「ジャイアントパンダ」の方が有名で、
レッサーパンダはマイナーな存在でした。

「レッサーパンダ」と「ジャイアントパンダ」、どちらも「パンダ」と
名がつく動物ですが、その大きさや体格は大違いですよね。

それもそのはず、ジャイアントパンダは「クマ」に近い仲間で、
レッサーパンダは「アライグマ」や「イタチ」に近い仲間なのです。

レッサーパンダがメジャーになってきたせいか、動物園にいると
「アライグマ」を指差して「あ!風太だ!」と言う子供をよく見ます。
つまり、アライグマとレッサーパンダを間違えているワケですね。
(「レッサーパンダ」=「風太」と思っている子も、けっこう多い)

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ボクがアライグマですが、それが何か?

うーん、似ているといえば似ていますね。
小さい子供だったら、見分けがつかなくても不思議ではありません。

レッサーパンダは夜行性で木登りが得意。
レッサーパンダの放飼場を見て「あれ?いない?」と思ったら、
木の上をよく探してみてください。たいてい、日中は木の上で昼寝を
しています。動物園によっては、すごく高い木を放飼場に植えている
ことがあって、はるか頭上の木の葉の陰に寝ていることもあります。

そんな習性なので…

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とっても寒い中、木の上でスヤスヤお昼寝中…

まるで木に生っているように2頭のレッサーパンダが寝ています。

もともと、レッサーパンダは中国やネパールの標高が高い森林や
竹林にすむ動物なので、寒いぶんには大丈夫。
そのぶん暑さにはとても弱くて、真夏に見ると木の葉の茂みの中で
ダラ~ンと手足を伸ばして寝ている姿をよく見ます。

さて、この2頭。

寝てばかりで動こうとしないし、コチラは寒いし…
そろそろ移動して、暖かいレストハウスでコーヒーでも、と思ったら。

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「ねぇ、寝てばかりいないで、遊ぼうよー」
「…むにゃむにゃ」

と、何やら1頭が動き始めた様子。

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「ねぇねぇ、起きて遊ぼうよー」
「んもー、ウルサイなぁ、安眠妨害するヤツは…」

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「こうしてやるッ!」

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「バシッ!!」

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「んが~ッ!!」

…と、見せてくれました。

もちろん、これはケンカをしているのではなく、ジャレているだけです。
当然、実際には「バシッ!」となんか、音はしていません。

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じつは、いつもは仲良しなんだもんね

なかなか表情豊かなレッサーパンダたちでした。

さて、レッサーパンダは中国やネパールの竹林に住んでいるのですが、
市川市動植物園の竹林には、こんな鳥が…

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わたくし、市川の竹林に住むエミューでございます。

おー、なんと、エミューの凛々しい姿です。

しかし、エミューが竹林に!?

エミューはオーストラリアの半乾燥地帯に住む「飛べない鳥」。
竹林にエミューがいる構図は、どう考えてもアンバランスなのですが、
市川市動植物園ではそのアンバランス、いや、むしろエキゾチックな
雰囲気を見ることができます。

さて、そんな市川市動物園で、こんなに楽しいものを見つけました。

それはコチラ。

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動物園入り口にある、記念写真用の絵です。

これだけ見れば「そんなの、よくあるでしょ?」と思うのですが、
この看板の裏側が楽しいんです。

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動物園から帰るときは、この裏側が見えるワケで…

うーん、よく出来ている。

表側に描かれた動物たちの後姿が、これまた忠実に描かれて
いるのです。私は表側と裏側、何度も見比べてしまいました。

この気の利いた手作り感が、小さな動物園ではたまりません。
市川市動植物園、なかなか楽しめますよ。

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いつも一緒だね!

動物たちの仲良しの姿を、これからも時々掲載していきます。
お楽しみに!




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2010年1月27日 (水)

サバンナの風に聴く(5) Back Ground Music

私が好きな映画のひとつに「Out of Africa(邦題:愛と哀しみの果て)」
という映画があります。

この映画はデンマークの小説家、アイザック・ディネーセンの同名小説
(邦題:アフリカの日々)を原作としたもので、20世紀初頭のケニアを
舞台に、愛と冒険に生きたひとりの女性(モデルは作者本人)の半生を
描いた、ラブロマンス映画です。

ケニアのサバンナを背景に、シドニー・ポラック監督が描いた壮大な
映像は大変美しく、メリル・ストリープとロバート・レッドフォードという
二人の大俳優の素晴らしい演技も相まって、とても素敵な映画です。

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広大なサバンナ (ケニア・マサイマラ国立保護区~気球より撮影)

この映画では、モーツァルト「クラリネット協奏曲イ長調」の第2楽章が
使われているのですが、これが映画の中ではサバンナにとてもマッチ
していて、サバンナがよりいっそう輝き、美しく見えてきます。

私自身、音楽は大変好きで、クラッシックはもちろんのこと、ジャズから
ロックまで幅広い音楽を、いつも聴いています。
そして、映像と音楽を合わせて楽しむこともとても好きで、自分で撮った
写真と音楽を組み合わせてスライドショーを製作したりもします。

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草原のチーター (ケニア・マサイマラ国立保護区)

音楽は、映像を美しく見せ、感動をより深くしていく…
言葉で説明するよりも、音楽を添えた方が、映像はよりいっそう饒舌に
なったり、静かに深く語りかけてくれることがあるものです。

音楽を使用した私のスライドショーを見た人から、「実際にサバンナに
立ったとき、聞こえてくる音楽は何ですか?」と問われたことがあります。

そういう時には、例えば「モーツァルトのクラリネット協奏曲ですね」とか、
「やはりTOTOの『AFRICA』でしょう」とか言えば良いのでしょうけれど…

実際には、「アタマの中に、音楽は何も流れません」というのが答えです。

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果てしなく続く、ヌーの群れ (ケニア・マサイマラ国立保護区)

それは、想像力が乏しい私だからなのかもしれませんが…
あるいは、撮影で精一杯で、音楽を思い浮かべるまでの余裕が無いから
かもしれませんが…

あまりに壮大で、美しい大サバンナの光景は、ただ前にするだけで私の
小さな右脳を大きく満たしてくれるので、音楽など思い浮かばない、いや、
音楽などは必要ないのです。

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マサイキリンの家族 (ケニア・マサイマラ国立保護区)

…と、言い切ってしまうと、何だかつまらなくなってしまうのですが。

でも、ケニアで撮影した写真を自宅で眺めるときには、BGMが欲しく
なります。実際にこのコラムも、愛用のiPodで音楽を聴きながら書いて
いたりします。

不思議なもので、サバンナを離れると、音楽がサバンナへの憧憬を
深めてくれたり、感じていた風を思い出させてくれたりするのです。

そんな私が、サバンナの写真を眺めるときに好んで聴く音楽は…
 「パガニーニの主題による狂詩曲」より第18変奏
 「ガブリエルのオーボエ」(ヨーヨー・マのチェロによる演奏)
 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から間奏曲
などなど。クラッシックで、ゆったりと広がりを持つ曲が多いようです。

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草原を歩くアフリカゾウの家族 (ケニア・マサイマラ国立保護区)

きっとそうした音楽が、ケニアで感じていた空気感を呼び起こして
くれるのかもしれません。

実際に、音楽をサバンナに持ち込んだことは、まだありませんが…

きっとiPodをサバンナに持ち出して、お気に入りの音楽を聴いてみても、
そっとイヤホンを外してしまうような気がします。

サバンナでは空気が、そして風がBack ground musicなのですから。


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オスライオンの昼寝 (ケニア・マサイマラ国立保護区)

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2010年1月24日 (日)

平和への祈りをささげたい ~上野動物園にて

各地の動物園へ動物写真を撮りに行ったり、ケニアまで行って野生動物の
写真を撮っているというのに、以前から肝心なところに行っていないことが
ちょっと気にかかっていました。

肝心なところ…それは上野動物園です。

正式な名称は「東京都恩賜上野動物園」で、JR上野駅前に広がる
上野恩賜公園、通称「上野の森」の中にあります。
周辺には東京国立博物館、国立西洋美術館、東京藝術大学などがあり、
まさに「芸術文化の森」の中にある動物園です。

上野動物園は、日本で最も古い動物園。
開園が1882年(明治15年)の3月。なんと19世紀の開園なのです!
ちなみに、日本で2番目に古い動物園は京都市動物園で、その開園は
20世紀に入ってからで1903年、同じ東京都にある多摩動物公園は
1958年の開園ですから、上野動物園の「古さ」はダントツです。

上野動物園が開園した1882年がどんな年か調べてみたら…
 ◆コッホが結核菌を発見(3月)
 ◆日本銀行が開業(10月)
 ◆東京専門学校(後の早稲田大学)が開校(10月)


…なんだかピンと来ないですけれど、簡単に言えば上野動物園は、
 ●日清戦争(1894年~)より以前からある
 ●大日本帝国憲法公布(1889年)より以前からある
 ●東京・銀座に初めて電灯(アーク灯)がつく(1887年)より以前からある

ということなのです。

上野動物園は、そんな時代から上野の地に存在し続け、動物に親しむ場所
として市民から愛されてきました。

そんな由緒ある動物園にまだ行っていない…
いや、正確には、これまでに行ったことはあるのですが、動物写真を撮る
ようになってからは、行っていないのは「動物園の動物写真家」としては、
失格に等しいかも…!!

というわけで、行って参りました、上野動物園。

人気者だったパンダがいなくなり、入園者数もだいぶ減ったようですが、
それでも日本の動物園ではトップクラスの入園者数を誇ります。

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【上野動物園の正門】
ちょっと地味ながらも、なかなか風格のあるゲート。
整列用の柵が入園者の多さを物語ります。

子供の頃のかすかな記憶は、「モノレールがあった」とか、
「お猿の電車があった」という程度のものしかありませんでしたが…

園内に入って、まずビックリしたのは…

なんと!園内に五重塔があったことです!!
それも、国の重要文化財に指定されている、立派な五重塔です。

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【上野動物園内の五重塔】
正式名称は「旧寛永寺五重塔」。1639年建立。東京都内に残る
数少ない江戸時代からの建造物の1つだそうです。
ちなみに前を歩いているのはタンチョウです。

「古い動物園だから、展示施設も古いのかな?」と想像していたのですが、
その予想に反して園内は新しい展示施設が並び、動物たちの生態を
間近に見ることができる、見応えのある動物園でした。

特に2006年にできたばかりの「クマたちの丘」は、いろいろなクマを
さまざまな視線で見ることができる、楽しい場所です。

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【マレーグマ】陽だまりの中で、気持ちよくお昼寝していました。
クマの中では最小の種類。最大でも体長1m50cm、体重は65kg
ていどにしかなりません。(それでも大きい動物ですが…)

その他、ゴリラ・トラのすむ森、アイアイのすむ森など、様々な施設が
新設されており、多くの人たちで賑わっていました。

冬の晴れた日、陽だまりの動物園散歩を楽みながら歩いていると、
「ゾウの森」という施設に行き当たりました。

そして、そのそばには「動物慰霊碑」が…

そこで、小学校の頃の聞いたことがある、ある「お話」を思い出しました。

その「お話」とは、「かわいそうなぞう」というお話です。
小学校の教科書に載っていたこともあるので、ご存知の方も多いかと
思いますが、ご存知ない方のために「あらすじ」を…。

 【かわいそうなぞう ~あらすじ~】

 第二次大戦が激しくなった1943年(昭和18年)頃の実話。
 物語は、桜が咲く頃の上野動物園…ひっそりとたたずむ慰霊碑の前で
 「動物園の人」が語ってくれた話、ということで始まります。

 空襲によって動物園が破壊され、猛獣が逃げ出すことを想定した陸軍が
 国内の動物園の動物たちを殺処分することを決定しました。

 上野動物園にもその決定が伝わり、ライオンやトラ、ヒョウなど、あらゆる
 動物たちが毒を飲まされて、次々に死んでいきました。

 最後に残ったのは3頭のゾウ。「ジョン」「トンキー」「ワンリー」でした。
 この3頭も、殺処分をしなければなりません。

 まずは「ジョン」からでした。
 ジャガイモが大好きだったジョンには、毒薬入りのジャガイモを与えて
 みましたが、賢いジョンはそのジャガイモをポンと放り出してしまいます。

 仕方なく、注射をして殺処分しようとしましたが、皮膚が厚すぎて針が
 みんな折れてしまいます。

 そこで、餌も水も与えずに餓死するのを待つことにしました。
 ジョンは餌をやらないようになってから17日目で死にました。

 続いてトンキー、ワンリーの番です。
 ジョンの殺処分で非常に辛い思いをした飼育員たちは、地方の動物園に
 2頭のゾウを移送しようと考えるのですが、戦時中ではそうもいきません。

 結局、トンキーもワンリーも餓死をさせることになりました。

 餌をもらえなくなったトンキーとワンリーは日に日に衰弱し、やせ細って
 いきますが、動物園の人たちにはどうすることもできません。
 ある日、動物園の人の姿を見た2頭が、ヨロヨロと近寄ってきて、
 背中と背中をもたれ合わせながら、芸を始めます。

 後ろ足で立ち上がったり、鼻を上げて万歳をしたり…

 芸をすれば餌がもらえると思ったドンキーとワンリーは、よろけながらも
 必死に芸をします。その姿を見て、我慢ができなくなった動物園の人は、
 餌や水を2頭のゾウの足元にぶちまけますが、既に2頭のゾウには
 それを食べる力もなく…

 ついに2頭は餓死してしまうのですが、その最期は2頭とも鉄檻に体を
 もたれさせ、鼻を長く伸ばして万歳のかっこうをした姿でした…

 そのゾウの3頭は、今もこの慰霊碑の下に眠っています。

 (「かわいそうなぞう」あらすじ おわり)

戦争は、人と人が殺し合い、多くの人たちが尊い命を落とす愚行ですが、
動物たちもまた、人間の都合で犠牲にならなければなりません。

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【アジアゾウ】上野動物園のパドックには4頭のゾウがいました(※)
戦争の犠牲になった3頭も、同じような表情を見せていたのでしょう。

「かわいそうなぞう」のお話は、たまたまゾウにフォーカスされていますが、
実際には、その他の多くの動物たちが、それも上野動物園だけでなく、
国内各地の動物園で同様に殺処分されていたことでしょう。

この物語を上野動物園で思い返したとき、私にとって衝撃的だったのは、
「人間の都合」で動物の運命が左右されてしまうのは、野生動物たち
ばかりではない、ということを今さらながら再認識したからです。

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【インドライオン】ゾウ以外の動物たちも、戦争の犠牲になった…
犠牲になったライオンも「その時」まで、こんな平和な寝顔を見せて
くれていたのかもしれません。


「動物たちの危機」といえば…

美しい毛皮がゆえの乱獲で減ってしまった野生動物たち。
人間の生活圏が広がったことによって、生育地域を追われた動物たち。
人間の生活を脅かすものとして駆除されてしまった動物たち。
現在では、温暖化による気候変動で種の存続そのものが危うい動物たち。

そんなことが思い浮かびます。

それらはすべて人間たちが引き起こした野生動物たちの危機であり、
そうした種の危機から動物たちを守る役割のひとつを、人間が運営している
動物園が担っている…はずです。

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【ツキノワグマ】ロープなどで無邪気に遊ぶ姿が、かわいらしい。
里山の減少、荒廃などで「害獣」とも言われてしまうツキノワグマ。
しかし、それも人間の都合。共生するも絶滅させるも人間次第。


しかし、動物園の動物たちでさえ、天寿をまっとうする前に、その生命を
絶たれてしまうことがある。それも、こともあろうに、人間たちが運営する
動物園で、人間たちの手で…。

つまり、地球上の全ての動物たちの運命は、人間の行為に委ねられて
いるということなのです。

私たち人間が原因となり、危機に追い込まれた野生動物たちがいる一方、
野生動物を残していこうという活動が展開されているのは、自然環境に
大きな影響力を及ぼす力を持った私たちの責任であり、大切なことです。

でも、それは、まず私たち人間の世界が平和であってこそ。
大きな戦争でなくとも、アフリカのルワンダやウガンダでは内戦の影響で
ゴリラなどの野生動物が減少してしまった、という事実もあります。

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【ニシローランドゴリラ】背中が白っぽいのは、成熟した「男前」の
ゴリラの証し。「シルバーバック」と呼ばれています。

(ウガンダ、ルワンダに住むゴリラはヒガシローランドゴリラです)


「動物たちが平穏に暮らせない環境では、人間も平穏に暮らせない」


これは私の持論ですが…この「平穏に暮らせない環境」というのは、
温暖化や環境破壊などのことだけでなく、私たち人間の「平和」ということも
含まれるということを、そして何よりも「平和が大切である」ということを、
終戦記念日でもないのですが、上野動物園のゾウを眺めながら思ったので
ありました…。

ちなみに上野動物園の動物慰霊碑では、終戦後60年以上経った今でも、
平和への祈りとともに、戦争で亡くなった動物たちへの慰霊行事が毎年
行われているそうです。

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【カリフォルニアアシカ】人間にとっても、動物たちにとっても、
「人類が平和であること」がいちばん大切なことなのです。


※上野動物園のアジアゾウ
 上野動物園には5頭のアジアゾウがいましたが、そのうち1頭は
 ブリーディングローンで2009年10月より豊橋総合動植物園へ
 移動しています。

 
 

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2010年1月21日 (木)

カピバラが行く(4) ~最終章 埼玉県こども動物自然公園編

これまでに、カピバラについてはコラムをいくつか書いてきましたが・・・

今回はとりあえず「カピバラが行く」シリーズの最終章です。

これまでの記事をまだご覧になっていない方はコチラへ!
 カピバラが行く(1) カピバラの湯
 カピバラが行く(2) カピバラとお友だちになろう
 カピバラが行く(3) 長崎バイオパーク特別編

どの記事も、「カピバラがお風呂に入る」というコラムでしたが、
真冬になって寒くなってくると、このカピバラたちがお風呂に入る光景が
ニュースや新聞に出たりしていたので、その様子をご覧になった方も
多いのではないかと思います。

さて、今回はその最終回。

これまでの「カピバラが行く」でもご紹介しましたが、昨年の11月に
埼玉県こども動物自然公園の新カピバラ舎に露天風呂ができた、
ということで、年が明けてから行って参りました。

これまでのコラムで、カピバラの生態などについては触れてきたので、
今回は純粋に「カピバラ露天風呂@埼玉県こども動物自然公園」の
レポートとしてお届けします。

…というワケで、恒例の長い”前置き”はありません!

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そうだよ、ちょっとは読む人のコト、考えなきゃだめだよ
by ミーアキャット (埼玉県こども動物自然公園)


あら、すみません…

でも、今回は前置きが短い(既に長い?)ぶん、写真満載で行きますよ。

というワケで、埼玉県こども動物自然公園。

埼玉県の中央部、東松山市の丘陵地帯にある広大な動物園です。
「自然公園」と名のとおり、動物たちがいるだけでなく、広場が随所にあり
ピクニック気分が楽しめる、まさに「動物園&公園」。
名称には「こども」の名が付きますが、日本国内におけるコアラの繁殖の
ためのペアリングの動物園として、繁殖に取組んでいる本格派動物園。
コアラを見るならこの動物園だ!と、個人的には思います。

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どもー、こども動物自然公園へ、ようこそ!

いきなりウシくんのお出迎えです。

この動物園は動物の展示だけでなく、乳しぼりやバター作りなども体験
することがでる、動物との距離がとても近い動物園です。

さて、埼玉県こども動物自然公園のカピバラ露天風呂。
その名もズバリ、「カピバラ温泉」です。

事前調査によると、カピバラ温泉の営業開始は午後2時と、ちょっと遅め。
というワケで、例によって開園と同時に入園した私は、カピバラ温泉開始
までの間は、他の動物たちの写真を撮って時間を過ごすことにしました。

ところが、この日はとても寒く「温泉日和」ではあったものの、外に出ずに
飼育舎の中にこもってしまっている動物たちが多く…
もうひとつの楽しみであったコアラも屋内展示のみで、昨年秋に訪れた
ときのように間近で見ることができず、残念でした。

動物園内でお昼を食べて、「さて、そろそろカピバラを撮りに行こうかな」
と思って、カピバラのパドックに行ってみたところ…
まだ温泉営業開始までは1時間もあるというのに、既に多勢の人たちが
集まっていました。

「こ、これは、撮影ポジションを確保しないとマズイかも…」
そう思って、カピバラの露天風呂がよく見えるポジションをまずは確保!
(しかし、その後は多勢の人たちで身動きが取れず…)

まずは、露天風呂の全景です。

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埼玉県こども動物自然公園の「カピバラ温泉」全景

いくつかある日本国内の「カピバラ露天風呂」の中では、ここがもっとも
新しいとあって、さすがに立派な露天風呂です。伊豆シャボテン公園や
長崎バイオパークの露天風呂に比べると、はるかに大きい露天風呂、
広さも深さも十分です。

さて、こども動物自然公園のカピバラたちもお風呂が大好きらしく…

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お風呂、まだ~?

まだ営業開始前なのに、待ちきれない一頭が湯船に入ってます。

そして…それに釣られて、もう一頭、子供のカピバラがやってきます。

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子カピ:とおちゃん、もうお風呂に入ってんの?
親カピ:うーん、まだちょっと早かったみたいだねぇ


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親カピ:息子よ、んじゃ、また出直してくるか
子カピ:とうちゃんは、一番湯が好きだもんね…


やはり、こども動物自然公園のカピバラたちも、お風呂が大好きな様子。

20100110saitama_d30_2891
うーん、やっぱり待ちきれないなぁ

…と、いちど引き上げたのに諦めきれず、ふたたびお風呂に戻ってくる
カピバラさんです。

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母カピ:ウチのとうちゃんのせっかちを、真似したらいかんよ
子カピ:兄ちゃんのせっかちも、とおちゃんのDNAだね…


さて、いよいよ午後2時。営業開始の時間です。

お湯を入れると同時に、動物園スタッフが開店の前に湯船のお掃除を
丁寧にしてくれます。

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「カピバラ温泉」の法被と長靴がキマってます。

そして、お湯張り開始!
そして、それと同時に「一番湯」狙いのカピバラが…!!

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やっぱり、一番湯はゆずれないもんねー

あのー、まだ足元くらいにしかお湯が溜まっていないんですけど…

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兄カピ:とうちゃん、今日も一番湯だねー
父カピ:お、我が息子よ来たか!おまえも早く入ってこい。


上の写真の左端に注目。
飼育担当の人がカピバラの後ろでカスタネットをたたいているのが
わかりますか?

これは、「お風呂にお湯が入ったよ~!」という合図なのだそうです。

もっとも、この合図の前から待ちきれずに入浴意欲満々の2頭がいた
ワケですけれども。

さて、他のカピバラたちも、カスタネットの合図を聞いて続々とお風呂に
やってきます。

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わーい、お風呂だ、お風呂だ~!

…といっても、まだまだ足元くらいにしかお湯は溜まってませんが。

そして、お湯が徐々に溜まってくると、こんな感じで…

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ブクブクブク…ボブボ、ギボヂビビ!(お風呂、気持ちイイ!)

あらら、お風呂に潜ってしまいました。

こども動物自然公園の露天風呂は、ご覧のとおり一部がガラス張りに
なっているので、こうやって潜っている様子がよくわかります。

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ブクブク、ブクブク…

なんと気持ち良さそうなことでしょう。

お風呂で潜るというのは、気持ちいいですよね。
温泉などに行って、誰もいない大浴場や露天風呂で秘かに潜ったり
泳いだりしたことって、ありませんか?(私は、あります)
全身が温かいお湯の中に入るのって、ある種の快感だと思います。

なので、このカピバラの気持ちがよくわかります(!?)

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子カピ:とうちゃん、僕らのお風呂ができて良かったねー
父カピ:ホントにたまらんねぇ、これで冬の楽しみができたねぇ


この日は7頭のカピバラがパドックに出ていて、全員が一斉に入浴。
ただ、長崎バイオパークとちがって、「打たせ湯」の人気はゼロ。
だれも打たせ湯には当たらず、お行儀よく湯船に浸かっていました。

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うーん、気持ちよか~(何故か長崎弁)

こうして、こども動物自然公園のカピバラの湯では、ゆったりとした
時間が過ぎて行くのですが、いっぽうの来園者は、だんだんと陽が傾いて
寒くなり、三々五々にカピバラ温泉から離れていくのでありました。

さて、以前のコラムで…「カピバラ温泉オープンを記念した『温泉セット』
なるものが発売された様子」と書きましたが。

園内の売店で探してみたものの、既に売り切れていた様子。
カピバラ温泉がオープンしてから、もう3ヶ月近くも経つのですから、
売り切れていても当然のことですが、ちょっぴり残念でした。

その代わり、売店でこんなものを買ってみました。

R0012256
オリジナルかぴばらTシャツ&手ぬぐい

このTシャツ、「抜染」という手法で作られたもので、木綿の生成りの
風合いがとっても良い感じ。「おみやげ用Tシャツ」というレベルより
ワンランク上の仕上がりです。

埼玉こども動物自然公園に行った際には、ぜひチェックを!!

20100110saitama_d31_7307
こども動物自然公園は、ピクニック気分が楽しめるよ!
お弁当を持って、遊びに来てね~


は~い、また遊びに行きますねっ!!

※お風呂を楽しむカピバラがいる一方で、雪遊びをするカピバラも!
 そのカピバラって、いったい!?詳しくはコチラへ!

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2010年1月17日 (日)

サリーとタレック ~第3話 Save the Leopard Baby!!

「サリーとタレック」第3話…前回の「第1話」「第2話」からずいぶんと
時間が経ってしまいました。

さて、前回の第2話では、生後間もないと思われるヒョウの子供が
私が滞在していたマサイマラ国立保護区のキャンプサイトに迷い込み、
子供の母親が現れるのを待つために、敢えてひと晩子供を放置した…

という話を書きました。

そして、私自身も子供が気になって眠れぬ夜を過ごし、ようやく明け方に
ウトウトとしたと思ったら…サファリドライバーのジェームスの大声が聞こえ、
「何ごとか!?」と飛び起きたのでした。

Rimg0263
私の良きパートナー、サファリドライバーのジェームス


【第3話 Save the Leopard Baby!!】

あわててテントから飛び出すと、ヒョウの子供が落ちていた穴の所で
ジェームスが両手を振り上げ、大声を出しています。

何が起こっているのかわからず、その様子を呆然と見ていた私の所へ
ジェームスが駆け寄ってきて、

「だいぴんさん、大変!バブーンがヒョウの子供を見つけちゃった!」

と興奮して報告してくれました。

「え?バブーン? …そりゃヤバイ!!」

一瞬、何が起こっているのかわからなかった私も、「バブーン」という名を
聞いた瞬間に、ヒョウの子供が危険な状況にあることがわかりました。

バブーンは、マントヒヒのこと。
マントヒヒにはいろいろな種類がいますが、ケニアでよく見かけるのは
「オリーブ ヒヒ」と呼ばれるマントヒヒです。

J_34
【オリーブ ヒヒ】(ケニア・アンボセリ国立公園)
身長80センチ近くになる、中型のサルです。

サルというと、木の実や葉など植物性のものを食べる印象ですが、
このバブーンは雑食性で、動物の肉なども食べています。

ヒョウやチーターなどが獲った獲物を横取りすることもあり、
私も実際に、バブーンが獲物を横取りしているシーンを目撃したことが
あります。そんなバブーンにヒョウの子供が見つかったら…

間違いなく、捻り殺されて食べられてしまいます。
これは間違いなく、そのヒョウの子供にとって重大な危機です。

とっさに「これ以上、母親を待ってはいられない。すぐに助けたい!」と
考えましたが、いっぽうで私には大きな迷いがありました。

それは、「果たして野生動物を助けて良いものなのか?」ということです。

野生動物の場合、子供が親とはぐれてしまい、他の動物に捕食されて
しまっても、それがその子の運命であり、捕食する側の動物にしても、
自然のルールに従って捕食しているだけのこと。

つまり…

ここでヒョウの子供を助け出すということは、この「自然のルール」に
反することをするコトにならないか?という迷いが私にはありました。

とりあえず、バブーンがこれ以上近寄らないように、キャンプサイトの
アスカリ(夜警のこと:キャンプサイトでは、野生動物が来ないように
夜通し見張りをしてくれるマサイ族の人がいます)に見張りを頼んで、
私は現地のスタッフたちと「助けるべきかどうか」を相談をしました。

その結果、
 ヒョウは、その数が大幅に減っている動物である。
 ゴミ捨て場に落ちていること自体が『自然の環境』とは言えない。
 バブーンも人間が出すゴミを目当てに来ており、これも『自然』とは言えない
 (つまり、ヒョウの子供を食べなくても、そのバブーンは飢えない)

…ということで、ヒョウの子供を救出することに決定しました。

何よりも、現地スタッフの人たちから、
 だいぴんさんの迷いはよくわかるけれど、手を伸ばして助けられる命が
 そこにあるならば、助けるというのは「人として」当然の判断だよ。

と、言ってもらえたことが、最終的に私の「助けよう!」という判断を決定
づけるものになりました。

「よし、助けよう、その子供を」

そう決断した瞬間から、このヒョウの子供は「野生動物」ではなくなります。
その子供の運命を変える以上は、責任ある行動をしなければなりません。

しかし、私たちにはその子供を保護し、育てることはできません。
スタッフたちとさらにどうするか相談したところ、「ナイロビに、親とはぐれた
野生動物の子供を保護し育てる、国立の『動物孤児院』がある」と聞き、
この子を保護してそこに預かってもえらおう、ということになりました。

ヒョウの子供を、ナイロビの動物孤児院へ!

私たちは、引き続きアスカリ(夜警さん)へヒョウの子供を見張るように頼み、
最寄のレインジャー(公園管理官)詰所に向かい、「ヒョウの子供がいる」と
いうことと「ナイロビの動物孤児院に移送したい」という旨を報告しました。

しかし、レインジャーからは
 その子供の救出と保護は、レインジャーに任せてほしい
と言われてしまいました。せっかく救出しようとしていた私たちは「えっ!?」と
思いましたが…理由を聞くと「野生動物を捕獲することは、禁止されている。
あなた達が救出すると、あなた達に迷惑がかかるかもしれない」とのこと。

言われてみればその通りです。
ここはレインジャーに任せて、私たちは予定通りサファリに出ることにしました。

サファリの途中で、無線で「無事に保護」の連絡を受け、私たちはひと安心。
サファリからの帰りにレインジャーの詰所へ立ち寄ったところ、小さな箱の中に
ヒョウの子供が保護されていました。

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マサイマラ・タレックゲートのレインジャー詰所にて…
床に置かれたダンボールの中に、ヒョウの子供がいます。
後ろには、哺乳瓶に入ったミルクが…
レインジャーがヒョウの子供に与えようとしたようです。


これでまずは、ひと安心!
あとは、この子が無事にナイロビ動物孤児院へ届けられれば…

しかし、物事はそうは簡単に進展しないのでした。

保護はされたものの、ヒョウの子供は全然ミルクを飲まず、衰弱する
ばかり。ナイロビ孤児院への移送も、なかなか進展しません。
「このままでは、この子は助からない!」

この後、ヒョウの子供を助けるべく、さまざまな人たちの協力で
「命のリレー」が始まるのでした!

(さらにつづく…)

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2010年1月 8日 (金)

おかあさんのぽけっと ~オオカンガルー

長崎バイオパークでの「カピバラ in 露天風呂」の写真撮影を終えて
園内を回っていたところ、オオカンガルーを見つけました。

2年前に来たときは、オオカンガルーはいなかったのに…

さっそく行ってみることにしました。そうしたら、な、なんと!
そのオオカンガルーのパドック(運動場)に、私たちも入れるのです。
そう、憧れの(?)カンガルーとお友だちになれるのです!!

でも、相手は”オオ”カンガルー。さすがに大きいです。
オスは身長120センチ近くにもなり、かなり迫力があります。

20091221nagasakibp_d31_6875_3  
ん?オレがオオカンガルーよ。でも「ハッチ」とは違うのよ。

「ハッチ」…ご存知の方もいらっしゃることでしょう。
長野県の須坂市動物園で、サンドバッグを相手に迫力のボクシングを
見せてくれたカンガルーです。

「ハッチ」はアカカンガルーで、オオカンガルーよりもさらに大型。
カンガルー属の中では最大で、ボクシングのように激しく闘うオスは
大迫力です。

残念ながら「ハッチ」は、昨年11月に老衰のため亡くなりましたが…
(生前のハッチに会いに行けず、残念でなりません)

アカカンガルーに比べると、オオカンガルーはやや大人しいようで、
ここ長崎バイオパークの他にも、埼玉県こども動物自然公園でも、
パドックの中に来園者が入ることができます。

20091221nagasakibp_d31_6689_2
このブログ、前置きが長いんだよねー。

…あ、あくびされちゃった。すみませんね、前置きが長くて。

というワケで、長崎バイオパークのオオカンガルー。
今回、パドックに入るときに「赤ちゃんがいるよ!」という看板を
見かけたので、さっそく赤ちゃんを探してみることにしました。

カンガルーの赤ちゃん…ということは、つまり、お母さんの
ポケットにいるはずです。どこにいるかな、と探してみると…

いた、いました!!

20091221nagasakibp_d30_2279

あれれ?でも、ポケットから出ているのは脚だけです。
いったい、どんな格好で入っているんでしょうか。

やはり、動物カメラマンとしては、お母さんのポケットからアタマを
ひょっこりと出した、かわいい赤ちゃんを撮りたいものです。

お母さんのポケットがモゴモゴと動いているので、ポケットの中では
赤ちゃんがゴソゴソと動いているはず。
しばらく待っていれば、もしかしたらアタマをひょっこり出してくれる
かもしれません。

ということで、しばらく待ってみることにしました。

でも、なかなか出てきてくれません。
待っているうちに…

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そんなにじっと待っていても、出てこないかもよー

あらら、お母さんも大あくび!

まぁ、赤ちゃんが顔を出すか出さないかは、赤ちゃんの気分次第
ですからねぇ。もしかしたら、脚を出したこの姿勢が赤ちゃんにとって
ラクチンな姿勢なのかもしれない…

と、半ばあきらめつつ、でも半分期待しつつさらに待っていると。

出てきてくれました!!

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お外はまぶしいねー、かあちゃん。

待っていました、この姿。
これぞ、絵に描いたような、カンガルーの親子の姿ですね。

オオカンガルーは、別名ハイイロカンガルーとも言われており、
ややグレーがかった全身は、とても柔らかい毛に覆われています。
実際に私も触ってみましたが、想像以上に毛足が長く、フカフカで
とても気持ち良かった…

身長はオスで120センチ近く、いっぽうのメスは100センチほど。
アカカンガルーより、ひと回り小さいサイズです。。

さて、このオオカンガルーの赤ちゃん。
アタマをひょっこり出してくれたものの、さっきまで出ていた脚も
まだポケットから出たままです。

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これ、後ろ脚だよ。前脚じゃないよ。

うーん、いったいどういう格好なんだか…

赤ちゃんがポケットに入っていても、母親カンガルーは構わずに
ピョンピョン跳ねて、案外ダイナミックに移動します。

乗っている赤ちゃんは、どんな気分なのでしょうね…
酔ったりしないのかな?

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おかあさんのポケット、居心地いいから酔わないよ(…たぶん)

オオカンガルーは一度に一匹の子供しか生まず、さらに生まれた
ばかりの子供は1グラム程度しかない、非常に小さく未熟な状態で
産まれます。

産まれてくる場所はポケット(正式には育児嚢という)の中ではなく、
産まれ出た場所からポケットまで、お母さんのお腹を自力でよじ登り、
ポケットの中に入っていきます。

以前にテレビ番組で見たことがあるのですが、まだ胎児のような
数センチの小さな子供が、ポケットを目指して登っていく姿には、
生命の力強さ、たくましさを感じます。

そのような小さな状態からポケットの中で育つので、ポケットから
このようにアタマを出すまでには約2ヶ月程度かかり、1年弱もの
あいだをお母さんのポケットの中で過ごすそうです。

ずいぶんと長い間、お母さんのポケットの中で過ごすのですが、
大きくなってくると外に出たり、ポケットの中に戻ったりしながら、
徐々に「親離れ」をしていくようです。

20091221nagasakibp_d30_2345
おかあさんのポケット、すごく気持ちいいんだよ。

さて、何で脚が出ちゃっているのでしょう…

多摩動物公園でも、ポケットから脚だけが出ているお母さんを
以前に見たことがありますが、どうやら「脚が出ているのが普通」
みたいなのです。

実は、理由は明快で、「赤ちゃんカンガルーはお母さんのポケットに
頭から入っていく」からなんですね。なので、脚だけが出ていたり、
頭が出ていても脚や尾も出ていたりするんです。
(かなり体が柔らかい、というのもあるのでしょう…)

さて、この子は…

外の世界に興味がとてもあるらしく、身を乗り出して外を眺めようと
していました。もしかしたら、そろそろ「出たり入ったり」という段階に
なるのかもしれません。

20091221nagasakibp_d30_2409
地面の匂いをかいでみたいよー。

あらら、あぶない、あぶない…と見えますが、この子は最後まで
「ポケットから落ちそうだけど、落ちない」状態でした。

この子が地面に初めて降り立ち、自分の脚で立ったときから…
この子の世界は一気に大きくなり、いろんな冒険が始まるでしょう。

そんな時にまた訪れて、この子と遊んでみたいものです。

20091221nagasakibp_d30_2370
また来てねー。一緒に遊ぼうよ!

そうだね、一緒に遊ぼう。でも、お手柔らかに頼みますよ!!




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2010年1月 3日 (日)

新年の動物園~多摩動物公園

例年、新年が明けると、動物園へ「撮り初め」に行っています。

今回は多摩動物公園へ。
昨年も各地の動物園を巡り、写真を撮ってきましたが、そのぶん
地元多摩地区の多摩動物公園へ行く機会が減っていました。

今年もたくさん写真を撮るゾ!ということで、初心にかえる意味で、
2010年初撮影は多摩動物公園に決めて行ってきました。

多摩動物公園は、私が動物写真を撮り始めた動物園です。
今から10年ほど前、ケニアへ行くのを前に「写真の練習」のために
訪れたのが多摩動物公園。

いわば、私の動物写真のスタート地点です。

「今年は通うぞ!」という決意表明として(?)年間パスポートを
購入して、イザ入園。近くに高幡不動尊があることもあって、
破魔矢を持った、初詣を済ませたと思しき家族連れもチラホラ。

さっそく、メインゲートにもっとも近いところにいるヤクシカたちと
ニホンイノシシから、今年の撮影を開始です。

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【ヤクシカ】
今年もたくさん写真を撮ってね~

新年早々から動物園に来る人は少ないかな、と思いきや、意外と
来園者も多く、そこそこ賑わっていた感じでした。
しかし、春や秋のトップシーズンに比べれば静かな園内。
新春の日ざしも暖かく、動物たちもノンビリと日向ぼっこを楽しんで
いる様子でした。

「ライオンバス」で有名なライオンたちも…

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この陽だまり、気持ちいいねぇ~ by ライオン

ゴロ~ンとお腹を見せて寝ています。

そんな姿を見せるのは、動物園のライオンだから?
いえ、実は野生のライオンでも、こんな姿を見かけることがあります。

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やっぱり、ゴロ~ン (撮影地:ケニア・マサイマラ国立保護区)

野生のライオンだというのに、なんという姿でしょう!!
でも、ライオンに限らず野生動物たちも、こういう気の抜けた姿を
案外見せてくれるものです。

さて、視線を多摩動物公園の陽だまりに戻して。

スーパーモデル並み(?)の小さい顔と長い脚のサーバルも…

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【大あくびのサーバルキャット】
ふぁ~、今日も陽だまりが気持ちイイねぇ。

多摩動物公園では、昨年9月にチーターの子供が産まれ、12月から
一般公開が始まったばかり。

サーバルはそのチーターのすぐ近くにいるのですが、サーバルを見て、
「あ、これがチーターの子供だぁ!」
と間違えて声をあげるる人の多いこと、多いこと…

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ふーん、どうせチーターの方が人気者だもんね。byサーバル

あ、いじけてカラダを舐め始めちゃった…

確かにサーバルキャットは、チーターの子供くらいの大きさですが、
チーターとは体格がだいぶ違います。

俊足のチーター、地上で最速のランナー。
いっぽうで、サーバルキャットには驚異的なジャンプ力があります。
週末には、そのサーバルキャットの高い跳躍能力を見せてくれる
「サーバルジャンプ」というデモンストレーションがあるので、週末に
多摩動物公園を訪れたときにはぜひ、ご覧下さい。

というワケで、陽だまりが気持ちいい園内を撮影しながら歩いて
いるうちに、お腹がすいてきました。園内の食堂に立ち寄って、
お昼にラーメンを頼んでみると…

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多摩動物公園のラーメン 680円なり

これまで、何度も園内の食堂でお昼を食べてきましたが、実は
ラーメンを頼んだのは今回が初めて。

こんなに楽しい海苔がのっているならば、毎回食べるべきでした。

さて、お昼を食べてお腹いっぱいになったところで、トラがいる方向に
歩いていくことにしました。新年企画、寅年ということで、2日・3日は
トラの飼育担当者がトラについて話す企画、「キーパーズ・トーク」が
特別開催されるからです。

トーク開始の10分前にトラの前に到着すると、既にたくさんの人が…
やはり寅年、縁起をかついでお正月のトラは大人気です。

トラの前に立てかけてあった看板にはこんな絵が…

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ますます、縁起がイイ!という感じの看板で、キーパーズトークを
盛り上げてくれます…が、しかし、肝心の「主役」トラさんは、

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今年は寝正月だもんね。え?寅年?それって、なんのこと?
by アムールトラのリングくん


あらら…主役のトラは、背中を来園者に向けて寝ています。
まぁ、この陽だまりの気持ちよさでは、それも仕方ないかも…。

アムールトラは、シベリア東部から中国東北部の森林に住むトラ。
アムールトラに限らず、野生のトラは稀少動物になっていますが、
中でもアムールトラは、野生の個体が数百頭しかいないとか。

しかし、世界の動物園で飼育されているアムールトラの数は
468頭で、これは野生の個体数よりも多いことになります。
日本国内でも60頭弱のアムールトラがいて、野生の個体は
減ってしまっても、繁殖が順調に行っているように思えますが…

実は大きな問題があります。
それは「血統」です。つまり、世界中のアムールトラを考えても、
限られた頭数の中での繁殖なので、ちがう動物園にいても
「親戚どうし」という関係になってしまい、繁殖にも限りがあると
いうことなのです。

やはり、野生の個体が増えていくことが大切なのですね。

さて、このリングくんですが。

多摩動物公園の有名キーパー、熊谷岳さんの姿を見るなり…

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お、そろそろ出番ですかねー by リング

スクっと起き上がってくれて、周囲の来園者からは「お~っ」という
どよめきが湧き上がります。

やはり、トラはライオンとはまた違った迫力があります。
そして、トラの特徴は美しい縞模様。その美しさがゆえに、人間に乱獲
されてしまいました。19世紀には10万頭いたといわれるトラですが、
現在では5種類のトラ(アムール、ベンガル、ジャワ、アモイ、スマトラ)を
合わせても、野生の個体はわずか5000頭しかいません。

5000頭もいるじゃない?と思われるかもしれませんが…
東京ドームの収容人数が5万人前後ですから、仮に5000頭のトラが
一同にドームに集合して野球観戦をしても、10分の1程度の客席しか
埋まりません。その光景は、なんとも寂しく見えるはずです。

さて、話をリングくんに戻して…

リングくんは、ブリーディングローン(注)で昨年の10月に釧路動物園
からやってきたオスのトラ。多摩動物公園生まれのメスのアムールトラ
「シズカ」ちゃんのお婿さんとしてやってきました。

リングくんは、なかなか物静かでハンサムなアムールトラです。

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リングくん、凛々しいジェントルマンという感じです

さて、いよいよキーパーズトークの始まりです。

トラ担当の熊谷さんは、他にゾウ、ヨーロッパオオカミも担当
されており、以前にもオオカミのキーパーズトークの際に
そのお姿を拝見したことがるのですが…

今回は新年トークということもあり、こんな格好で登場です。

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トラについて熱く、そして楽しく語ってくださった熊谷さん

なぜかホワイトタイガーのかぶりモノで登場した熊谷さん。
最初にかぶりモノになったホワイトタイガーの説明の話から始まり、
トラ全般の話から野生アムールトラ、リングくんとシズカちゃんの
普段の様子まで幅広いもので、とても楽しく語ってくださいました。

熊谷さんの話では、つい先月の29日に交尾が確認されたとのこと。
もしかしたら、この春には「寅年生まれの子供が生まれるかも…」
と、嬉しそうにお話していたのが印象的でした。

さて、熊谷さんがお話されている間にも、リングくんはジェントルな
表情を見せてくれます。話も聞きたい、写真も撮りたい私としては、
耳は熊谷さんに向けながら、レンズでリング君を追いかけました。

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生まれはロシアだからね。ロシア仕込みのジェントルよ。by リング

トラに限らないのですが、大型ネコ科の横顔は私が好きな表情の
ひとつです。何かを狙うような視線に「野生の凛々しさ」を感じます。

そんなこんなで、熊谷さんの話はどんどん進み、あっという間に
30分程度のトークも終了。その間に、リングくんはあっちに動き、
こっちに動き、まるでサービスでもしてくれているかの様子でした。

…が、話も半ばを過ぎたころ、リングくんも飽きてしまったのか、
ついにはこんな表情まで。

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ふぁ~っ、熊谷さんのハナシ、長いんだよねー by リング

え!?長い?
そんなコトはありません。「あっという間の30分」だったのですが…
でも、リング君には「サービスタイム」をするには、ちょっぴり長く感じて
しまったのかもしれません。

新春キーパーズトークを聞いた人には、なんと「おみやげ」として
特典缶バッチを進呈、ということで「子供が優先です」と言われながらも、
しっかりと列に並んでゲット、いや、いただいてしまいました。

さて、トラを見た後も、表情豊かなオランウータンや、昨年7月に生まれた
ひとりっ子のユキヒョウ「ユキチ」を見にいったりしている内に、だんだんと
暗くなってきたので撮影を終了して帰ることに。

「新春特典!年間パスポートを持っている方は1割引」ということで、
帰りにめずらしく売店に寄って、おみやげを買って帰ることにしました。

売店で見つけたのがコレです。

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多摩動物公園オリジナルメモ (315円なり)

これが、実はとってもカワイイんです。
多摩動物公園オリジナル、ということで、描かれたイラストは
多摩動物公園にいる主な動物たち…

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合計で6種類のメモ用紙が入っていて、それで315円とは、
カワイイだけでなく、お買い得でもあります。

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ちょっと使うのがもったいないくらいですね。

さらに、「スゴイ!」と思ったのは表紙です。

全部で6面もある、とても長い表紙なのですが、これがなんと
多摩動物公園の大まかなマップになっているんです!

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表紙右半分 主にアフリカゾーンと昆虫館など

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表紙左半分 主にアジア、オーストラリアゾーンなど

マップとしては、実際とおりにはなっていませんが、施設などの
特徴もちゃんとと描かれているだけでなく、なんといっても動物の
特徴をしっかりと押さえたイラストがカワイイ!

多摩動物公園の中には「モグラのいえ」というモグラの展示施設が
あるのですが、それもイラストの中に描かれていて、そこからチラっと
モグラが顔をのぞかせている…なんて、小ワザも効いています。

買い物をしたら、レジで「新春のプレゼント」としてピンバッチも
いただいたりして…トラの缶バッチとともに、かなり得した気分。

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”新春”ということでいただいた、ピンバッチと缶バッチ

気持ち良くお土産を買い込んで、家路についたのでありました。

こんな感じで、今年の撮影も多摩動物公園からスタートです。
どんな動物たちの表情に出会えるか、とっても楽しみです。

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また多摩動物公園に来てね~。次回はお土産ナシだと思うけど。
by ニホンイノシシの「金豚」(キントン)

ちなみに、多摩動物公園にはニホンイノシシがもう1頭いて、
その名は「黒豆」。お母さんの「おせち」という名前に由来して、
こうしたお正月らしい名前になったそうです。


(注)ブリーディングローン
主に繁殖を目的として、動物園どうしで動物の貸し借りをする契約。
日本国内だけでなく、世界各地の動物園で行われている。

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2010年1月 1日 (金)

サバンナの風に聴く(4) 動物たちの「時間」

新年あけましておめでとうございます。

2010年になりました。

年末は私たちにとってひとつの句読点であり、年始にまた新たな
ストーリーを綴りはじめる…まだ白紙の原稿用紙にどんな物語が
描かれていくのか、楽しみです。

さて、お正月ということで、それに関連した動物のお話でも…と
思ったのですが、なかなか思いつきません。

干支のトラにまつわる話は、いろいろな方がブログなどで書かれて
いるでしょうから、そちらにゆずることにして…さて、何を書こうか?

うーん、と、パソコンを前にしてしばらく考え込んでいましたが、
やはり思いつきません。

というのも、アタリマエの話ですが、動物たちにとっては「元旦」とか
「新年」といった歳時の概念がなく、「新年明けたから」といって特に
なにかがあるワケでもないからです。

新年早々、そんな風に言い切ってしまうと、身も蓋も無いですが…

でも、動物たちにも「時間」というモノがあるんじゃないか、と思います。
ただし、この場合の「時間」とは、私たち人間が定義した「24時間」とか
「60分」という時間ではなく、自然のサイクルのことです。

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【サバンナの日の出】(ケニア・マサイマラ国立保護区)

野生動物たちは、「生きる」「子孫を残す」ために時を重ねています。
「生きている」という瞬間の積み重ねが、野生動物たちにとっての
「時間」であり、その集積が「一生」という区切りになっているのです。

では、野生動物たちは「現在」しか生きていないのか、というと、そうでも
ないように思います。

生まれた子供たちは、厳しい自然界の中で生きて行く術を学び、そして
経験を積み重ねながら生きていきます。

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【ハンティングをするチーターの兄弟】(ケニア・マサイマラ国立保護区)
まだ若いチーターで、この時はヌーのハンティングに失敗。
こうした失敗を重ねながら、ハンティングを学んでいきます。

経験を積み重ね、生きていくための知恵を得ていく…
野生動物は、本能で生きているように見えますが、私たちと同様に
やはり過去の経験から学ぶことで現在を生き、未来に命をつないで
いくのです。

チーターやライオンが狩りをする方法も。
ゾウの群れが豊かな草を求めて移動していく方法も。
ヌーが命がけでマラ川を渡っていくことも。

それらは本能だけでなく、世代に引き継がれてきたもの、つまり、
過去から学び、積み重ねられ、未来に引き継がれていくものです。
そういう意味では、野生動物たちにも「過去」と「未来」があるのです。

しかし、動物たちの「過去」と「未来」は自然のサイクルと深く関わって
おり、私たちが考える「過去と未来」とは大きく異なるものです。
もし、その自然のサイクルが崩れてしまったら…
野生動物たちは、生きていくことができなくなってしまいます。

地球の歴史の中には、これまでに大きな気候変動がありました。
ヒトを含め、現在地球上にいる生物はすべて、そうした気候変動を
生き延びてきた結果、存在しています。

しかし、これまでの気候変動は「万」単位の年数で起こったもので、
その間に生物は進化することで変動に対応し、生き延びてくることが
できました。

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【サバンナの百獣の王、ライオン】(ケニア・マサイマラ国立保護区)
食物連鎖の頂点に立つライオンも、自然のサイクルが崩れると
生きていけなくなります。


百年単位での気候変動では、生物の進化は追いつかず、ましてや
数十年単位の気候変動になると、野生動物たちの「経験」と「知恵」
の積み重ねでは、とても追いついていけなくなってしまう…

そして、生態系のどこか一部が崩れてしまうと、食物連鎖が断絶し、
野生動物の全てが生きていけなくなってしまうのです。

数万年もの間、淡々と積み重ねられてきた自然のサイクルがいま、
私たち人間によって崩される危機にあります。

私たちは、文明を築き上げたことによって、自然のサイクルから
離脱して生きることができるようになりました。
それによって享受できたものは大きく、文明社会をことさらに否定
するつもりはありませんが、自然のサイクルから離脱して得たものが
ある一方で、失われていくものもあるという意識は持ちたいものです。

野生動物が生きていけなくなった地球というのは、人間にとっても
決して「住みやすい地球」ではありません。

野生動物が生きていける環境を作るということは、人間にとっても
住みやすい環境を作る、ということに他なりません。

動物たちと、私たちが生きていくために何をしていくべきなのか…
まずは身近なこと、私たちでもできることから、取組んでいきたいと
思います。

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【人間と動物たちの共存】(ケニア・マサイマラ国立保護区)
サバンナの真ん中をマサイ族の牛たちが通過していきました。
人間と動物たちは、必ず共存できると信じています。


年始早々、重たい話題になってしまいましたが…

今年は国連が定めた「国際生物多様性年」にあたり、10月には
名古屋市で「生物多様性条約締約国会議」が開催されます。

あまり聞きなれない条約の会議ですが、湿地保存を目的とした
「ラムサール条約」や、絶滅のおそれがある生物の国際取引を
厳しく制限している「ワシントン条約」などの限定的な条約を包括し、
地球上の生物全体の多様性を保全し、人間と共存していくことを
目的とした、とても大きく重要な国際条約です。

その会議が日本で開催されることで、私たちの「生物の多様性」、
つまり、大きな意味での「自然のサイクル」への関心が高くなる
ことを願っています。

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【この子たちが、次の世代につながる】(ケニア・マサイマラ国立保護区)
子供たちが次の世代を作っていくのは、人間も野生動物も同じです。


今年もまた、動物たちからのさまざまなメッセージを写真に載せて
お伝えするべく、ケニアや日本各地の動物園へ行って動物たちの
表情を撮り続けたいと思います。

本年もよろしくお願いいたします。

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