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2010年3月14日 (日)

オオカミって、悪者なの?

私たちは動物をいろいろな例えに使ったり、象徴的なものとして崇めたり、
時には忌み嫌ったりします。

ひと頃、「動物占い」という占いが流行りましたが…
その頃は、「私はタヌキなんだけど、あなたは?」「僕はクロヒョウ」などと
いった会話が飛び交っていました。(ちなみに私はトラです)

古くは神話や伝説の世界にも動物たちは頻繁に登場し、童話などにも
様々な動物たちが現れてきます。それは、家畜だけでなく、野生動物も
私たちにとって古くから身近な存在で、生活にも深いかかわりがあった
からに他なりません。

さて、そんな「登場人物」ならぬ「登場動物」の中で、いつも「悪役」になって
しまう動物のひとつが…オオカミでしょう。

実はオオカミは、古代ローマでは豊穣の神として神格化されていたり、
「民族の始祖」とする伝承が各地に残っていたりするそうです。

それはたぶん、農作物を荒らす動物を捕食する益獣として「豊穣の神」
とされたり、野山を駆け回り、集団で狩りをする姿を強さの象徴として
「民族の始祖」としたのかもしれません。

しかし…

私たちがオオカミに持つイメージは、「悪役」が強いのではないでしょうか。

20080628tama_dsc_0978
なんでボクはいつも悪役になっちゃうんだろう…
(ヨーロッパオオカミ 多摩動物公園 ~以下全て同じです)

私たちが親しんできた童話の中にも、オオカミはよく出てきますが、
「赤ずきんちゃん」「おおかみと七匹の小やぎ」「三匹の子ぶた」…
どれをとっても、オオカミはやはり悪役です。

たぶん、そんな童話の世界から「オオカミ=悪役」というイメージが
私たちには定着してしまったのでしょう。

20080628tama_dsc_0985
かあちゃん、ボクは何も悪いことしていないよ…

ところが、日本の伝説には、オオカミが悪役として出て来ることは
あまりありません。むしろ、「オオカミ」の語源は「大神」であるとされ、
古くは日本書紀の中にも「貴神(かしこき神)」としてオオカミが
登場してきます。

20081122tama_d30_4030
日本でもヨーロッパでも、昔は「神」だったんだよねー。

これは、あくまでも私の推察の域を出ないのですが…

農耕が盛んであった時代には、農作物を荒らす動物を捕食する
「益獣」としてオオカミは考えられ、その後ヨーロッパを中心に
牧畜が盛んになると、オオカミは家畜を襲う「害獣」になってしまい、
悪者の代名詞になってしまったのかもしれません。

他の野生動物と同じく、オオカミも決して好き好んで家畜を襲って
いたわけではなく、人間がオオカミの住処である森林を切り払って
生活領域を広げた結果、オオカミと人間との間に軋轢ができて
しまった…というのは言うまでもありませんが。

20081122tama_d30_4037
うーむ、だんだん話が難しくなってきたんじゃないかい?

実際のオオカミの生態はどうか、というと…

シートン動物記の「オオカミ王ロボ」という話を読まれた方も多いと
思いますが、動物記の中でも、オオカミは家族の絆が非常に強く、
厳しい自然環境の中で協力し合いながら、たくましく生きていく姿が
描かれています。

その姿には「悪者」といったイメージは全くなく、むしろ愛情にあふれ、
気高く生きている野生動物…といった印象が残ります。

20081122tama_d30_4041
そんなことまで言われると、照れるじゃんかねー。

多摩動物公園にいるヨーロッパオオカミたちは、その名も「ロボ」を
中心とした大家族。動物園なのでさすがに「たくましく生きていく姿」を
見ることはできませんが、家族の絆の強さを見ることができます。

現在では、オオカミが野生動物の生態系を維持するために重要な
役割をしていたことが再認識され、既に絶滅してしまった(実際には
害獣として駆逐してしまった)地域でオオカミを再導入し、生態系を
復活させる試みがされています。

アメリカのイエローストーン国立公園では、この試みが成功しており、
日本でも大型草食獣の食害が激しい知床半島で、オオカミを再導入
して生態系の回復を図ってはどうか、という計画が提唱されています。

20081122tama_d30_4056
どれどれ、ちゃんと歯をみがいているかい?
(本文の主旨とは関係ありません)

しかしその話も、絶滅させるのも復活させるのも、結局は人間の都合
ということですから、個人的にはとても複雑な思いです。

やはり「野生動物と共存できる環境が、人間にとっても最良の環境」と
いうことであり、生きとし生ける物のすべてに「人の都合」を当てはめる
というのは、最終的に私たちに「不都合」という結果を生み出すことに
ほかならない…そんな気がしてなりません。

結局、オオカミが「悪者」か「神」か、ということも…
農作物を荒らす動物を捕食すれば「益獣」、家畜を捕食すれば「害獣」
という、人の都合で「神」にも「悪者」にもなっているだけのこと。

当のオオカミにとっては、相手がシカであれヒツジであれ、お腹が空いた
家族を養うために、たまたま目の前にいた動物を襲っただけのことで、
オオカミには何の罪もありません。

オオカミさん、ちょっと哀れ…という感じでしょうか。

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wolf

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コメント

うーーーん。オオカミってもっと堅い感じの表情しか見せないと思っていました。
不器用そうな前足で顔を隠した感じがなんとも印象的。トボケた感じは、まるで隣のワンコ。

歯磨きチェックの写真が一番好きかな。

撮る人の愛情?がオオカミの違う魅力を引き出しているように感じますねえ。

投稿: ブランカ | 2010年3月14日 (日) 18時14分

ブランカさん、コメントありがとうございました!!

オオカミって、確かにちょっと地味な感じがする動物だけど、
けっこう表情豊かなんですよ。
孤高で気高いイメージがあるだけに、「え?」と思うような表情を
見せてくれると、イメージとのギャップがあって楽しいです。

歯磨きチェックの写真、他にも何か良いコメントがあるような
気がするんですけど…何か思いついたら、教えてくださいね。

投稿: だいぴん | 2010年3月15日 (月) 00時50分

確かに表情豊かですね。歯磨きの写真もよく見ると2匹が
心配して口の中をのぞいているではないですか?
痛いの?みたいな感じですね。

また、沢山素敵な写真を撮って下さい。

投稿: ブランカ | 2010年3月16日 (火) 01時01分

ブランカさん

再びコメントをお寄せいただき、ありがとうございました。

歯科検診っぽく言えば、
「うーん、もうこの歯は抜いた方がいいね」
「え~、抜くんですかぁ~!?」
みたいな感じでしょうか(笑)

投稿: だいぴん | 2010年3月17日 (水) 01時18分

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