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2010年4月25日 (日)

赤道を越えよう!

ケニアを旅行していると、野生動物との出会い以外に、意外で貴重な
体験をすることができます。

それは…北半球と南半球を「またぐ」ことができることです。
「なにを唐突に、そんなスケールの大きな話を?」
「何かオチがあるんじゃないの?」
と思われるでしょう。

いや、ホントにそんなことができちゃうんです。

ケニアは赤道直下の国。国土の真ん中を、赤道が通過しています。
赤道の北側が北半球、南側が南半球なのですから、つまりケニアは
北半球と南半球にまたがった国、ということになります。

ケニアの首都ナイロビから、サンブール国立保護区やメルー国立公園へ
向かう途中、ナニュキ(Nanyuki)という町で赤道を通過します。

ナイロビは南半球側、サンブール国立保護区は北半球側にあるためです。

Equator_2
ここが赤道!という看板です。

この看板があるところが、まさに赤道。
看板の真下で両足を北と南に広げて立てば…そう!北半球と南半球を
「またにかける」ことができちゃうのです!!

スケールの大きな話も、実はとっても小さな「ひとまだぎ」。
でも、南北両半球をまたいでいるということには、違いありません。

さて、せっかく北半球と南半球をひとまたぎにするならば…
ここでついでに、地球の自転も体験してみましょう!!

D30_8559
地球の自転?またまた、そんなスケールの大きなことを…
by エランド(南半球側のマサイマラ国立保護区)

またまた唐突ですが、台風の渦の向きが、北半球と南半球とでは
逆になっている…ということをご存知ですか?
台風の渦は北半球では反時計回り、南半球では時計回りに巻きます。

また、海流も北半球と南半球とでは逆方向に向かっています。
太平洋や大西洋など海流は、赤道を境にして流れが逆になっていて、
これもまた北半球では反時計回り、南半球では時計回りに海流が
循環しています。

なぜ、そうなるのか…それは地球の自転に由来する「コリオリの力」
というものが関係しているからです。この「コリオリの力」については
詳しく説明しようとすると、物理学のかなり難しい話になりますので、
ご興味がある方は「自習」していただくこととして…

ここではとりあえず、地球の自転に由来する「コリオリの力」という力が
地球上の大気や海水に影響し、台風の渦の巻き方や、海流の向きが
北半球と南半球では逆になる、ということだけを理解してください。

D30_1177
うーん、なんだか話が難しくなってきた…
by ベイサオリックス(北半球側のサンブール国立保護区)

確かに難しい話になってきました。

「コリオリの力」が北半球と南半球では逆の方向に作用する…
ということであれば、この赤道直下でも何かそれを実感することが
できたら面白いですよね。

それが、できるのです!

ナイロビからサンブール国立保護区方面へ向かう途中に通過する
赤道直下の町ナニュキでは、この「コリオリの力」を見せてくれます。

「どうやって?」「まさか台風を呼ぶの?」と思われますよね。

実は、こんな簡単な装置を使うのです。

R0011509_2
こんな簡単なもので、コリオリの力を見ることができる!?

この装置は、底に小さな穴を開けた洗面器に水を張り、そこに
水の動きが確認できるように、小さな木片を浮かべたものです。
底の穴から水が落ちていくときにできるはずの「渦の向き」を、
木片が回転する方向で確認してみよう!ということなのです。

もし、この装置で「コリオリの力」を確認できるのであれば…

赤道の看板を挟んだ北側、つまり北半球側で実験してみたら、
木片は反時計回りに回るハズです。

Left_turn_2
北半球側では、木片は半時計回りに回転するはず…

そして、看板を挟んだ南側、つまり南半球側で実験してみたら、
木片は時計回りに回るハズです。

Right_turn
そして南半球側では、木片は時計回りに回転するはず…

さて、どうなるのか!?

さっそく実験してみましょう。まずは北半球側に行ってみます。
下の写真にある、赤道の看板の位置に注意して見てくださいね。

R0011513
まずは北半球側で実験!

木片を浮かべた洗面器の底の穴から水がチョロチョロと流れると、
木片はちゃんと反時計回りに回転をはじめました。

つまり、水の渦が反時計回りに巻いているということ。
北半球側での台風や海流の渦の回転方向と同じです。

まぁ、これだけだと「ふーん、そうなんだ」という程度ですが…

続いて、南半球側に行って実験をしてもらいました。
さて、どうなることか!?

R0011507
続いて南半球側で実験!

北半球側で実験した時と、看板の位置が違うのに注目ください。
ちゃんと南半球側で実験をしています。すると…

なんと!木片は時計回りに回転をはじめました。
つまり、水の渦が時計回りに巻いているということで、先ほどの
北半球側とは逆になっているではありませんか!

台風や海流と同じく、北半球と南半球では渦の方向が逆になる。
まさに「地球の自転を体感」です。おそるべし、コリオリの力。

さらに、実験は続きます。

では、赤道直下、つまり看板の真下でこの実験をしたら!?

R0011514
赤道直下でもやってみました。

すると…どうなったと思いますか?

実は、木片は「動かない」のです。
つまり、洗面器の底の穴から水が流れるときに、水は渦を巻いて
いない、ということになるのです。

うーん、スゴイ。こんなことが体感できるとは!!

ちなみに、これまでツアーでお連れした何人かの方から、
「赤道だから、てっきり赤い線があるのかと思った」というお話を
聞いたことがあります。赤い道で「赤道」ですから、そう思われるのも
無理はない(?)のですが…。

赤道に来ても、赤い線はもちろんのこと、線も点もありません。

世界地図を見てみると、赤道はそのほとんどが海の上を通っていて、
赤道が陸上を通過している国は、わずか11ヶ国しかありません。
つまり「赤道越え」は、そんなに体験できることではないのです。

ケニアはそんな体験ができる、数少ない国のひとつです。

ケニアへ行って、赤道を越えるチャンスがあるときは、ぜひとも
「赤道越え」を楽しんでみてください。

Dsc_1224
赤道体験、してみましょう!

…と、ここまで書いておきながら、オチをひとつ。

実は、台風や海流に影響している「コリオリの力」というものは、
この程度の小規模な実験では実証することができません。
同様の実験で実証しようとすると、直径が1千メートル規模の
巨大なプールで、風や傾斜などの影響が全くないようにしながら
実験をしないと、実証できないのだそうです。

よく、「北半球と南半球では、お風呂の栓を抜いたときにできる
水の渦の向きが逆になる」と言われていますが、これも実際には
「コリオリの力」とは関係がなく、栓やお風呂の形、栓の抜き方
などに影響されるようです。

赤道直下の町ナニュキで見せてくれた「実験」は、なんらかの
トリックがあるようです。でも、めったにできない赤道越えを
楽しむイベントとして、トリックがあることを承知で体験するのも、
悪くはありません。「理屈的には合っている」のですから!!

ちなみにこの実験を見学すると、自分の名前入りと日付が入った
赤道通過証明書をもらうことができます。もちろん、有料ですが…
赤道越えは滅多にできる体験ではないので、ぜひもらって(買って)
おきたいものです。

ただ、私は赤道を体感する「別の経験」をしたことがあります。
秋分の日が近い9月中旬のお昼頃、この赤道を訪れたときに、
地面にできる自分の影を見てみると…自分の真下に影ができて
いたのです。これこそ正真正銘、赤道直下ならではの体験です。

※上に載せた写真は、8月下旬のお昼頃に撮影したもの。
 8月下旬でも、影がほとんど真下に写っているのがわかります。

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