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2010年6月23日 (水)

なんでシロサイ?どうしてクロサイ?

前回の記事で、何の根拠もない「ツノの効能」が信じられて乱獲され、
絶滅の危機に瀕しているサイについて書きました。

サイは、もしかしたら地球上で野生の個体がもっとも少ない動物のひとつ
になってしまったのかもしれません。

さて、その記事の中で「アフリカにはクロサイとシロサイがいる」という
ことを書きましたが…今回はその「シロサイ」「クロサイ」にまつわる
エピソードをご紹介することにしましょう。

D31_1642
ぼくがシロサイです~ (ケニア・ナクル湖国立公園)

Ke03090018_11
よいしょ…ボクがクロサイだよ。 (ケニア・マサイマラ国立保護区)

シロサイとクロサイ。

写真を見ると、確かにシロサイは色が白っぽいし、クロサイは色が黒く
見えます。でも、実はこの色から「シロサイ」「クロサイ」という名前が
付いたのではないのです。

Kanazawa_dsc_1572
え~、色が黒いからクロサイじゃないんだぁ…
(クロサイ 横浜市金沢動物園)

私がこれまで写真に撮ることができた「シロサイ」は確かに白っぽいし、
「クロサイ」は黒っぽかったのですが、動物園で見てみると、色の差は
あまり見られません。

Biopark_d30_3823
長崎バイオパークのシロサイで~す。大きいでしょ?

Kanazawa_d30_5389
横浜市金沢動物園のクロサイで~す。シロサイより少し小柄でしょ?

こうして見てみると、あまり「色の差」はないように見えます。

では、なぜ「シロサイ」と「クロサイ」なのでしょうか!?

答えのヒントは、コチラの写真の中にあります。

Nihondaira_d31_8975
ん?いま、食事中なんですけど~ (シロサイ 静岡市日本平動物園)

シロサイの口の形に注目してみてください。横に広いですよね。
シロサイは地面に生えている草を食べるため、食べやすいようにこうした
幅広い口の形をしています。

そして、いっぽうのクロサイはというと…

Kamine_d30_7509
ワタシたちも食事中なんだけど (クロサイ 日立市かみね動物園)

クロサイは体格の割りには口が小さくて、とんがっていますよね。
クロサイは低木の葉を食べるため、やはり食べやすいようにこうして
少しとんがった口の形をしているのです。

この口の形が、なんで、どうしたら「シロ」と「クロ」につながるのか
…ますます疑問に思われることでしょう。

まずはシロサイ。

サバンナを訪れたヨーロッパの人が、ツノを持った巨大な動物を見つけ、
地元に住む人に「あれはナンだ?」と聞いたところ、地元の人が口が広い
サイということで「wide」と言ったのを「white」と聞き間違えた…のだとか。

それがそのまま「White rhinoceros」…つまり「シロサイ」になったという話。
色が白っぽいから「シロサイ」というのではないのですね。

「んじゃ、なんでクロサイなの?」と、当然思われますよね。

こちらはもっと単純な理由で、サバンナにいる2種類のサイのうち、一方が
「シロサイ」なのだから、もういっぽうを「クロサイ」と名付けた…というのが、
「クロサイ」の名前の由来だそうです。

Nihondaira_d31_9084
そんな名前の付け方って、そんなのアリなのかねぇ…
(シロサイ 静岡市日本平動物園)

まぁ確かに…「聞き間違え」で「シロサイ」となり、「シロサイ」がいる
から別の種類が「クロサイ」になったというのでは、サイたちから見れば
「もうちょっと考えてよねー」ということになるのかもしれませんが。

でも、私個人的には、「Wide lipped rhinoceros(クチビロサイ)」とか、
「Sharp lipped rhinoceros(トガリクチサイ)」とかよりは、覚えやすく
親しみやすくて良いと思います。

Tobe_d30_0760_2
「トガリクチサイ」だなんて、イケてない名前だよね
(クロサイ 愛媛県立とべ動物園)

シロサイとクロサイは、聞き間違いがその名の由来、というワケですが。

こうした「勘違い」から名前が付いてしまった動物っていないのかなぁ…
と、調べてみたところ、ありました!それも「日本語の勘違い」で。

その名は「トウキョウトガリネズミ」です。
地球上最小の哺乳類のひとつ、と言われているネズミで、体長は2センチ、
尻尾は3センチ、体重は2gにも満たないのだとか。

このネズミ、「トウキョウ」と付くのに日本では北海道にしかいません。
でも、なんで「トウキョウ」なのか!?

実は新種として発表されたときの標本のラベルに「Yezo(蝦夷)」と
書くべきところを「Yedo(江戸)」と間違えて記してしまったために、
「江戸→東京(トウキョウ)」と何の疑いもなく名付けられてしまった
のだとか。「Yezo→Yedo→トウキョウ」という、まるで三段活用のような
「勘違い」ですね。

ちなみに、この名前が由来で混乱も起きたのだそうです。

1906年に北海道で最初に発見されて以来、次にトウキョウトガリネズミが
発見されたのが、なんと約50年後。
その間、「トウキョウトガリネズミ」という名前だけがひとり歩きをしてしまい、
「本州ではまったく発見できない謎のネズミ」と考えられていたとか…。

この「トウキョウトガリネズミ」、環境省のレッドデータブックによると
絶滅危惧種に指定されていました。多摩動物公園にもいるようなので、
次回行ったときに、会ってみたいと思います。

Kamine_d30_7579
東京都のガリネズミさんと一緒に遊んでみたいな…
(クロサイの子供 日立市かみね動物園) 

あ、クロサイのサニーちゃん
「東京都のガリネズミ」じゃなくて、「トウキョウトガリネズミ」なんだけど…
こんな感じで「勘違い」が起こっていくわけですね。

アフリカのサバンナと北海道の草地で発見され、名前の由来が「勘違い」
という2つの動物。片や地上最大級の哺乳類、もう一方は地上最小級の
哺乳類…というのも、なんとも奇遇なことですね。

「勘違いで名前がついた動物展」なんていう企画をしたら、どんな光景に
なるのでしょう。大きなシロサイの横に、ちっちゃなトウキョウトガリネズミが
並んでいて…なんて、想像するだけでも楽しいものです。

white & black

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