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2010年10月 6日 (水)

みんなで仲良く! ~生物多様性条約

机の中を整理していたら、こんなメモを見つけました。

D30_8583
かわいい動物たちのイラストが描かれた小さなメモ帳です

たぶん…数年前に多摩動物公園で買ったものでしょう。

動物たちが楽しそうに仲良く集まっている様子が、とっても可愛いなぁ。

ほのぼのとメモ帳を眺めていて、ふと思いついたことがありました。
「生物多様性条約って、結局はこういうことなのかな」…と。

10月11日より、名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議が開催
されます。

この国際会議が開催されるのに関連して、テレビ番組などで動物たちを
特集した番組が放送されているので、「動物に関連する条約らしいぞ?」
ということはわかるのですが…

でも「動物」ではなく「生物」だし、「多様性」なんて難しいコトバが
入っているし…結局のところ、この条約って何のことよ!?
動物保護に関しては、ラムサール条約とか、ワシントン条約なら知って
いるけれど、それとどう違うのよ!?

…と思う方も、多いのではないでしょうか。

D30_1941
セイブツタヨウセイ? それって、美味しいのかい?
(ナイルワニ マサイマラ国立保護区・ケニア)

たしかに、野生生物保護の国際条約としては、「ラムサール条約」と
「ワシントン条約」が有名です。

ラムサール条約は、湿地の保存を目的とした国際条約。
湿地の生態系を守ることが目的で制定された条約で、その制定は古く
1971年です。

海に囲まれ、湖沼も多い日本には、ラムサール条約に登録された湿地が
多いため、自然保護に関する国際条約の中では、私たち日本人にとって
馴染みのある条約かもしれません。

Ke08080010_03
フラミンゴの大群で有名なケニアのナクル湖も登録されています。

いっぽうのワシントン条約。
こちらは絶滅の恐れがある動植物の国際取引を規制する条約です。

条約の対象となる動植物は「附属書」という形でリストアップされており、
絶滅危惧のレベルに応じて、取引規制の強さが異なります。

直接的に野生動植物の保護をする条約ではありませんが、生きている
状態の動植物だけでなく、例えば牙や骨、皮などから作られた製品の
取引まで規制するという点では、かなり強力な条約だと言えます。

どちらも有名な条約ではありますが、簡単にまとめれば…
 ラムサール条約:湿地の生態系を保存することが目的
 ワシントン条約:絶滅の恐れがある動物の保護が目的

ということになり、地球上の野生動植物から見れば、限定的な内容と
言わざるを得ません。

D30_8585
実際には、地球上にはいろんな動物たちがいるのですから…

実は、湿地に住む動植物も、絶滅の恐れがある動植物も、その動植物
だけを保護したところで「絶滅の危機から救う」ことにはなりません。

例えば…

ラムサール条約で湿地の生態系をいくら保護しても、湿地に流れ込む
川が枯れてしまったら湿地も環境が変化し、生態系が崩れてしまいます。

川を健全な状態に保つためには、上流の森林を守る必要がありますし、
森林を守るためには、森の中に生きる動物たちも重要な存在です。

森の中でも、シカが増えすぎたら森が食害によって荒れてしまいますから、
シカを適正な数に保ってくれる天敵…たとえばオオカミなどの存在も重要
になります。

つまり…

「オオカミが湿地を守る」ということも、言えなくもないのです。
これはまさに「風がふけば桶屋がもうかる」の世界ですが、湿地の生態系
には、湿地以外の多様な動植物も関与している、ということに他なりません。

…ということは。

いくらラムサール条約やワシントン条約で、特定の動植物を保護しても、
根本的な「野生動植物の保護」になっているワケではなく、野生動植物を
保護するためには、いかに多様な動植物が生存できる環境を維持、保護
するかが大切…ということになるワケです。

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野生動植物は、多様な動植物の関与の中で生きているのです。

ここで、ようやく「生物多様性条約」の登場です。

生物多様性条約というのは、実は「ラムサール条約」や「ワシントン条約」と
いった、限定的な条約の上位に位置している条約です。

…と言うと、難しく聞こえてしまいますが、つまり、こういうことです。

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「地球全体の動植物」を対象にしたのが生物多様性条約です。
※この図は概念的な考え方を示したもので、各々の条約の関連性を
 正確に表したものではありません。
※ここに示した条約は、自然環境保護を目的とした条約の一例です。

野生の動植物たちは、お互い深くに関係して生存しています。
なのに、個別の動物や環境を保護するための条約はあっても、動植物
全体の関係性(=多様性)を保護するための条約がない…

そんな背景から生まれたのが「生物多様性条約」なのです。
地球上の生物が、互いの関係を良好に保てるようにしましょう、という条約。
保護の対象は、地球上の動植物全体です。

地球上の動植物全体を対象としている、という特徴の他に、この条約には、
ほかの自然保護条約にはない特徴があります。

それは人間との共存を考慮し、「多様な動植物の持続可能な利用」を明記
していることです。

つまり、野生動植物や自然環境が存続できるレベルで利用をすると同時に、
人間もまた「地球上の多様な動植物の一員」として、動植物の多様性を維持
する責務も負う、というのが主旨なのだろうと思います。

D30_8586
私たちも、地球上の多様な動植物の一員なのです。

10月に始まる生物多様性条約会議。

難しい顔をした人たちが世界中から集まってきて、議論を交わし、最終的に
声明を採択し発表するのでしょうけれど。

そこでは、要するに「私たちを含めた地球上の仲間たちが、どうしたら皆で
仲良く暮らしていけるのか?」を考えている…と思うと、難しい名前の条約も、
身近に感じることができませんか?

D30_8588
みんなで仲良く!それが生物多様性条約の主旨なのです。

Convention on Biological Diversity

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