« キツネさんの悲劇 | トップページ | クマの不幸 »

2010年10月17日 (日)

お父さん、がんばって!

先日、私のもうひとつのブログ「一枚の動物写真」に、こんな記事を
載せたところ、読者の方からいくつかのコメントをいただきました。

Ke08080003_36
座っているダチョウを見かけたので、そっと近付いてみたら…
オスのダチョウが卵を大事に温めていました。
(ソマリアダチョウ サンブール国立保護区・ケニア)

寄せていただいたコメントは、「お父さん素敵!立派!」といった
ご意見が過半数。でも、そうしたコメントを寄せていただいたのは、
もちろんほとんどが女性です。

ふだんは、コメントを寄せていただくのは男性・女性半々なのですが、
この日だけは女性が多く、男性からのコメントは少なかったのは事実。

やはり、男性陣にとっては「耳が痛い」内容だったのでしょうか。

Chausuyama_d31_1110
耳が痛い話は、タヌキ寝入りでやり過ごすに限るね。
(ホンドタヌキ 茶臼山動物園・長野市)

「一枚の動物写真」のほうは、この「ポレポレで行こう!」とちがい、
その名のとおり1枚の動物写真に短いキャプションという構成なので、
動物の詳しい生態については説明していません。

なので…

卵をじっと温めているオスのダチョウの写真と、短いキャプションを
ご覧になった男性の皆さんは、「こ、これは…触れないでおこう」と
思われたのかもしれませんね。

その背景には…、
 「自分は子どもの面倒を、カミサンに任せきりだからなぁ」
と、ちょっぴり後ろめたい気持ちがあったからかもしれませんね。

でも、実は…

哺乳類は、基本的に「お父さんは子育てをしない」というのをご存知
でしょうか。実際に、私がブログに載せたのはダチョウ…つまり鳥類。
哺乳類ではないのです。

Tama_d30_5675
やっぱり子育ては、カミサン任せで行こう~!
(アカカンガルー 多摩動物公園・東京都)

鳥たちが、オスとメスが交代しながら卵を温め、ヒナが孵るとやはり
オスもメスも甲斐甲斐しくヒナたちにエサを与える姿…

そうした姿をテレビの番組などでご覧になった方も多いでしょうし、
実際にツバメやヒヨドリなどの子育ての様子を、ご覧になった方も
少なくないのでは、と思います。

あまりにも大型で、鳥類であることを忘れてしまいそうなダチョウも、
オスはちゃんと子育てに参加し、ヒナを育てていきます。

Ke07110016_19
ダチョウは夫婦でヒナを大切に育てていきます。
(マサイダチョウの家族 マサイマラ国立保護区・ケニア)

では、鳥類ではオスも子育てに参加するのに、なぜ哺乳類ではオスは
子育てに参加しないのでしょうか。

その違いは、実は鳥類と哺乳類のいちばん「大きな違い」に起因して
いるのです。では、その違いとは何でしょう?

鳥類と哺乳類のいちばん大きな違いとは…飛べること?

Biopark_d31_8151
コウモリは哺乳類だけど、空を飛べるよ!
(インドオオコウモリ 長崎バイオパーク・長崎県)

そうですね、コウモリは哺乳類なのに、空を飛ぶことができます。
それに、ダチョウは鳥類なのに、空を飛べません!

では、クチバシがあること?

Tobuzoo_d31_3327
鳥にクチバシ、これは切っても切れない関係だね。
(オオサイチョウ 東武動物公園・埼玉県)

いえいえ、哺乳類にもクチバシがある動物がいるんです。
その名はカモノハシ。残念ながらカモノハシの写真がないので、
その姿をここでご紹介することができませんが…

さらに、驚くことにカモノハシは卵まで産むんです!!
でも、カモノハシは哺乳類に分類される動物。それはなぜ??

ここで「哺乳類」という文字を、改めてよく見ると…
つまり、ホニュウルイとは「哺乳する動物」という意味。つまり、
「お乳で子どもを育てる動物」、それが哺乳類なのですね。

カモノハシは卵から産まれた子をお乳で育てるという、非常に
珍しい動物なのですが、お乳で子どもを育てるということから、
「哺乳類」に分類されているのです。

D31_2415
哺乳類とは、お乳で子どもを育てる動物を指すのです。
(インパラの母子 マサイマラ国立保護区・ケニア)

鳥類はオスとメスと交代で卵を温め、ヒナが孵るとオスもメスも
せっせとヒナにエサを運び、与えます。
この行動はオスもメスも関係なくできることで、ヒナを早く育て、
巣立たせるためには、オスとメスの共同作業をした方が効率的。

なぜ、そんなに効率的に育てなければならないか、というと…

いっけん安全そうな巣も、外敵に見つかってしまったら危険。
ヒナは飛べないので逃げられず、一発で餌食になってしまいます。
そのためには、一刻も早く育って巣立つことが大切なのですね。

さらに巣立っても、ヒナ鳥たちが成長して翌年に繁殖できるまで
育つ確率は非常に低いため、親鳥はヒナ鳥がひとり立ちすると、
また次の子作りを始め、できるだけ多くの子孫を残さなければ
なりません。

自分たちの種の保存のために、鳥たちは効率的に子どもを育てて
いく必要がある…ということなのですね。

Dsc_8951
効率的といってもね、ちゃんと大切に育ててるよ。
(ライラックニシブッポウソウ ナクル湖国立公園・ケニア)

では、哺乳類はどうでしょう。

哺乳類はお乳で子どもを育てます。つまり、母乳で育てるという
わけなのですが、「母乳」というくらいですから、この役はオス、
つまり父親にはできません。

子育てに参加できないどころか、母子と一緒にいると食い扶持が
増えてしまうため、逆に邪魔モノ扱いされることになります。

そのため、哺乳類の多くはメスが子育てを担当し、オスは子育てを
せずに、ひとりで放浪していることが多いのです。

Ke03090025_29
ゾウの群れは基本的に母系集団。成熟したオスはいません。
(アフリカゾウ マサイマラ国立保護区・ケニア)

ここまで読まれた男性諸氏!

「オレ様も哺乳類だから、子育てはカミサンに任せておけば…」と
思うには、まだ早いですよ!

こういう光景をサバンナで見かけることがあります。

D30_8892
中には、子どもと一緒にいる父親を見ることがあります。
(ライオンの父子 マサイマラ国立保護区)

「基本的に哺乳類のオスは子育てをしない」というのに、なぜ?
百獣の王ライオンなんて、最も子育てしなさそうな動物なのに、
この子どもとの仲むつまじい光景はいったい…!?

実際には、哺乳類の中には子どもと一緒にいるオスもいるのです。

たとえば、タヌキやキツネ、オオカミなどのイヌ科の動物たちは、
群れの中で父親が非常に重要な役割を果たしています。

その「役割」とは、教育係。
群れの中の規律や狩りの方法、危険察知の仕方など、生きるために
必要な知識を、子どもたちに教えていく役割…

とても重要な役割ですね!

いちばんわかりやすいのはサルの群れで、オスのボスザルは、
自分の子どもでなくとも、まだ小さいうちは、踏んづけられ
ようが乗られようが怒ったりしませんが、ある程度成長して
分別がつくようになってくる頃から、群れの中でのルールを
教えていくようになるのは、ご存知のとおりです。

その他、高度な社会性を持つことで知られるミーアキャットも、
オスは教育係として重要な役割を持っているのだとか…

Ohmoriyama_d30_7033
ウチのボスは、特にコワイんだ…今朝も怒られちゃった!
(ニホンザル 大森山動物園・秋田市)

つまり…

哺乳類のオスは、基本的には「子育て」はしませんが、高度な
社会性を持つ動物では、オスは「教育係」として重要な役割を
担っていて、子どもにとっては欠かすことができない存在という
ことになるのです。

「オレは哺乳類だから、子育てはカミサン任せでいいんだな!」
…と思った父親のみなさま。どうやら、哺乳類の世界はそんなに
甘くはないようで、やはり家族の中での父親の存在は重要という
ことのようですよ。

くれぐれも…

「食い扶持が増えるだけ」の存在にならなうように、ご注意を!

D31_2087
ゾウの子育ては、母親任せだから気楽でいいゾー。
(オスのアフリカゾウ マサイマラ国立保護区・ケニア)

ちなみにオスのライオンですが…。

エサとなる獲物を狩るのはメスの役割ですが、食べる順位は一番。
子育てはおろか、子どもに狩りの仕方を教えるのも母親の役割…
と、群れのオスのライオンは、とにかく怠け者ですが。

でも、他のオスから子どもを守るという重要な役割を担っていて、
イザという時は命がけの闘いをするのです。普段は怠け者でも、
イザという時は頼りになる存在…というワケですね!

Tobuzoo_d31_3391
父親のみなさま、がんばって!!
(オスのライオン 東武動物公園・埼玉県)


fight!

|

« キツネさんの悲劇 | トップページ | クマの不幸 »

どうぶつ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/547433/49771973

この記事へのトラックバック一覧です: お父さん、がんばって!:

« キツネさんの悲劇 | トップページ | クマの不幸 »