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2010年12月

2010年12月18日 (土)

シマウマの縞

今日はシマウマのお話です。

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むにゃむにゃ、シマウマですよ~
(グラントシマウマ 茶臼山動物園・長野市)

動物園でシマウマはよく見かける動物ですが、東アフリカのサバンナでも
シマウマはヌーに次いでよく見る動物です。

私が十数年前にケニアを初めて訪れた時、アンボセリ国立保護区へ向かう
途中で「初めて見た野生動物」が、このシマウマでした。
なにせ、初めて見た野生動物でしたから大感激で、豆粒ほどのシマウマを
写真に撮った覚えがあります。

でも、そのあといろんな動物たちに巡り合うと、よく見かけるシマウマは
珍しくもなくなり、だんだん興味も薄れてきて、写真すら撮らなくなって
しまいました。

そんなシマウマなのですが…

今では逆に、白と黒のシンプルなストライプがとても美しく思えてきて、
よく見かける動物とはいうものの、サバンナでも動物園でもよく写真に
撮る動物のひとつです。

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シンプルだからこそ、美しい…それがシマウマの魅力です
(グレービーシマウマ 多摩動物公園・東京都)

「シマウマ」という名前のとおり、「シマ」がある「ウマ」なのですが、
実際にはウマよりはロバに体型が似ていて、ロバに近い動物ということが
わかります。

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耳の形とか、シマウマさんに似ているでしょ?
(ロバ 東武動物園)

言うまでもなくシマウマの特徴は、その縞模様です。

白と黒の縞模様。道路の横断歩道が「ゼブラゾーン」と呼ばれるほどに、
その白と黒の縞模様はシマウマの代名詞とも言えるでしょう。

「シマウマの縞は、白地に黒?黒地に白?」とよく質問されるのですが、
これはどちらも不正解。縞模様は毛の色ですから地肌の色とは関係なく、
シマウマの実際の地肌の色は「黒」なのだそうです。
つまり、正解は「黒い肌から、黒い毛と白い毛(正確には白い毛ではなく
透明な毛=人間の白髪が白い毛ではないのと同じ)」ということですね。

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地肌は黒いんだって。みんな、知ってた!?
(グラントシマウマ マサイマラ国立保護区・ケニア)

さて、この縞模様ですが…なんで縞模様なのでしょう?

動物の「なんで?どうして?」にはいろんな説があって、「結局の所は、
よくわからない」ということも多々あるのですが、このシマウマの縞も
そのひとつかもしれません。

シマウマの黒い縞模様の部分は、太陽の光をよく吸収して温度が上がり、
白い縞模様の部分は光を反射して温度が上がらないので、そこに空気の
小さな対流が起こり、体温を保つ効果がある…

などという、かなり大胆な(?)説がある一方で。

シマウマの縞は、人間の指紋と同様に個体によって違い(これは事実)、
家族や仲間を識別するために縞模様がある…

という、いっけん真っ当な説もあるのですが、いちばん一般的な説は
「カモフラージュのため」というものです。

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シマウマだから縞があるの?縞があるからシマウマなの?
(グラントシマウマの親子 安佐動物公園・広島市)

「カモフラージュ」ということは、つまりライオンなどの肉食動物から
身を守るための模様ということなのですが、草原の中で白と黒の縞模様
となると、カモフラージュどころかかえって目立ってしまいそうです。

ところが、それは人間の目で見るから目立つのであって、ライオンなど
他の哺乳動物から見ると、目立たなくなってしまうのです。

それはなぜか。

実は霊長類(人間を含むサルの仲間)以外の哺乳動物は、色を識別する
能力が低いのです。これは、恐竜が地球上で繁栄していた頃の哺乳類が、
恐竜が寝静まった夜に活動していたことの名残だと言われています。

なので、人間が見たらこんな風に見えるシマウマも…

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白と黒の縞模様がハッキリと浮き出て見えます。
(グラントシマウマ マサイマラ国立保護区・ケニア)

ライオンたちが見ると、こんな風に見えるのかもしれません。

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周囲のブッシュと見分けがつきにくくなります。
(上と同じシマウマの写真を白黒処理したものです)

また、シマウマは群れで暮らしているので、縞模様が集団になると…

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人間の目で見ると、3頭のシマウマの境い目がわかりますが…

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モノトーンで見ると、シマウマの境い目がわかりにくくなります。
(グレービーシマウマ 多摩動物公園・東京都)

つまり個体を識別したり距離感を測りにくくなるため、ライオンなどが
襲おうとしてもターゲットを絞りにくくなる、ということになるのです。

肉食動物に捕食されることから逃れることで生きてきた草食動物たちは、
「捕食されにくくする」という進化を遂げてきました。
シマウマの縞模様も、その進化の結果…と言えるのかもしれませんね。

「進化」という必然性の結果で、この縞模様が生まれてきたとはいえ、
こうした美しい縞模様の動物になったということは、進化というものも
あながち無粋でもないなぁ、と思います。

ZEBRA

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2010年12月 9日 (木)

ツノ、ありますけど…(3) キリンのツノは何本あるの?

今回のタイトルをご覧になって「え?キリンにツノがあったっけ?」と
思われる方も少なくないと思います。

長~い首と長~い脚のキリン。その独特なスタイルの印象が強いため、
それ以外のキリンの特徴は、あんまり記憶に残っていない、というのも
無理からぬことです。

でも、キリンのぬいぐるみなどには、たいていツノが付いているので、
「うんうん、あるよね、ちゃんと頭に2本のツノが立っているよね」と、
おっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、そんなキリンのツノのお話です。

では、早速ですが、キリンのツノは何本あるでしょう!?

この質問に正確に答えられる方は少ないのではないでしょうか。

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え?2本じゃないの?鏡を見たことがないから、わからないなぁ
(アミメキリン 大森山動物園・秋田市)

これまで「ツノ、ありますけど…」のシリーズでは、
◆ウシ科とシカ科のツノの違いのお話
◆サイのツノのお話
…をしてきました。

簡単に言えば、ウシ科のツノは骨の一部で、体格とともに成長し続け、
抜け落ちることがなく、シカ科のツノは骨と分かれていて、1年ごとに
生え変わります。

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ウシ科のツノは、骨の一部だから抜け落ちないんだよ!
(アジアスイギュウ 多摩動物公園・東京都)

ウシ科やシカ科のツノは、必ず頭の左右対称に1本ずつ生えるのに対し、
サイのツノは頭の真ん中に生えてくるのですが、それはサイのツノが
骨格に由来するものではなく、毛が変化してできたものだから…という
お話でした。

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サイのツノは真ん中…もともとは毛が変化したものだからねー。
(クロサイ とべ動物園・愛媛県)

ここで、キリンにお話を戻しましょう。

キリンはウシ亜目に属する動物で、ウシ科やシカ科の動物たちと同様に
反すう胃を持っています。(反すうはリンクさせる)
そして、やはり他のウシ科動物と同様に上顎歯がなく、長い舌を器用に
使って木の葉を絡め取って食べています。

そうした生態はウシ・シカ科そのものなのですが、キリンはどちらにも
属さず、「キリン科」という別のグループを構成しています。
「首が長いから?」「背が高いから?」と思われるかもしれませんが、
同じキリン科の中には首が短いオカピもいて、首の長さだけが分類の
基準ではありません。
(キリンの祖先は首が短かったと言われています→詳しくはコチラ!

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ボクもキリン科だよ~
(オカピ よこはま動物園ズーラシア)

では、ウシ科やシカ科と何が違うのか…
その違いのひとつが「ツノ」なのです。

しつこいようですが、もういちどおさらいをします。
【ウシ科のツノ】
 骨の一部で体格とともに成長し続け、抜け落ちることがない。
 →死んで骨になっても、ツノは頭骨とくっついたまま
【シカ科のツノ】
 骨と分かれていて、1年ごとに生え変わりる。
 →死んで骨になると、ツノは頭骨から離れてしまう

骨とくっついているか、離れているか…それが大きな違いなのですが、
実はキリンは、「ウシ科のツノ」と「シカ科のツノ」の両方の特徴を
持っているのです!!

…といっても、「離れている」けど「くっついている」というのは、
いったいどういうこと?と思われますよね。「もしかして謎かけ?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが…実は本当の話です。

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離れているけど、くっついている!?どういうこと??
(アミメキリン サンブール国立保護区・ケニア)

キリンのツノは、子どもの頃は頭骨と離れていて、オトナになるに
ツノの中に骨の芯が出来てきて、それが頭骨とつながるのです。

今年の3~6月に国立科学博物館で開催された「大哺乳類展」の
「陸のなかまたち」では、子どもとオトナのキリンの頭骨の標本が
展示されていて、これを確かめる機会がありました。

たしかに…

それを見ると、確かに子どものキリンの頭部にはツノはあるものの
頭骨とはくっついていなくて、分離して展示されていました。
一方、オトナのキリンの頭骨にはしっかりとツノがついていました。

つまり、ツノという点に限って見てみれば…

子どものキリンの頭骨標本は、シカ科の頭骨と同じ
オトナのキリンの頭骨標本は、ウシ科の頭骨と同じ

ということになります。キリンは、そのツノの生成だけを見れば、
「最初はシカ科、あとでウシ科」ということになるのですね。

ただ、最終的に頭骨とツノがくっついていること、そしてシカ科の
ツノのように枝分かれしたり、頭骨にくっついていない子どもの頃
でもツノが抜け落ちないことを見ると、キリンのツノはウシ科に
近いもの、と言えるかもしれません。

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ボクのツノは、まだ頭の骨にくっついていないんだ…
(マサイキリンの子ども マサイマラ国立保護区・ケニア)

ちなみに、ウシ科と同様に頭骨にツノがくっついている構造なのに
シカ科のようにツノが枝分かれして、さらに年に1回生え変わる…
という、これもまたウシ科とシカ科の中間みたいな動物もいます。

別名「エダツノ(=枝角)レイヨウ」と呼ばれる「ブロングホーン」
という動物で、ウシ、シカ、キリン等が属するウシ亜目の中にあって
「ブロングホーン科」という、これまたウシでもシカでもない科に
属しています。ブロングホーン科には、ブロングホーンしか属して
おらず、キリンとオカピの2種類が属すキリン科よりもさらに小さい
グループです。

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ボクがブロングホーンだよ。
(ブロングホーン 金沢動物園・横浜市)

このブロングホーン、日本の動物園では大変珍しい動物で、横浜市
金沢動物園にしか(それも1頭だけ!)いません。
ウシ科、シカ科、キリン科、サイ科の動物は、各地の動物園で見られ
ますが、ブロングホーンを見ないことには「ツノの全種類制覇」には
ならないですから、ぜひ横浜市立金沢動物園へ行ってみましょう!

「ツノ、ありますけど…」シリーズを書き始めてから、いろいろと
調べていくと、ひと言に「ツノ」と言っても様々な種類があることが
わかりました。

結局、ツノって何なの?ということなのですが、一般的には「武器」
としての役割が大きいようです。メスや縄張りを争うオス同士の戦い、
天敵に襲われたときの反撃に、ツノ使われることがあるのはご存知の
とおりですが、その他にライオンのタテガミと同様、その「立派さ」
でオスの優劣を決める(特にシカ科)ことにツノが使われることも
あるようです。

あと、もうひとつの使われ方は…

背中を掻くことにも、ツノはよく使われています。
もっとも、これはツノ本来の役割ではなく、「便利な使い方」という
ことなのですが…ツノで背中を、気持ち良さそうに掻いている様子は
サバンナでも動物園でも、よく見られる光景だったりします。

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カユイところにツノが届く…便利だね!
(ベイサオリックス サンブール国立保護区・ケニア)

さて、結局キリンのツノは何本か、ということですが。

なんと!キリンにはツノが5本もあるのです!!

「え~!?そんなにあるの?」と言う方も多いかと思いますが…
それも無理はありません。目立つのは頭の上の2本だけですから。
あとの3本は、目の間に1本と、後頭部に2本生えているのです。

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ここにツノがあります!
(アミメキリン サンブール国立保護区・ケニア)

ただ、「あとの3本のツノ」は、成長したオトナにしか生えておらず、
キリンの頭骨標本を見ても、ちょっとした隆起にしか見えませんから、
「そう言われれば…」というレベルのものです。

しかし、同じキリン科でもオカピにはツノが2本しかないところから、
どうやらこれはキリン科の特徴ではなく、キリンそのものの特徴、と
言うことができるかもしれません。

ツノは動物の分類にも使われるくらいに、奥深いものですが…

人間の世界でも「ツノ」というのは「例え」としてよく使われるのは
ご存知の通りで、花嫁さんがかぶる「角隠し」がその代表例でしょう。
もっとも、こちらは「嫁入りにあたって、怒りの象徴である角を隠す」
という意味(俗説)だそうで…

人間にとってのツノは、どうやら「女性の怒り」のシンボルであり、
男性陣からすると「怖さの象徴」というところは、哺乳類の他の動物
たちとは「ツノ」の意味が大きく異なりますね。

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男性のみなさん、ツノに攻撃されないように気を付けましょうね
(アミメキリン 宇都宮動物園・栃木県)

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2010年12月 1日 (水)

一枚の動物写真

今年の8月から、「一枚の動物写真」というブログを始めました。

動物ブログ「ポレポレで行こう!」は、動物にまつわるいろいろなお話を
書き綴るブログとして続けてきましたが、どうも「お勉強」的な雰囲気に
なってしまうので…

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お勉強は、イヤだよぉ (コツメカワウソ 多摩動物公園)

もっと気軽に動物たちのさまざまな表情を楽しんでいただき、動物たちに
親しみを持っていただけるようなブログができないものかなぁ…と思い、
書き始めたのが「一枚の動物写真」です。

「一枚の動物写真」ブログは、動物写真1枚と簡単なキャプションだけで
構成されていて、「ポレポレで行こう!」とはある意味対極的なブログ。
キャプションは、その写真の動物たちのぼやきだったり、独り言だったり。
中には、写真の情景の説明や、私の思いだったりすることもありますが、
基本的には「動物たちのつぶやき」をキャプションにするようにしています。

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ボクたちが、つぶやいているよ!(アミメキリン 宇都宮動物園)

実は…この「一枚の動物写真」を始めるには、ちょっと抵抗がありました。

というのも、動物たちには動物たちの世界があり、そこに人間の勝手な
感情移入をしたり、ましてや人間の言葉での「つぶやき」を入れることが、
動物の世界を紹介する者として良いことなのかどうか…

そんな迷いが、私自身にあったからです。

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「ポレポレで行こう!」でも、ボクたちはつぶやいていたけどねー
(ホンドタヌキ 井の頭自然文化園・東京都)

一方で、私には、

地球の仲間である動物たちに、まずは親しみを持って欲しい。
親しみの中から、野生動物たちへの関心を持ってもらえれば…

という思いがあります。

「親しみ」を持ってもらえなければ、いくら動物と人間の関わりについて
説いたとしても、所詮「人ごと」になっちゃうからです。

そんな迷いと思いが交錯する中で、動物に親しみを持ってもらえるなら…
という思いから、敢えて「動物がつぶやく」ブログを書き始めました。

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案ずるより、産むが易し…と言うじゃないか。
(ニシローランドゴリラ 千葉市動物公園)

毎日毎日、私がこれまでに撮りためてきた動物写真の中から1枚をえらび、
それに短いキャプションを付けてブログに掲載する。
動物に関心がある方から「そんな、動物がしゃべるワケないじゃないか」と
お叱りを受けそうなブログ…

そんなブログを恐る恐る書き始めてから、間もなく4ヶ月を迎えるのですが、
多くの方からコメントの書き込みや、メッセージをいただけるようになり、
とても嬉しいだけでなく、「チカラ」をたくさんいただきました。

何が「チカラ」になったか、というと…

「動物大好き!」と、動物たちに関心を持っていらっしゃる方がとても多く、
動物たちへの思いや感慨を、コメント欄やメッセージに寄せてくださる方が
多かったことです。このことは本当にチカラに、そして励みになりました。

Inokashira_d31_3747
いろんな方からの声が、励みになるんだよね。
(アカゲザル 井の頭自然文化園・東京都)

動物の存在を表現する方法は、ひとつだけではないのだ…と、コメントを
寄せていただいた皆さんに教えていただいたような気がします。

さて、しばらくお休みをいただいていた「ポレポレで行こう!」も再開です。

こちらのブログでは、これまでと同様に動物にまつわるお話を詳しく書いて
いく予定です。相変わらずの長い文になるとは思いますが…

引き続き、よろしくお願いいたします!

一枚の動物写真

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