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2011年4月

2011年4月10日 (日)

Great Migration 2 マサイマラ 静かなる緑の草原

私がマサイマラを訪れたのは2011年の1月下旬。
これまで、私がここを訪れたのは主に8~9月でした。
その頃は枯れ草が一面に広がる、金色の大草原でしたが…

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9月のマサイマラは、金色に輝く大草原です
(動物はアフリカゾウとグラントシマウマ)

1月下旬のマサイマラは、これまで慣れ親しんだ光景と異なり、
緑が一面に広がる大草原でした。

1月下旬のケニアは「小乾季」と呼ばれる時期にあたりますが、
「雨季の合間」という感じで、乾季とは言え時折雨が降ります。

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1月下旬のマサイマラは緑の大草原でした
(動物はアフリカバッファロー)

雨は動物たちにだけでなく、植物にとっても「恵み」です。
この季節、サバンナの植物たちは小さな花を咲かせて、
精一杯に太陽と雨を楽しんでいるかのようでした。

Flowers
名も知らぬ草花たちが、あちこちに咲いていました。

私が「ヌー」という、ちょっと間が抜けた感じ名前の動物に
最初に出会ったのは、初めてサバンナを訪れた2000年8月のこと。

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間抜けな名前で、悪かったね… (オグロヌー)

当時は単に「野生動物を見てみたい」という思いでサバンナを
訪れていたため、ヌーがサバンナの生態系を支ている動物だと
いうことも理解せず、ただその壮大な群れにド肝を抜かれ、
「すごいもんだなぁ」という大きな感動に浸るのみでした。

以来、数の多寡はあれど、ヌーはマサイマラを訪れる時は必ず
見る動物であり、私にとってヌーはマサイマラの象徴でもあり、
逆にマサイマラといえばヌーが代表的動物だと思っていました。

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どこまでも続くヌーの群れは、マサイマラの象徴だと…

ところが。

いつも当たり前のように見かけるヌーが、今回はいないのです。
もちろん、今回は「マサイマラにはヌーがいない時期だ」と
わかった上で来たのですが、これほどまでに完璧にいないとは!

その様子は、まさに「もぬけの殻」という表現が相応しいほど。
「いくら『いない』とは言え、パラパラとはいるんだろう…」
という私の予想は見事に覆され、一頭も見かけないのです。

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静まり返った緑の草原。
あんなにたくさんいたヌーが、まったくいません!

ついでに言えば、いつもヌーの群れにまざっているシマウマも、
これまた見事にいないのです。

サバンナでヌーの群れをご覧になったことがない方にとっては、
このギャップは想像できないかと思いますが…
例えて言うならば、都会の新宿や渋谷の人ごみが、ある日突然
消えてしまったかのような、そんな"異様"なギャップなのです。

ヌーやシマウマは8月から10月にかけてマサイマラに集まり、
10月下旬からセレンゲティに向けて移動を始めます。

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ヌーたちは、11月にはセレンゲティへ向けて移動します

その移動は見事なまでの完璧な移動で、200万頭ものヌーや
シマウマが文字通り一頭も残らずマサイマラから忽然と消えて
いなくなってしまう…
マサイマラにも、こんな豊かに青草が生い茂っているのだから、
幾多の危険をあえて冒しながらも、セレンゲティまで移動せず、
マサイマラに留まるヌーやシマウマがいても良いのに。

いったい、彼らをセレンゲティに移動させる理由とは何なのか。

これまでヌーの大群を見て感動していた私は、もののみごとに
ヌーがいなくなり、すっかりと静まり返った草原を見て感動し、
そしてヌーの群れを追いかけてセレンゲティへ向かうべく、
マサイマラを後にしたのでありました。

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何がヌーたちをセレンゲティに向かわせるのか…
それを知りたくて、セレンゲティに向かいました。

【つづく】

ヌーの大移動を追った「Great Migration」シリーズはコチラ
Great Migration 1 まえがき
Great Migration 2 マサイマラ 静かなる緑の草原
■Great Migration 3 セレンゲティ 大移動の出発点(予告)
■Great Migration 4 大移動を支える草原(予告)


ヌーの大移動

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2011年4月 2日 (土)

被災地の動物園 その後

先日、震災に見舞われた動物園への義捐金お願いの記事を掲載しましたが、
その後の状況について動物園に勤める友人や、日本動物園水族館協会の
ウェブサイトに報告がありましたので、ここで紹介させていただくことにします。

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アビシニアコロブス (仙台市八木山動物園)

今回の地震で14の動物園・水族館が被災しましたが、中でも福島県いわき市、
宮城県松島町の水族館と、仙台市の動物園の被害が大きかったようです。

◆福島海洋科学館(福島県いわき市)
地震当時の来館者、スタッフは無事。
施設・水槽には甚大な被害はなかったものの、津波の直撃を受け、地下に
あった電源設備が被害。ライフラインの停止も重なり電源確保ができなくなり、
水槽のろ過、保温、酸素供給ができず魚たちは徐々に死亡。(ほぼ全滅)
アザラシなどの海獣、エトピリカなどの海鳥は鴨川シーワールド、上野動物園に
緊急避難している。(各園が3月16日に引取りに来てくれたようです)
海獣を全て無事に送り出した後、スタッフは施設から全員退避。

◆マリンピア松島水族館(宮城県宮城郡松島町)
津波が押し寄せ、1階部分は1.5mまで水没。来館者、スタッフは無事だったが、
ビーバーが津波にさらわれ、後日保護したものの脱水症状が激しく1頭死亡。
その他の動物・魚たちは無事。
自家発電設備が2階にあったため、電源確保ができている。
ろ過、保温、酸素供給は行われており、水も近くの沼から確保できている。
餌と発電用燃料の確保が当面の問題になっている。

仙台市八木山動物園の状況は、JAZAのウェブサイトに掲載されていた報告を
そのまま掲載することにします。切迫した状況が伝わってきます。
(わかりやすいように、一部加筆修正しています)

◆仙台市八木山動物園からの報告
【3/11/15:10】
とりあえず大丈夫
【3/13/8:40】
新鮮野菜などそろそろ不足してきた
【3/14】
ライフラインのうち電気が復旧、電話(つながりにくい)、メール可能。
水とガス止まったまま。動物園自体は津波の被害も直接は受けていない。
動物も地震で死亡したものいない。
獣舎は崩壊した部分が多々あり、再開時期不明。
【3/15】
水、餌、暖房燃料の在庫かなり厳しい。生鮮、ミルク、パンなど全く無い。
ペレット(草を練り固めて乾燥させた飼料)と乾草、冷凍馬肉(猛獣)、冷凍魚
(ペンギンやツル類用)を通常の半量以下で維持。
水も貯水タンクの残のみで、動物の飲み水のみの使用で1週間分。
水禽(水鳥のこと)ペレットや草食獣用ペレットは4日分。
【3/17】
《水》
断水が続いており、動物の飲み水に限定して貯水タンクの水を使っていたが、
総量270トンのタンクが残30トンと危機的状況になった。
10t給水車を手配でき、3/17よりこの車で30トン/日をタンクに補給している。
しかし、依然として最低使用量を維持している状況で、他の分(獣舎清掃等)
にはまわせない。
《燃料》
ここ数日真冬なみの寒さで仙台でも氷点下が続いている。
燃料の重油が全く手に入らず、1週間程度の残量しかないことから、通常20度
設定の暖房を15度に下げて対応している。
《餌》
水禽ペレや草食獣用ペレがあと数日分でなくなるが、3/18に日動水より補給が
ある予定。(注:日動水より補給=日本動物園水族館協会より救援物資が届く)
現在給餌量を約半量から1/4量に減らしている。
生鮮は牛乳やパンなどは入手できないが青菜やバナナなどが少量入荷しており
類人猿などを中心に与えている。
取引業者が津波でなくなったところもあり今後の調達は不透明だが、短期、中期
では少しづつ目処が立ってきた。
《職員》
ガソリン不足で園に泊まって勤務している方、家がなくなりまだ出勤していない方
など様々。ご親族を亡くされた方もおられる模様。

福島の水族館では、電源が失われたことによって徐々に死んでいく魚たちを
ただ見守ることしかできなかったスタッフを思うと、とても辛いものがあります。
八木山動物園は燃料、水、飼料が不足し、一時は本当に「危機的な状況」まで
陥りながらも、何とか動物たちの生命をつなごうとしていた動物園スタッフの
緊迫感が伝わってきます。

この他、地震直後は物流網の寸断により秋田市大森山、盛岡市動物公園、
日立市かみね動物園でも飼料が入手困難になり、各地の動物園からJAZAを
通して支援物資が送り届けられたようですが、ふくしま海洋科学館の魚たちと、
マリンピア松島水族館のビーバー以外には、地震によって死亡した動物たちが
いなかったというのは幸いでした。

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レッサーパンダ (仙台市八木山動物園)

友人が勤める動物園は、被災地から遠く遠く離れた四国地方にあるのですが、
その動物園からも、支援物資を満載したトラックを何回か送り出したとのこと。
友人の話によれば、今回の震災でいち早く動物園救援に立ち上がったのが、
震災を経験している関西の動物園だったそうです。

日本では終戦後、戦災をまぬがれた動物たちが各地を巡り、戦争で疲弊した
人々の心を癒し、元気付けたのだそうです。

動物たちにはそうした力があります。
支援を惜しまなかった各地の動物園や、義捐金を寄せてくださった人々にも、
「少しでも早く再開して、被災地の人たちを元気付けてほしい」という思いが
あるのだろう、と思います。

そして、施設に被害が出て休園していた「かみね動物園」(茨城県日立市)が、
園の再開にあたり「動物園にできること、それは動物に接してもらうことです」と
園長がブログで書いていたように、「こういう時だからこそ、動物園を開園する」
という思いで開園を急いだり、計画停電の影響がある中でも開園し続けてきた
首都圏の動物園の皆さんには、胸が熱くなる思いです。

この危機を乗り越えて、被災地の動物園が再開し、震災で疲れた人々の心に
元気を与えてくれる日がやってくることを、望んで止みません。
その日のために、私もできる限りの支援を続け、再開した時には再び北関東、
東北各地の動物園を訪れてみたいと思います。

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アミメキリン (仙台市八木山動物園)

■昨年夏に、東北の動物園を訪れた時の記事はコチラです■
東北の動物園(1) 仙台市八木山動物園
東北の動物園(2) 盛岡市動物公園
東北の動物園(3) 秋田市大森山動物園

■日立市かみね動物園を訪れたときの記事はコチラ■
いつも一緒だね クロサイのサニー

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