サバンナの風に聴く

2011年4月10日 (日)

Great Migration 2 マサイマラ 静かなる緑の草原

私がマサイマラを訪れたのは2011年の1月下旬。
これまで、私がここを訪れたのは主に8~9月でした。
その頃は枯れ草が一面に広がる、金色の大草原でしたが…

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9月のマサイマラは、金色に輝く大草原です
(動物はアフリカゾウとグラントシマウマ)

1月下旬のマサイマラは、これまで慣れ親しんだ光景と異なり、
緑が一面に広がる大草原でした。

1月下旬のケニアは「小乾季」と呼ばれる時期にあたりますが、
「雨季の合間」という感じで、乾季とは言え時折雨が降ります。

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1月下旬のマサイマラは緑の大草原でした
(動物はアフリカバッファロー)

雨は動物たちにだけでなく、植物にとっても「恵み」です。
この季節、サバンナの植物たちは小さな花を咲かせて、
精一杯に太陽と雨を楽しんでいるかのようでした。

Flowers
名も知らぬ草花たちが、あちこちに咲いていました。

私が「ヌー」という、ちょっと間が抜けた感じ名前の動物に
最初に出会ったのは、初めてサバンナを訪れた2000年8月のこと。

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間抜けな名前で、悪かったね… (オグロヌー)

当時は単に「野生動物を見てみたい」という思いでサバンナを
訪れていたため、ヌーがサバンナの生態系を支ている動物だと
いうことも理解せず、ただその壮大な群れにド肝を抜かれ、
「すごいもんだなぁ」という大きな感動に浸るのみでした。

以来、数の多寡はあれど、ヌーはマサイマラを訪れる時は必ず
見る動物であり、私にとってヌーはマサイマラの象徴でもあり、
逆にマサイマラといえばヌーが代表的動物だと思っていました。

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どこまでも続くヌーの群れは、マサイマラの象徴だと…

ところが。

いつも当たり前のように見かけるヌーが、今回はいないのです。
もちろん、今回は「マサイマラにはヌーがいない時期だ」と
わかった上で来たのですが、これほどまでに完璧にいないとは!

その様子は、まさに「もぬけの殻」という表現が相応しいほど。
「いくら『いない』とは言え、パラパラとはいるんだろう…」
という私の予想は見事に覆され、一頭も見かけないのです。

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静まり返った緑の草原。
あんなにたくさんいたヌーが、まったくいません!

ついでに言えば、いつもヌーの群れにまざっているシマウマも、
これまた見事にいないのです。

サバンナでヌーの群れをご覧になったことがない方にとっては、
このギャップは想像できないかと思いますが…
例えて言うならば、都会の新宿や渋谷の人ごみが、ある日突然
消えてしまったかのような、そんな"異様"なギャップなのです。

ヌーやシマウマは8月から10月にかけてマサイマラに集まり、
10月下旬からセレンゲティに向けて移動を始めます。

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ヌーたちは、11月にはセレンゲティへ向けて移動します

その移動は見事なまでの完璧な移動で、200万頭ものヌーや
シマウマが文字通り一頭も残らずマサイマラから忽然と消えて
いなくなってしまう…
マサイマラにも、こんな豊かに青草が生い茂っているのだから、
幾多の危険をあえて冒しながらも、セレンゲティまで移動せず、
マサイマラに留まるヌーやシマウマがいても良いのに。

いったい、彼らをセレンゲティに移動させる理由とは何なのか。

これまでヌーの大群を見て感動していた私は、もののみごとに
ヌーがいなくなり、すっかりと静まり返った草原を見て感動し、
そしてヌーの群れを追いかけてセレンゲティへ向かうべく、
マサイマラを後にしたのでありました。

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何がヌーたちをセレンゲティに向かわせるのか…
それを知りたくて、セレンゲティに向かいました。

【つづく】

ヌーの大移動を追った「Great Migration」シリーズはコチラ
Great Migration 1 まえがき
Great Migration 2 マサイマラ 静かなる緑の草原
■Great Migration 3 セレンゲティ 大移動の出発点(予告)
■Great Migration 4 大移動を支える草原(予告)


ヌーの大移動

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2011年3月 7日 (月)

Great Migration 1 ヌーの大移動 まえがき

1月下旬から2月上旬にかけて、ケニアとタンザニアへ行ってきました。

今回訪れた動物保護区は
 ◆マサイマラ国立保護区(ケニア)
 ◆タランギレ国立公園(タンザニア)
 ◆セレンゲティ国立公園(タンザニア)
 ◆ンゴロンゴロ自然保全区(タンザニア)
…の4ヶ所です。

今回の主な目的は、マサイマラ~セレンゲティ~ンゴロンゴロと連続する
大サバンナ地帯を巡ることでした。ケニアとタンザニアの国境をまたぐ
この広大なサバンナの面積は約25,000平方キロ。この広さは日本でいえば
四国のほぼ1.5倍の面積にあたります。

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今回は、この広大な3つの動物保護区を巡るのが目的でした。

なぜ、この広大なサバンナを巡ってみたかったか…
それは「ヌーの大移動」を体感したかったからです。

マサイマラ、セレンゲティ、ンゴロンゴロ…3つの保護区に分かれている
だけでなく、そこには国境まであるのですが、動物たちにとっては国境も
保護区の境界線も関係ありません。

この連続した広大なサバンナを、200万頭ものヌーやシマウマが草を求めて
壮大な旅を続けています。途中にはライオンやハイエナなどの肉食動物が
待ち構え、ワニが潜む危険な川があり…そうした幾多の危険を乗り越えて
「生きる」ために毎年繰り返される大移動は、まさに自然界の大叙事詩。

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1年をかけて繰り返されるヌーたちの大移動。
その移動距離は3,000キロにも及びます。

これまでも、ヌーの大群はマサイマラ国立保護区で何度も見ましたが、
ヌーがマサイマラに集まっているときに、果たしてセレンゲティはどんな
様子なのか…本当にヌーはいないのか、いつも気になっていました。
逆にマサイマラでヌーを見かけない時は、「ヌーはどこにいるんだ?」と
気になっていました。

今回は同時にマサイマラとセレンゲティ、そしてンゴロンゴロを巡って、
いわば「ヌー探しの旅」をしてみよう…と思ったわけです。

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広大なサバンナで、ヌーを探してみようと思いました。
(ヌー ンゴロンゴロ自然保全区・タンザニア)

ケニアのマサイマラとタンザニアのセレンゲティは隣接しているので、
その間の国境を通過できれば楽に移動できるのはずなのですが…

その国境は閉鎖されているため通過することができず、マサイマラから
セレンゲティへ向かうには、
1.マサイマラからいったんナイロビまで戻り、まず1泊
2.翌朝ナイロビから南下して国境の町ナマンガでタンザニアへ
3.タンザニアでのサファリの拠点となる町、アルーシャを通過
4.途中のタランギレ国立公園で1泊
5.タランギレ国立公園からンゴロンゴロを通り、セレンゲティへ向かう
…という、2泊3日の「大移動」を余儀なくされます(下図参照)

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今回の旅の行程図。ぐるりと遠回りの大移動になりました。

動物ならば歩いて通れる場所を、人間は「国境」があるがゆえに通れず、
そのために膨大な時間をかけて遠回りをする…人間の都合で作った国境が、
かえって移動を不便にしているなんて、なんとも滑稽な話ではあります。

そんな「大移動」を私もしながら、ヌーの大移動を追いかけてみました。
次回より何回かに分けて、その様子をお話したいと思います。

【つづく】


ヌーの大移動を追った「Great Migration」シリーズはコチラ
Great Migration 1 まえがき
Great Migration 2 マサイマラ 静かなる緑の草原
■Great Migration 3 セレンゲティ 大移動の出発点(予告)
■Great Migration 4 大移動を支える草原(予告)


◆ヌーの大移動の地図作成にあたっては…
 「M/Y/D/S 動物のイラスト集」さんのイラストを使用しました。
 

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2010年9月26日 (日)

ライオンのたてがみ

たてがみ…漢字で書くと「鬣」と、何とも難しい漢字になりますが、
もともとは「立つ髪」という言葉が変化したものだそうで、辞書を
調べてみると…
 ウマ、ライオンなどに見られる、頚部背面の比較的長い毛の総称。
 雌性ホルモンの支配を受けるものと、受けないものとがある。

とあります。

ウマのたてがみは、オスにもメスにもありますが…

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ウマのたてがみは、雌性ホルモンの支配を受けません。
(サラブレット マザー牧場・千葉県)

ライオンのたてがみはオスにしかありません。

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ライオンのたてがみは、雌性ホルモンの支配を受けるものです。
(ライオンのオス マサイマラ国立保護区・ケニア)

つまり…ライオンにとって、たてがみは「オスのシンボル」なワケ
ですが、このたてがみは、成熟したオスになればなるほど立派に
なっていき、若いうちはまだ貧弱なものです。

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このライオンは「若い」というよりは、まだ子供に近いかも…
(若いオスライオン マサイマラ国立保護区・ケニア)

さて、このオスライオンのたてがみ。何のためにあるのでしょう。

ライオンに限らず、オスだけの特徴が体にある場合は、たいていは
「メスの目を引くため」です。ライオンのたてがみも、そのためと
言われており、メスは立派なたてがみのオスを選ぶ傾向があります。

動物は子孫を残していくことが、生存の目的のすべて。
より多くの、そして健康な子供を残していくためには、健康で強い
オスが選ばれるのは当然のこと。

そのため、立派なたてがみのオスライオンが選ばれるのは、自然の
摂理にかなったことなのです。

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つまり、立派なたてがみは「強さのシンボル」なのですね。
(ライオンの夫婦 マサイマラ国立保護区・ケニア)

この「強さのシンボル」は、メスにモテるためだけではありません。

ライオンのオスは、メスをめぐって争いをします。
「百獣の王」ライオンが争うのですから、かなり激しい戦いです。
下手をすれば、致命的な傷を負いかねない…

そんな争いを避けるためにも、たてがみは役に立っている、という
説もあります。

つまり。

見るからに、自分より立派なたてがみを持った相手との争いを避け、
致命傷を負わないようにする…ということなのでしょうけど。

ただ、自分がどれだけのたてがみを持っているのか、鏡を見ないと
わからないと思うのですが…どうなんでしょう?

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鏡なんて、サバンナでは見たことないねぇ
(マサイマラ国立保護区のオスライオン)

さて。

ここまでのお話は、動物に興味関心がある方ならば「想定内」の
お話だと思います。ここからが、今回の本題です。

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え?まだ本題じゃないの? 長いブログは読み飽きちゃうよ。
(若いオスライオン マサイマラ国立保護区・ケニア)

先日、動物園に向かうクルマの中で、こんな話を聞いたのです。

気温が低いところに住むライオンは、たてがみが長く豊かになる。
そんな研究結果が、アメリカで発表されている。

とても気になる話だったので、家に戻ってから調べてみると、
たしかに2006年にそうした論文がアメリカで発表されていました。

論文によれば、全米17ヵ所の動物園のオスライオンのたてがみを
調査したところ、特に寒い1月の気温差がたてがみの密度と強い
相関関係を持っており、「寒さ」がたてがみに影響をしていると
考えることができる、ということなのです。

ポイントは「寒さ」に相関関係があるということ。
もちろん「暑さ」も関係するのでしょうけれど、論文には「暑さ
よりも寒さに強い相関関係がある」と書いてありました。

アメリカ国内だけの、それもたった17ヵ所の動物園のライオン
だけで、そんな結論が出せるのか?という疑問はあるものの、
私自身の実感としては、その説に納得です。

というのも、ケニアへ通い始めてからというもの、日本の動物園
にいるオスライオンを見ると、「なんだかモコモコしているなぁ」
と、いつも思っていたからです。

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日本の動物園のライオンは、モコモコしていると思うのです。
(秋田市大森山動物園のオスライオン)

日本の夏は、東アフリカのサバンナと同等、又はそれ以上に暑く、
特に今年の夏は明らかにケニアのサバンナ以上の気温でした。

もし、ライオンのたてがみが「暑さ」に関係するものならば、
日本の動物園のライオンたちは、サバンナの野生のライオンと
同じようなたてがみを持っているハズです。

ところが、比べた印象としては「モコモコ」です。

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モコモコの、とこが悪いんだよ。
(愛媛県立とべ動物園のオスライオン)

いっぽう、日本の冬の気温は東アフリカのサバンナとは比べモノに
ならないくらい低いものです。(ある意味、日本の方がケニアより
過酷な気候なのかもしれません)

「ライオンのたてがみは、寒さによって密度が違う」というなら、
日本の動物園のライオンたちが「モコモコ」なのも納得ですよね。

もし、このブログをサバンナに住むライオンたちが読んだら…

きっと「あー、日本の動物園へ行ってモコモコになりたいなぁ」と
思うことでしょうね。

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日本へ行ってみたいなぁ…
(マサイマラ国立保護区のオスライオン)

ちなみに。

この話は、ただ単に「寒いとたてがみがモコモコになる」という話
で終わるワケではありません。もっと大きな影響があるのです。

ライオンの種や亜種の分類は、外見が基準になっており、たてがみも
その基準のひとつになっていました。ところが、同じライオンでも、
たてがみが住んでいる気候によって違うとなると、たてがみを基準
とした分類は改めて見直さないとイケナイのです。

さらに、かつて氷河期にヨーロッパの洞窟に住んでいた「ホラアナ
ライオン(洞穴ライオン~つい2000年ほど前まで生きていたらしい)」
には、たてがみがなかったとされていますが、氷河期という寒い時期に
「たてがみが無い」となると、それは現在のライオンの亜種ではなく、
まったくの別種である可能性が出てくるのです。

「寒いとたてがみがモコモコになる」という研究結果は、実は分類学上
おおきな影響を与えるものなのですね。

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個人的には、やっぱり野生のライオンのたてがみが、好きです。
(マサイマラ国立保護区のオスライオン)

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2010年8月 1日 (日)

サバンナの風に聴く(15) サバンナの陽射しの下で

今日から8月、これまでも猛暑続きでしたが、これからが夏本番です。

前回の記事では、真夏の動物園で暑さにダレきっている動物たちの姿を
ご紹介しました。「暑中お見舞い申し上げます」と書いてはみたものの、
かえって暑さを実感させてしまうような写真ばかりで、全然「お見舞い」
になっておらず…大変恐縮です。

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ホントは涼しげな写真を紹介しなくちゃ、ダメよね。
(ベンガルトラ 県立いしかわ動物園)

日本では暑い盛りを迎えていますが、サバンナはどうでしょう。

以前の「サバンナの季節」という記事の中で、サバンナには四季という
ものがなく、「雨季」と「乾季」の“二季”しかない…というお話をさせて
いただきました。

ケニアの8月は乾季にあたりますが、1年の中で特に暑い季節でも寒い
季節でもありません。東アフリカは、1年の中で「暑い」とか「寒い」という
気温の変化が少なく、年中ほぼ一定なのです。

アフリカといえば「暑い」というイメージがありますが、ことケニアに関して
いえば国土のほとんどが高地にあるため意外と涼しく、ケニア北西部の
トゥルカナ地方という特に暑い地域を除けば、最高気温はせいぜい30℃
前後、朝晩には気温が10℃くらいまで下がることもあります。

とはいえ、赤道直下の陽射しは強烈で、真昼は気温以上に暑く感じます。
「暑い」と感じるのは私たちだけでなく、野生動物たちにとっても同じ。
哺乳動物は、一部を除くと体温が36~38度なのですから、私たちが暑い
と思ったら、他の動物たちもほぼ「暑い」はずです。

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暑いよぉ… (ライオンの夫婦 マサイマラ国立保護区)

陽射しが強ければ、探すものは野生動物も同じ…それは日陰です。

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日陰でも、暑いことは暑いんだけどね。
(セグロジャッカル マサイマラ国立保護区)

サバンナで日陰といえば木陰のことなのですが、マサイマラのように
一面が大草原でブッシュ(木の茂み)が少ないところでは、木陰は
貴重な場所。わずかな木陰でも、動物たちにとっては極楽です。

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とりあえず木陰。されど木陰…小さな木陰に家族集合。
(チーターの家族 マサイマラ国立保護区)

木陰を見つけられた動物は幸せですが、運悪く近くに木陰がない場合は、
仕方なく草の陰で陽射しを避けることも…

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こんな大草原のド真ん中じゃ、木陰なんて見つからないし…
(チーター マサイマラ国立保護区)

動物たちはあの手この手で陽射しを避けて、少しでも涼しく過ごそうと
しているのですが、こうしてのん気に日陰でグッタリしていられるのは
主に肉食動物たち。草食動物たちは休む間を惜しんで草を食べないと
十分なエネルギーを得られませんから(その理由はコチラ)、木陰で
休んでいる暇などは、あまりないようです。

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僕らは休んでいたら、お腹が空いちゃうからねぇ。
(手前はトピ、その向こうがトムソンガゼル、ケシ粒みたいのはヌー)

そもそも「休む時間が短い」という草食動物の特性に加え、草食動物に
とっては木陰は「危険な場所」ということもあります。

木陰には肉食動物が潜んでいるケースが多く、また、肉食動物がいない
木陰があったとしても、木陰に入ると死角が多くできてしまい、周囲を
見渡すことができません。常に危険がないかどうか、周囲を気にする
草食動物にとっては、「死角が多いこと」はとても危険なので。

とはいえ。

見晴らしが良い草原の中にポツンと立った木の陰では、草食動物たちが
陽射しを避けて休んでいる光景を見ることがあります。

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こんな木陰なら、安全かもね。
(木陰で休むトムソンガゼルたち マサイマラ国立保護区)

そういう安全な木陰は、サバンナでも貴重な木陰なので、こんな光景も。

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みんなで仲良く、休みましょ。
(左からトピ、ハーテビースト、トムソンガゼル、ヌー)

強い陽射しの下でグッタリと休んでいるのは、動物園の動物たちに限った
ことではなく、実は野生動物もまた同じことなのですね。
もちろん、特に動物園の草食動物は他の動物に襲われる心配がないので、
若干「ユルみ気味」ということはありますが…

でも、たとえばこの動物園のシマウマも…

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日本の夏は暑いよぉ、グッタリしちゃうよ…
(グレービーシマウマ 千葉市動物公園)

いっぽう、こちらサバンナのシマウマも…

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サバンナもけっこう暑いよぉ、グッタリしちゃうよ…
(グラントシマウマ マサイマラ国立保護区)

どちらも同じ行動をしています。動物園の動物だからといって、特に
野生動物と違った行動をしている、というワケではないのですね。

ともあれ、まだまだ暑い日が続きます。熱中症に気をつけて、この夏を
乗り切ってください。

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暑いときは、涼しい場所で休むに限ります…
(ヒョウ マサイマラ国立保護区)



【お知らせ!!】
写真がメインの日めくりブログ「一枚の動物写真」を始めました。
ぜひコチラもご覧ください!!

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2010年7月25日 (日)

サバンナの風に聴く(14) 草食動物の共存(4・最終回)

サバンナに生きる多くの種類の草食動物たち。
その草食動物たちが、どのように共存しているのか?

このテーマを取り上げてみたら、あまりにも壮大になってしまいました。
今回はこのテーマの4回目。

D30_9041
草食動物の話題で4回も続けるなんてねぇ…

まぁ、確かにそうですが…それも草食動物の「共存」などという、お堅い
テーマで4回も連続で恐縮です。が、今回で「最終章」になりますので、
どうかお付き合いください。

さて、前回はサバンナの草食動物の中心を成しているアンテロープ類や、
シマウマなどを「大きなアンテロープ類」「中型Aグループ」「中型B
グループ」と、大まかに3つのグループに分けて、それぞれの「食べ方」
についてお話をしました。

おおまかに言えば、前回のグループ分けで「それぞれが食べ分けをして
いるから、これだけ多くの草食動物たちが共存できる」という結論に
まとめることもできるのですが…

実は草食動物たちは、それぞれの体の特徴によってさらに細かく、草を
食べワケしている、というのが今回のお話です。

以下の話の中で「中型Aグループ」「中型Bグループ」と出てきますが、
「それって何のこと?」という方は、まずコチラをご覧ください。

さて…

中型Aグループは、サバンナ一面に生えるイネ科の植物を主食として
いるのですが、サバンナでも数が多いヌーとシマウマが同じ草を食べて
いたら、あっというまに食べ尽くしてしまうことになります。

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サバンナ一面に生えるイネ科の同じ草を食べているのですが…

でも、現実にはそうなっていません。それはなぜか…。

シマウマは、サバンナで唯一の「ウマ科」の動物です。
ウマ科の特徴のひとつに「門歯」があります。ウマ科の上下の顎には
門歯(つまり前歯)があって、モノを噛み切ることができます。

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ウマの上下の顎には、門歯があるのです。(長野県 滝沢牧場)

シマウマにも上下の門歯があって、草を噛み切ることができます。
そのため、シマウマは草の先端の柔らかい部分だけを好んで噛み切って
食べています。

いっぽう、ウシ科の動物には上あごに門歯がありません。
そのぶん舌が長くなっていて、舌先と下の門歯を使って、草の真ん中を
刈り取るようにして食べるのが特徴です。

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ウシ科のバッファローにも、上の門歯がありません。

唐突ですが、田んぼのイネを想像してみてください。

たわわに実ったイネの穂先部分を、ハサミで切り取っていく…これが、
シマウマの食べ方です。

そして、穂先が切り取られた後に残った茎や葉の部分を、手でたぐり
寄せながら鎌(かま)で刈り取っていく…これがヌーたちの食べ方です。

この「ハサミ」にあたる部分がシマウマの上下の門歯で、「手でたぐり
寄せる」のがヌーたちの「長い舌」の役割で、刈り取る「鎌」にあたる
部分が下の門歯、ということになります。

この食べ方の特徴は口の形にも現れていて、草の先端をつまみ食いする
シマウマは口先が細くなっているのに対し、草をかき込みながら食べる
ヌーやバッファローの口先は幅広くなっています。

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ヌーの口は幅広くなっていているので、草を効率よく食べられます。

こうして同じイネ科の草を食べているシマウマやヌーは、食べる部分が
違うために「共存」することができているのですね。

さて、イネ科の草の先端部分をシマウマが、茎や葉の部分をヌーたちが
食べたあとに、トムソンガゼルやインパラといった「Bグループ」の
動物たちが草を食べるのですが…。

この「Bグループ」の体にも、共通した特徴があります。

トムソンガゼルとインパラの「口の形」に注目してみてください。

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こちらはトムソンガゼルです。

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こちらはインパラです。

ヌーに比べると口先が尖っていて、小さいですよね?

これが「(3)中型Bグループ」の特徴なのです。彼らはヌーたちが
刈り取るようにして食べた後に生えてくる、柔らかい草の部分を好んで
食べています。そのため、選んで食べやすいように口先が小さく尖って
いるのですね。

イボイノシシも、インパラたちと同じように根元に生える柔らかい草を
好んで食べていますが、彼らの場合はその食べ方に特徴があります。

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イボイノシシの食べ方といえば…

前脚を折って食べる、この食べ方!これがイボイノシシの特徴でね。

家族そろって、こうした食べ方をしている光景は、なんとも微笑ましい
ものですが、イボイノシシも警戒心が非常に強いため、そんな光景を
写真に収めることが、なかなか難しい動物です。

小難しい話を長々と書き綴ってしまいましたが…

こうして、同じサバンナに住む草食動物でも「木の葉」「草」という
食べ分けがあり、さらに「木の葉」でも「高い木」「低い木」という
食べ分けが、「草」でも「先端」「真ん中」「根元」という食べ分け
があるからこそ、多種多様な草食動物が共存できるワケです。

さらに、そこに「草を求めて移動する」ということが加わることで、
草は食べつくされることなく再生され、多様な草食動物を養うだけの
植物が保たれていく、ということにつながっています。

自然界の「共存」というのは、本当に見事なものです。

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その共存は、途方もなく長い時間をかけてできたものです

しかし、こうした共存は草食動物どうしだけでなく、植物や気候との
微妙なバランスの上に成り立っていて、その一部が崩れてしまうと、
すべてが崩れてしまう、という脆さを同時に持っています。

地球温暖化、環境破壊、密猟など…私たちがそうしたバランスを崩す
原因を作っているのは悲しい現実ですが、いっぽうで人知を以って
すれば、バランスを維持することが可能なのも事実です。

そういう意味では、草食動物たちの「共存」とは、私たち人間との
「共存」と同じ意味なのかもしれません。

【これまでの「草食動物の共存」記事】
草食動物の共存(1)はコチラ
草食動物の共存(2)はコチラ
草食動物の共存(3)はコチラ

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2010年7月22日 (木)

サバンナの風に聴く(13) 草食動物の共存(3)

アフリカのサバンナには、多くの種類の草食動物がいます。
彼らは草原の植物を上手に「食べ分け」して共存ている、というお話の
第3回目。前回は「体の大きさで食べ分けをしている」ということで、
大型の草食動物であるキリンやクロサイ、そして食べ分けどころか何でも
食べてしまうゾウののお話をしました。

今回は、サバンナの草食動物の主役と言うべきアンテロープ(ウシ科の
仲間たち)とシマウマなどについて、お話することにしましょう。

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サバンナの草食動物で、もっとも数が多いのが、ヌーとシマウマです。

サバンナの草食動物でもっとも種類も数も多いのがアンテロープ類です。
そのうち最大のものがエランド。

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ども、エランドです。

この写真だと比較するものがないので、その大きさがわかりにくいですが、
エランドの肩高は大きいもので180センチ以上、体重は900kg以上にもなり、
大きさはクロサイと大差はありません。(体重は全然違いますが)

ちなみにこのエランド、体が大きい割には大変臆病で、少しでも近づくと
すぐに逃げてしまう、撮影がとても難しい動物のひとつでもあります。

次に大型なのがコチラでしょう。

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ハート型のお鼻が自慢です。

かわいいお鼻のウォーターバックです。顔つきはシカによく似ていますが、
ウォーターバックもウシ科の動物。オスのツノは、かなり立派です。

エランドやウォーターバックを便宜的に「大きなアンテロープ類」という
グループにすることにします。そうなると、次は「中型のアンテロープ」
ということになるのですが、こちらはこの後の説明をしやすくするために、
中型Aグループ」と「中型Bグループ」と分けることにします。

中型Aグループ」の代表的な動物はコチラ。

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サバンナでもっとも数が多いのは、僕たちで~す。

はい、サバンナの代表的動物といえば、なんといってもこのヌーです。
野生動物の王国、ケニアのマサイマラ国立保護区と、マサイマラに隣接
している隣国タンザニアのセレンゲティ国立公園には、150万頭前後の
ヌーがいて、全草食動物の半分近くの数を占めています。

たぶん、マサイマラやセレンゲティに限らず、東アフリカのサバンナ全体
でも、このヌーが一番多い動物だということは間違いないでしょう。

アンテロープ類ではありませんが、「中型Aグループ」にはシマウマも
仲間に入れることにします。

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草食動物といえば、僕らを忘れてはいけませんよ(グラントシマウマ)

シマウマもサバンナでよく見かける草食動物で、マサイマラとセレンゲティ
地域では、草食動物全体の2割弱を占める数です。

そして、忘れてはならないのはこの動物たち。

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ウシ科のアンテロープ?…それよりもウシに近いのは僕らだよ。

そう、その名も「牛」の文字が付くアフリカスイギュウ(バッファロー)。

サバンナで「もっとも注意しなければならない動物」というのが、実は
このバッファローです。安易に近づくと、まさに闘牛のように突進して
くるのだとか…優しそうな顔つきをしているのですけど。

ちなみにサバンナでの「要注意動物」というのは、バッファローの他には
カバ、ゾウになります。ライオンやチーターではないのですね。

さて、ヌー、シマウマ、バッファローを「中型Aグループ」としたら、
次は「中型Bグループ」です。

中型Bグループの代表はこの動物たちです。

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僕らはトムソンガゼル。「中型」というより、小柄なんだけどね。

トムソンガゼルも、サバンナで最も多く見かける草食動物のひとつ。
その数はシマウマよりも多いのですが、あまりに当たり前に見られるのと、
小柄の草食動物ということもあってか、だんだん視界に溶け込んでしまい、
だんだん眼に入らなくなって…

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なぬ~!?眼に入らないとは失礼な!

すみません…でも、草食動物の「共存」を語る時に、外すことができない
動物がこのトムソンガゼルなんです。

トムソンガゼルのほかに、Bグループには…

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なにか、面白いことないかなー。今日もヒマだなぁ…

…とでも言っていそうなこの動物、インパラにも入ってもらいます。

そしてアンテロープ類以外から、この動物にもBグループに入ってもらう
ことにしましょう。

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ども。イボイノシシと申します。

イボイノシシも、数少ない「アンテロープ以外の草食動物」のひとつです。
もちろんイノシシの仲間で、いつも家族一緒に仲良くしています。

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やっぱり、平和な家族がいちばんだよね。

というワケで、まとめると、以下のようなグループに分けました。
 (1)大きなアンテロープ類 エランド、ウォーターバック
 (2)中型Aグループ →ヌー、シマウマ、バッファロー
 (3)中型Bグループ →トムソンガゼル、インパラ、イボイノシシ
この他にも草食動物は数多くいるのですが、説明をしやすくするために、
とりあえずこの3グループでお話をすることにします。

実は、これがそのまま「食べ分け」の分類にもなっているのです。

(1)大きなアンテロープ類
体格が大きいので草を主食とはせず、低木の葉を中心に食べています。
むしろキリンやサイに近い「食べ分け」の仕方です。

(2)中型Aグループ
地面に生えている、背の高いイネ科の草を中心に食べています。
しかし、Aグループの中でもさらに「驚きの食べ分け」をしています。

(3)中型Bグループ
ヌーやシマウマたちが食べた後に、地面に生えてくる柔らかい草を
口先で選びながら食べています。

…と、まとめて説明してしまえばコレでおしまいなのですが、こうした
「食べ分け」のために、それぞれの体には特徴がある、というお話を
しなければ面白くありませんね。

今回も「まだまだ続く」という感じなので、この続きは次回にすること
にしましょう。


【「草食動物の共存」つづきとこれまでの記事】
草食動物の共存(1)はコチラ
草食動物の共存(2)はコチラ
草食動物の共存(4・最終回)はコチラ

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2010年7月14日 (水)

サバンナの風に聴く(12) 草食動物の共存(2)

決して「豊かな大草原」とはいえないサバンナ。
なのに、どうしてこんなに多くの種類の草食動物たちが生きていけるのか…

前回の「草食動物の共存(1)」は、「草食動物には共存のスタイルがある」
と言ったところで、第1話が終わってしまいました。

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だって、それ以上続けたら長くなっちゃうからね。
(ハーテビースト ケニア・マサイマラ国立保護区)

そうなんです、おっしゃる通り…というワケで。

これから2回に分けて、その「共存のスタイル」について、お話することに
しましょう。今回はその1回目ということで、「背が高い動物と低い動物」
というお話です。

サバンナには大小さまざまな動物たちがいます。
ウサギやリスなどの小動物を除けば、いちばん小型のアンテロープである
「キルクディクディク」が体長50センチ程度。

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ボクがサバンナでもっとも小さいアンテロープだよ。
(キルクディクディク ケニア・サンブール国立保護区)

いっぽう、サバンナ最大の動物といえば何といってもアフリカゾウで、
その体長は6~7mですから、ディクディクの12倍以上の大きさです。

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大きいことはイイことだ~
(アフリカゾウ ケニア・マサイマラ国立保護区)

「体長」としてはアフリカゾウが最大級ですが、「体高」として最大なのは
キリンですよね。キリンは大きなものになると体高が5m以上あります。
キルクディクディクの体高も50センチ程度ですから、これまた10倍以上。

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毎日、眺めの良い生活をしています。
(マサイキリン ケニア・マサイマラ国立保護区)

もし、仮に私たちがディクディクの立場だとしたら…

大型トラック並みの大きさのゾウが私たちの横を歩き、奈良の大仏ほどの
高さのキリンが目の前を横切って行くことになるのですから、サバンナの
動物たちの大きさの違いといったら…すごいものですね。

さて、そんな大きなゾウも、高いキリンも、小さなディクディクもみんな
草食動物として、サバンナで共存をしています。これまでにキリンが
シマウマを追い払ったり、ゾウが鼻を高く上げてヌーを威嚇している姿を
見たことがありません。

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ゾウに踏まれそうになったこと?そういえば、そんなコトないなぁ
(キルクディクディク サンブール国立保護区)

なぜ、食べ物を巡っての争いが起きないのか。

それは、その「大きさの差」がひとつの理由になっています。

普通に考えると、体の大きい動物が強く、体の小さい動物は大きな動物に
追い立てられているように思えるのですが…

でも、サバンナでは、
 「体が大きいから食べられるもの」を食べる
 「体が小さいから食べられるもの」を食べる

という「食べ分け」が見事にできています。これは、逆に言えば、
 「体が大きいと食べにくいもの」は食べない
 「体が小さいと食べにくいもの」は食べない

ということでもあります。

いちばんわかりやすいのはキリンです。

以前に、「キリンの首はなぜ長い」で、キリンは首が長いので草食動物が
主に食べる草ではなく、高い木の葉を食べることができる…ということを
ご紹介しました。

これが典型的な「体の大きさによる食べ分け」の一例です。

ちなみに、キリンの特徴は「首が長い」と考えがちですが、脚もとっても
長いのです。小さい体と長い脚、そして細い首…見事なプロポーション!

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かあちゃんも、若い頃からモデル体型だったんだよね。
(マサイキリン マサイマラ国立保護区)

でも、そんな見事なプロポーションがゆえに、地面に首を近付けるのは
至難の技…とても地面に生える草を食べることはできません。

小型のアンテロープが食べる草を食べずに、高い木の葉を食べることで、
キリンは他の草食動物との「共存」ができている、ということですね。

キリンの他にサバンナで木の葉を食べる動物といえば、クロサイもいます。

サバンナにはクロサイとシロサイの2種類がいて、それぞれの違いについて
なんでシロサイ?どうしてクロサイ?」でご紹介したことがありますが…

クロサイは体は大きいものの、キリンと違って脚も首も短いので、地面に
生える草を食べやすい体型なのですが、低木の葉を主に食べています。

そのため、口先でつまみ取って食べやすいように、クロサイの上唇部分は
尖っていて、口先が三角形になっているのが特徴です。

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シロサイさんは、地面の草を食べているんだけどね。
(クロサイ マサイマラ国立保護区)

クロサイも、数が多いアンテロープやシマウマたちが食べる草ではなく、
低木の葉を食べることで「共存」ができていることになります。

クロサイは絶滅危惧種で、サバンナには現在2千数百頭しかいませんが、
実は100年ほど前には数十万頭いたと言われています。
こんなに大型の動物が数十万頭もいると、食べる量も半端じゃないハズ。

でも、こうして他の草食動物が食べない低木の葉を食べることによって、
食物の競合を避け、共存ができたからこそ、数十万頭も存在しえたのだ
と思います。

数十万頭もいたクロサイが、たった100年ほどで2千数百頭にまで
数が減ってしまった原因は、言うまでもなく「人間」なのですが…
(詳しい内容についてはコチラをぜひご覧ください)

さて、体が大きい動物の代表格で忘れてはイケナイのが、ゾウです。

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忘れちゃいけないゾウ~ (アフリカゾウ サンブール国立保護区)

ゾウといえば、その特徴はなんと言っても長い鼻です。
長い鼻を器用に使う姿を動物園でご覧になった方も多いと思いますが…

実はその「器用な鼻」が、野生動物界ではちょっと問題になっています。
というのも、ゾウは他の草食動物と「共存」ができていないからです。

陸上最大の哺乳類であるゾウは、体も大きいぶん食べる量も半端ではなく、
野生のアフリカゾウは1日に150Kgもの量を食べると言われています。
それだけの量を食べようとすると、ほぼ1日中を「食べること」に費やし、
食べるものも地面に生える草から高い木の葉まで、およそ植物というもの
すべてを選り好みせずに食べないと、巨大な体を維持できません。

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食べ物を選り好みしていたら、ダメなんです…
(アフリカゾウ サンブール国立保護区)

ゾウの鼻が長くなったのは、地面の草をむしり取ったり、高い木の葉を
ちぎったりして大量の食物を確保し、その巨体を維持するためであり、
逆にゾウが巨大であることができるのも、その長く器用な鼻のおかげ、
ということでもあるのですね。

ところが、その器用な鼻で、植物なら何でも大量に食べてしまうゆえに、
ゾウが他の草食動物との「共存」どころか、「圧迫」をしてしまっている、
という現実があります。

人間がサバンナに進出してくる以前は、ゾウが移動するサバンナの範囲が
とても広大だったので、たとえ大量に草や木の葉を食べても、ゾウが他の
地域に移動している間に、植物は再生をすることができました。

でも、人間の生活地域がサバンナに進出し、ゾウの生息地域が限られて
くると、ゾウは狭い地域に留まるようになり、植物の再生が追いつかなく
なってしまい…挙句の果てにはサバンナが砂漠化してしまい、他の動物が
生きていけなくなっている、つまり、「共存ができない」ということが現実に
起こっています。

ケニアのアンボセリ国立保護区ではその傾向が強く、増えすぎたゾウを
他の動物保護区に移送するなどの対応が取られていますが、地球温暖化の
影響も相まって砂漠化が止まらず、対応に苦慮しているそうです。

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かつては「共存」できていたはずのゾウなのですが…
(アフリカゾウの家族 ケニア・アンボセリ国立保護区)

他の草食動物と共存できなくなりつつあるゾウではありますが。

でも、ゾウは「何でも食べてしまう、草食動物の敵!!」ということでも
ありません。というのも、食べる量も半端でなければ、「出す量」も
半端ではないからです。

1日150kgの植物を食べるゾウですから、糞の量も100kg前後にもなります。
それだけ大量の糞をサバンナに落としながら移動していくということは、
それだけ優良な肥料を撒きながら移動していることと同じこと。
そこにはやがて、草食動物たちが好む柔らかな草が生えてくるのです。

つまり…バランスの良い状況であれば、ゾウもやはり他の草食動物たちと
ちゃんと「共存」しているワケですね。

こうして体の大きい草食動物たちは、小さい草食動物たちと食べるものを
分けることによって共存したり、同じ草を食べたとしても、その後にまた
草が生えてくるようなサイクルを保つことによって、「共存」しています。

そうした「食べ分け」をするために、体の型にもそれぞれの特徴がある、
というのも、これまた進化の驚くべき姿と言えるかもしれません。

では…

サバンナの草食動物の中では、圧倒的多数を占めるシマウマやヌーなど、
小型の草食動物たちは、いったいどうやって共存しているのか!?

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次回は、いよいよ僕らのアンテロープのお話だよ。
(ウォーターバック マサイマラ国立保護区)

その話はまた次の機会にすることにしましょう。
ちょっと難しくてわかり辛い話題が続いていますが、そこには驚くべき
事実がありますので、お楽しみに!


【「草食動物の共存」つづきとこれまでの記事】
草食動物の共存(1)はコチラ
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草食動物の共存(4・最終回)はコチラ

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2010年7月 7日 (水)

サバンナの風に聴く(11) 草食動物の共存(1)

サバンナで人気がある動物、その筆頭はなんと言ってもライオンです。

特にライオンのオスは大迫力。その堂々たる風格と、「百獣の王」の
オーラを放つ存在感には圧倒されてしまいます。

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百獣の王とはオレのことよ。
(ライオン 以下、写真はすべてケニア・マサイマラ国立保護区)

サバンナにはライオンをはじめ、チーターや…

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どこまで見ても、草原しかないなぁ (チーター)

ヒョウといった大型ネコ科の動物たけでなく…

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今日はおすまし、してみました。 (ヒョウ)

サーバルキャットや…

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へ? 誰か呼んだ? (サーバルキャット)

ハイエナや…

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本日はもう終了で~す (ブチハイエナ)

ジャッカルなど…

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あー、忙しい忙しい。あくびしてても、忙しいなぁ (セグロジャッカル)

実に多くの種類の肉食動物がいます。そして、地上だけでなく空にも…

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ん?オレタチのことか? (ミミヒダハゲワシ)

多くの種類の猛禽類がサバンナで生きています。

大型肉食動物は、オセアニアを除く(*)世界各地に分布していますが、
1ヶ所でこれほど多種多様な大型肉食動物がいるのは、私が知る限り
アフリカのサバンナしかないと思います。

なんでサバンナには、こんなに多くの種類の肉食動物が存在するのか…
それは言うまでもなく、サバンナには数多くの草食動物がいるからです。

ケニアの代表的な動物保護区、マサイマラ国立保護区は、150万頭とも
200万頭とも言われるヌーが数千~数万頭の群れをつくり、タンザニアの
セレンゲティ国立公園との間を大移動することで有名です。

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ヌーの群れは、どこまでも、どこまでも続くことがあります。

150万、200万という数のヌーもさることながら、マサイマラ国立保護区
には、実に多くの種類の草食動物たちがいます。

ヌーに次いでサバンナの代表的な草食動物といえば、シマウマですが…

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家族みんな、いつも一緒だよ (グラントシマウマ)

シマウマの他にも、トピとか…

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あー、かゆい、カユイ (トピ)

インパラとか…

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オス1頭で、これだけ養うのもラクじゃないんだよね…
(インパラのハーレム オスがどこにいるか、わかりますか?)

他にも、サバンナのスプリンター「トムソンガゼル」や、それより少し大柄の
「グランドガゼル」、ハートマークの鼻の「ウォーターバック」、ウシ科なのに
”雄シカ”が名前の由来になった「ハーテビースト」、その名の通りブッシュ
(木の繁み)に隠れていてあまり見られない「ブッシュバック」、オトナでも
体長が50センチ程度の「キルクディクディク」や、大型のオスになると
体重が1トン近くにもなる、最大のアンテロープ「エランド」など…

まるでアンテロープの総合博物館みたいです。
(アンテロープって?…はコチラです)

もちろん、アンテロープの他にも、マサイマラ国立保護区にはキリンやサイ、
カバ、イボイノシシ、バッファローなど、実に多様な草食動物たちがいます。
これだけ多くの種類、頭数の草食動物がいるから、肉食動物たちも生きて
いける、ということなのですね。

さて、肉食動物を支えるのが草食動物ならば、草食動物を支えているのは
当然「草(木の葉を含む)」です。

でも、アフリカのサバンナは半乾燥地帯であり、土地も肥沃ではないので、
熱帯や温帯の雨が多い地域とちがって、草がどんどん生えてくるような
環境ではありません。

また、植物の種類も少なく、草原に生える草はほとんどがカヤの種類で、
場所によっては「一種類の草」が広大な草原を覆っていることもあります。

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草食動物たちを支えているのは、こうした素朴な草なのです。

決して「豊かな大草原」とはいえないサバンナ。
なのに、どうしてこんなに多くの種類の草食動物たちが生きていけるのか。

実はそこには見事な「共存」のスタイルがあるのです。

これから3回にわたって、そんなお話をしてみようと思います。

(*)オセアニアの大型肉食動物
オーストラリアには「ディンゴ」と呼ばれるタイリクオオカミの亜種がいますが、
これはかつてオーストラリア先住民(アポリジニ)がオーストラリア大陸へ
移り住む際に連れてきた動物が野生化したもので、いわば「野犬の一種」と
言われています。
オーストラリア大陸には、こうして人間が連れてきて野生化してしまった
「ディンゴ」以外には、野生の大型肉食動物は存在していません。


【「草食動物の共存」続きは…】
草食動物の共存(2)はコチラ
草食動物の共存(3)はコチラ
草食動物の共存(4・最終回)はコチラ

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2010年5月 2日 (日)

サバンナの風に聴く(10) サバンナの「季節」

5月に入りました。

子供の日が近いということで、先日立ち寄った富士山麓の朝霧高原で、
こんな光景を目にしました。

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なんとも、「This is JAPAN」というような光景ですが…
(朝霧高原 ~静岡県富士宮市)

朝霧高原は、ようやく木々の新芽が芽吹き始めたところでしたが…
少しひんやりとした心地良い風の中で、雪をいただく富士山を背景に
空に悠々と泳ぐこいのぼり、を眺めていると、春の訪れを実感して、
なんだか嬉しくなりました。

季節を実感するというのは、とても素敵な感覚ですね。

日本には春、夏、秋、冬の四季があります。
私たちは、その四季の存在を当たり前のように感じているのですが、
世界中でこれほど明確に、そして美しく季節の変化を感じることが
できる国はないのではないか…と私は思います。

日本人は古来から季節の風情を歌や随筆に詠み記し、季節の到来を
祭事で祝ってきました。そして視覚的な季節のうつろいだけでなく、
「初物」や「旬」を味わうことで、味覚でも季節を感じてきました。

ここまでに季節感を生活に取り入れ、季節の変化を楽しむ文化は、
日本以外にはほとんどないと言われています。逆に言えば日本人の
季節の風情を捉える繊細な感覚は、季節の変化を大切にする文化が
その背景にあるのかもしれません。

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四季折々の花を愛でるのも、日本人ならではの感覚だとか…
(神代植物公園 ~東京都調布市)

日本での2年間の留学経験を持つケニア人の友人に「日本にいた頃、
もっとも印象深かったことは?」と聞いてみたことがあります。
私としては「新幹線に乗ったこと」とか「京都を訪れたこと」など、
日本の技術や文化に触れたことが返ってくるかと思ったのですが…

「Four seasonsがあることだね」

という意外な答えが返ってきました。「なぜ?」と聞いてみると、

「ケニアには『雨季』と『乾季』のTwo seasonsしかないから」

と答えてくれました。彼の説明によると、赤道直下のケニアでは、
年間を通じて気温はほぼ一定で、ケニア人にとっての「季節」は、
「雨が降るか、降らないか」という感覚しかないのだそうです。

日本に来て、「雨が降る、降らない」ではなく、「四季」という
季節に初めて接し、彼はその美しさに驚いたのだとか。

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藤の花は、古くは古事記にもその名が出てきます。
(神代植物公園 ~東京都調布市)

友人が、日本には四つの季節があることに驚いたのと同じように、
「雨季と乾季…ケニアには2つの季節しかない」と聞いたときは、
私も驚きました。

季節といえば「四季」…と、当たり前のように思っていましたが、
それはあくまでも四季がある国で生活をしている者の考え方で、
地域によっては、季節の捉え方が異なる、ということに今更ながら
気付いたからです。

サバンナでの「季節」とは、雨が降るか、降らないか。
ただそれだけの、ある意味で単純な「季節」。
しかし単純であっても、サバンナに生きる野生動物たちにとって、
非常に重要な意味を持つ「季節」なのです。

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サバンナでの「季節」とは、「雨季と乾季」のことです。
(ケニア・マサイマラ国立保護区)

サバンナの野生動物の生態系は、草食動物がベースとなっています。
それはつまり、サバンナの生態系を支えているのが「植物」である、
ということに他なりません。植物がなければ、草食動物だけでなく、
ライオンなどの肉食動物や、空を飛ぶ鳥類も…全ての野生動物は
生きていくことができないのです。

雨が降る、ということは、植物が育つということです。
「そんなのは当たり前の話でしょう?」と思われるかもしれません。
そう、それは確かにアタリマエの話なのです。でも、もうひとつの
対極的な「アタリマエ」がサバンナには存在しています。

それは、「雨が降らなければ、植物は育たない」ということです。
つまり、乾季にはサバンナのほとんどの植物が枯れてしまうのです。
草食動物たちは、乾季には食べる草はおろか、飲み水にも不自由を
してしまいます。

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植物がなければ、野生動物たちは生きていけないのです。
(アミメキリン ~ケニア・サンブール国立保護区)

乾季は、野生動物にとって生死にかかわる非常に厳しい季節です。

この乾季をいかに生き延びるか…

ケニア・マサイマラ国立保護区のヌーやシマウマは、草を求めて
大移動を繰り返し、時には自らの生命の危険を賭して川を渡り、
マサイマラ国立保護区とつながる隣国タンザニアのセレンゲティ
国立公園との間を、1千キロ以上も歩き続けます。

その他の動物たちも、乾季でも草が比較的多い丘陵地帯などに
移動したり、やはり草を求めて果てしない移動を続けながら、
乾季を乗り切って生きていきます。

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草を求めて、時には1千キロ以上を移動していきます。
(ヌーの群れ ~ケニア・マサイマラ国立保護区)

私自身も乾季のケニアでサファリをしたことがありますが、
動物たちは草を求めて移動してしまい、草原にはほとんど動物が
見当たらず…半日動物を探してまわっても、動物たちがまったく
見つからなかった時もありました。

そうなると、肉食動物たちも獲物がいなくなり、生死の問題に
直面します。ライオンやチーターなどの肉食動物は縄張りから
離れたがらないものですが、飢えに直面すると離れざるを得ず、
やはり草食動物を求めて移動していきます。

乾季は全ての野生動物にとって、とても厳しい季節。
サバンナには緑に覆われる豊かな季節と、一面が枯れ野原になる
厳しい季節という、両極端な季節が存在しているのです。

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百獣の王でも、乾季を乗り切るのは容易なことではありません。
(マサイマラ国立保護区)

驚くべきことは、野生動物たちはこうした季節の変化を誰に
教わるでもなく、肌身で感じ取り、本能で乗り越えていること。
自らが変えることができない、天賦の現象である「季節」に
適応するチカラは、想像を絶する長い時間をかけて動物たちの
DNAに刻み込まれ、引き継がれてきたものなのでしょう。

ヌーは、はるか遠方の雨の匂いがわかると言われています。
雨が降るところには草が生えている…それをヌーは知っていて、
その雨の匂いを追いながら、ヌーは大移動をして行くのです。

そんなヌーの能力も、乾季と雨季という両極端な季節…それは
すなわち生と死を分けるほどの極端さ…が存在するサバンナで
生きているからこそ培われ、引き継がれてきた本能のひとつに
他なりません。

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ヌーははるか彼方の雨の匂いを追って移動し続けます。
(ケニア・マサイマラ国立保護区)

四つある日本の季節を「四季」と言うなら、サバンナの季節は
「二季」で、それも「雨が降る、降らない」という、きわめて
単純な季節ではありますが、その単純さゆえにダイナミックで
力強い生命(いのち)の営みを生み出した、と私には思えます。

日本には花が咲き、青葉が輝き、紅葉し、雪が積もるという
変化に富んだ美しい「季節」…四季があります。
サバンナには、そうした変化に富んだ季節ではありませんが、
野生動物たちのたくましい生命力を感じる「季節」があります。

サバンナの「季節」もまた、生命の輝きに満ちあふれた、
美しい季節なのです。

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グラントゼブラ (ケニア・マサイマラ国立保護区)

 

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2010年3月24日 (水)

サバンナの風に聴く(9) キリンの首は長いけど…

以前に「キリンの首とゾウの鼻」というお話を書いたことがあります。
2部構成だったのですが、第1話は「キリンが長くなった理由」について、
第2話は「ゾウの仲間には鼻が短い動物がいる」という内容でした。

この2つのお話は、今でもよくご覧になってくださる方が多いので…
今回は、その続編をお話しようと思います。

今回の主役も、キリンです。

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マサイキリン (ケニア・マサイマラ国立保護区)

キリンだから首が長いのか、首が長いからキリンなのか…
まぁ、そんなことはどうであれ、キリンの特徴といえば誰が言っても
「首が長い」ということになるでしょう。

地球上でもっとも背が高い動物であることは言うまでもありません。
体の高さは5メートル以上にもなりますから、もし日本の道路を
オトナのキリンが散歩している時に、目の前に歩道橋が現れたら…
キリンは頭を下げないと、ぶつかってしまうのです。
(日本の歩道橋は、路面からの高さが4.7mです)

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ロスチャイルドキリン (ケニア・ナクル湖国立公園)

長い首が特徴のキリンですが、脚もとっても長い動物です。
その長い脚でサバンナをゆっくりと歩いていくキリンの姿はとても優雅で、
サバンナの悠然とした空気の流れを感じさせてくれます。

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朝陽の中のマサイキリンの群れ (ケニア・マサイマラ国立保護区)

その背の高さゆえに、他の動物が食べられない、木の上にある葉を
食べることができて、サバンナで生きていく上では有利なのですが…

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背が高いからこそできる、こんな食べ方!
マサイキリン (ケニア・マサイマラ国立保護区)


逆に不便な時もあります。それは、「水を飲むとき」です。

あたり前の話ですが、サバンナでは水は地面に、さらに実際には地表より
やや窪んだ低い場所にあります。逆にキリンの口は、これまたあたり前の
話ですがキリンの頭…つまり、キリンの体のいちばん上の部分にあります。

…ということは、キリンが水を飲むためには、5mもの高さにある頭を0m、
いや、地表面よりさらに下まで下げないといけないのです。
でも、キリンは脚が長いので、首を下げただけでは地表に口が届きません。

さて、どうするのでしょう。

前脚を折りたたんで背を低くして飲む?

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イボイノシシは、前脚を折りたたんで地面の草を食べます。
キリンもこんな風に前脚をたたむ!?(マサイマラ国立保護区)


それとも、腹ばいになって背を低くする?

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ライオンは大胆にも腹ばいになって水を飲みます。
キリンもこうすれば、水を飲めるかも!?(マサイマラ国立保護区)


では、実際にアミメキリンさんにやっていただきましょう!

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まずは脚を大きく開きまして~
アミメキリン(ケニア・サンブール国立保護区)


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こうして水を飲みま~す (同上)

ちょっと…辛そうですね。

キリンは脚が長いため、前脚を折った姿勢を取ると、立ち上がるときに
時間がかかってしまいます。水を飲む時は油断をしている時なので、
ライオンなどに襲われやすい時でもあります。

危険を感じたら、すぐに逃げなくてはいけない…というワケで、前脚を
折って水を飲むなどということは、とうていできないのです。

でも、そのキリンが前脚を折るだけでなく、後脚も折りたたんでしまう
こともあります。

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疲れたなぁ~ マサイキリン(マサイマラ国立保護区)

キリンも、四六時中立っているワケではなく、時々こうして座り込んで
休むことがあります。そして…

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むむ、ナンだかちょっとカユイかも… (同上)

などと、すっかりとくつろいでいるキリンもいたりします。

よく、「野生の草食動物は立ったまま寝ている」と言われますが、
キリン以外の草食動物でも、座り込んでいる光景をよく見ることが
あります。シマウマでは大胆にも…

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ゴロ~ン  グラントゼブラ(ケニア・マサイマラ国立保護区)

…と、横になってしまうことも。

ただ、こんなことをしているのも短い時間だったり、周囲に仲間や
親兄弟などの見張り役がいたりして、比較的安全な場合だけで、
いつもいつも、こんなことができるワケではありません。

さて、キリンに話を戻しましょう。

ここで、ちょっと意外なお話をひとつ。

キリンは、とっても首が長いのですが…実はキリンの首の骨の数と、
私たち人間の首の骨の数は同じだ、ということをご存知でしょうか。
さらに言えば、実は哺乳動物というのはナマケモノとマナティを除き、
全て首の骨の数が同じなのです。

つまり…

小さなネズミも、首が長いキリンも、首がほとんど無いようなカバも、
そして私たちヒトも、みんな首の骨の数は7つなのです。

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キリンの首の骨…7つあります (埼玉県こども動物自然公園)

キリンもあんなに首が長いんだから、もっと首の骨の数が増えれば、
もしかしたら水だって簡単に飲めたかもしれないのに…

と、思うところもあるのですが、それが進化の不思議なところです。
「なぜ、哺乳類は首の骨が7つなのか」という明快な理由については、
私が少し調べた限りでは見つかりませんでしたが。

でも、首の骨が私たちと同じ数だからこそ、あの美しいキリンの姿がある
と言うこともできるわけで、そう考えるとキリンの首の骨が進化して9つや
12個になっていなくて良かった…とも思うのです。

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long neck

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